このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2004年6月号

産業特集


 農業

CDC発表:農場飛行パイロットは、死亡リスクが高い

アトランタ − 疾病対策予防センター(CDC)によると、農場飛行のパイロットは、他の産業のパイロットよりも、業務上の衝突事故で死亡する可能性が、3倍高い。
1992〜2001年の間、業務上で死亡した農場パイロットは141人、これは同期間中業務上で死亡したパイロット数の12%にあたる。これはつまり、農場パイロットは、ほかの産業のパイロットより死亡リスクが高いことを意味すると、CDCの週間罹病・死亡報告(Morbidity and Mortality Weekly Report)(Vol. 53, No. 15) に発表された報告書は指摘する。
農業部門では、飛行機は、殺虫剤や除草剤、肥料の散布にしばしば使われる。この仕事柄、農場パイロットは比較的低空を飛行するため、樹木や柱、送電線、塔や支え線との衝突リスクが高いと報告書は報じている。
こうした死亡災害を削減するため、パイロットの安全訓練などの努力が払われていると、報告書は附記している。



 建設業

調査:建設業の死亡原因第1位は墜落・転落

テネシー州ノックスビル(knoxville) − テネシー大学建設業調査政策センター(Construction Industry Research and Policy Center, University of Tennessee)の調査チームによれば、屋根からの墜落・転落と轢死が、建設業の死亡原因の上位を占める。
 屋根からの墜落・転落、その他の構造物からの墜落・転落の二原因は、死亡者数の20%を占めると調査チームは述べた。
 第三者が操作する建設機械による労働者の轢死あるいは圧死は、建設業の死亡原因の第三位であると、調査チームは明らかにした。
 こうした死亡災害の大半は、商業ビルの建設、次いで戸建住宅や重層型住宅プロジェクトで発生していた。
 調査チームは、2002年に労働安全衛生庁(OSHA)が調査した建設死亡災害を分析した。OSHAは、この12年間、当局の建設死亡災害データの分析を建設業調査政策センターに委託している。


事実チェック
飲酒関連の自動車衝突事故
 2002年の飲酒関連の衝突事故で17,419人が死亡、これを均すと、30分毎に一件の頻度で飲酒関連の衝突事故が起きていることになる。
出 所:運輸省(Department of Transportation)、2002年



 鉱業

NIOSH:粉じん用個人サンプラーは炭鉱労働者に有効

ワシントン − 粉じん用個人サンプラーをテスト中の国立労働安全衛生研究所(NIOSH)によれば、炭鉱用のサンプラー試作品は、正確、タイムリーで使いやすい。
 NIOSH報告書の説明するところでは、粉じん用個人サンプラーは、シフト(交替勤務時間)終了時点での吸入性炭じん暴露を測定するため、またシフト中の暴露データをほぼリアルタイムで表示するために開発された。サンプラーは、ベルトで着用する鉱山帽のランプのバッテリーの一部を成している。NIOSHの報告書によると、正確でリアルタイムのモニタリングは、炭鉱労働者の長年の目標であった。
 NIOSHは、ピッツバーグ市の試験所で6個の試作品、ペンシルバニア州、ユタ州、中央アパラチア山脈とアラバマ州の地下炭鉱で4個の試作品を試験した。
 NIOSHは、サンプラーを特定の試験条件にさらした結果、「粉じん用個人サンプラーは、装着しやすく、丈夫で、正確なデータを出し、データをタイムリーに出して過剰暴露を防止でき、使用しやすいことを実証した」と結論した。
 報告書全文は、オンライン、www.cdc.gov/niosh/mining/pubs/pdfs/poinp.pdfで閲覧できる。


MSHA:安全違反の多い事業場への罰則を再告示

ワシントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、鉱業界に対し、「過度の違反履歴」がある場合は民事罰金を科すとした当局の規定を思い起こさせるため、4月、プログラム情報公報を発行した。
 公報によれば、MSHA法規は、違反歴の多い鉱山経営者や独立の請負業者に対し、高率の罰金を科すと規定している。違反歴は、6ヶ月の猶予要素も含めた、過去24ヶ月間における確定違反の合計件数に基づく。違反歴は、20反則点まで計上するようになっており、全履歴で20点まで重ねた鉱山経営者は、過度の違反歴があるとみなす。
 公報によると、罰金の最高額は6万ドルである。
 公報は、MSHAのウェブサイトwww.msha.govで閲覧できる。



 サービス業

消防隊助成金プログラム再認可法案

ワシントン − 消防隊支援助成金プログラム(Assistance to Firefighters Grant Program) を2007会計年度まで再認可する法案が、4月1日、下院に提出された。
 同プログラムは、機材、訓練や車両の購入用途で、地方の消防署に助成金を直接交付する目的で、また、防火および教育イニシアチブを資金援助する目的で、2000年に発足した。今日までに、11億ドル強の助成金がおよそ1万6千の消防署に交付された。
 再認可法案では、プログラムに以下の変更を加える。
  • 交付金額の上限を、すべての消防署に対しては1件あたり百万ドルに増額し、人口50万〜100万人を受け持つ署に対しては2百万ドルに、人口100万以上の署に対しては3百万ドルに増額する。
  • ボランティアや非営利の緊急医療サービスに対し、助成金申請資格を与える。
  • 人口5万以上を担当する消防署に対し、連邦政府以外の助成金と同額を補助する要件を、30%から20%に縮小する。
 法案通過は、全米有志消防協議会(National Volunteer Fire Council)の「最優先課題」であると、同協議会のフィリップ・C・スティトルバーグ会長(Philip C. Stittleburg, chairman)は述べた。「法案は、書かれているとおり、助成金を引き続き同業他者の批評にさらし、プログラムが引き続き、消防署の基本的ニーズを充足するのを確実にする」。
 消防隊支援助成金再認可法(Assistance to Firefighters Grant Reauthorization Act)(下院4107)は、下院科学委員会(House Science Committee)に付託されている。


調査:若年医師の間で注射針の高リスクが判明

ピッツバーグ − AOHPジャーナル(Vo. 34, No.1)に掲載された調査によれば、若年医師は依然として、縫合針による致命傷の危険にさらされている。同誌は、保健衛生における労働衛生専門家協会(Association of Occupational Health Professionals in Healthcare: AOHP)の出版物である。
 教育病院で報告された縫合針による刺傷の大半は、医学生、インターン、実習生や特別研究員など研修中の若年医師が被災したものであったことが調査で判明した。こうした針は、B型肝炎、C型肝炎や、ヒト免疫不全・後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)を負傷者に感染させる可能性がある。
 「連邦政府や州政府の規制で、鋭利物の安全問題は解決したという誤った認識がある」と、調査報告の共著者、メアリーアン・グルーデン氏(MaryAnn Gruden)は述べた。「この種の負傷は、医学生や若年医師の間で非常に高い件数で発生していることが、われわれの予備調査で判明している」。
 調査の共著者は、若年医師に対し、鋭利物による傷害の危険性と安全器具を利用する権利について教育するよう勧告している。



 運輸

FMCSA規則、運輸業者に対し、安全な求職者の採用を支援

ワシントン − 連邦自動車運輸安全局(Federal Motor Carrier Safety Administration: FMCSA)の新規則では、求人者に対し、求職者の職業運転士としての安全記録を検討するよう義務づけ、元の雇用主には、この種の情報を開示するよう義務づけている。
当局によれば、本規則の趣旨は、できる限り優秀な安全記録を有するトラック・バス運転士を採用するよう、運輸業者を支援することにある。
「運輸業者は、できる限り安全な運転士を採用し、運転に就かせるのに必要な情報を入手できなければならない」と、FMCSAのアネット・M・サンドバーグ長官(Annette M. Sandberg, Administrator)は述べた。「トラック・バス運転士は、わが国でもっとも安全なドライバーであり、われわれは、これを維持するため、できるだけのことをしたい」。
新規則では、前の雇用主は、求職者を調査する求人者からの照会に対し、30日以内に回答しなければならない。前の雇用主は、勤務歴その他の安全関連情報を確かめるため、過去3年間をさかのぼらねばならない。
規則は、連邦自動車運輸安全規則(Federal Motor Carrier Safety Regulations)で規制される全運輸業者に適用される。規則は、http://dms.dot.govで書類番号FMCSA-97-2277を検索すると、閲覧できる。


2連結、3連結トラックの最低訓練要件

ワシントン − 大連結車両として知られる、2連結、3連結トラックの運転士に対する初の最低訓練要件が、6月1日、発効した。
 連邦自動車運輸安全局(FMCSA)が制定したこの規則は、運輸業者に対し、訓練を受けない運転士に2連結または3連結のトレーラートラックを運転させるのを禁じている。訓練内容は、規則に明記されており、運送経路計画や貨物・重量チェックなどといった非運転業務や運転業務を包含している。
 2連結訓練の受講資格は、総重量26,001ポンド以上の車両の運転で6ヶ月の経験を有すること。3連結訓練については、トラックトラクター、セミ−トレーラーまたはツイントレーラーの運転で6ヶ月の経験を有することと、FMCSAは述べた。
 規則全文は、オンラインhttp://fmcsa.dot.govにて閲覧できる。



 公益事業

調査報告:DOE職員は、電気的な危険性にさらされている

ワシントン − エネルギー省(Department of Energy: DOE)の報告書によれば、同省の施設で働く職員は、2002年および2003年には、週2回の頻度で潜在的な電気的危険性にさらされていた。
 報告書によると、危険性の約半数は、電気機器の据え付け、撤去、または保守といった、電気技術者その他の電気工による電気工事関連であった。これらの危険性の大半は、根本原因が、「たいていの場合、作業計画、ロックアウト・タグアウト、配線管理などの作業の欠如という基本的な行為にある」と、報告書は結論している。報告書は、2002年および2003年に、月1回の頻度で下記の危険性が発生していると指摘した。
  • 掘削で、埋設してあった電気設備を打ちあてる。
  • 架空電線に車両が打ちあたる。
  • 建設または設備解体の際、通電中の電線を切断または穴を開ける。
 報告書は、エネルギー省施設の電気システムに関する正確な図面やその他の情報が欠如しているとも指摘した。
 「電気安全:業務経験と教訓に関する報告(Electrical Safety: Operating Experience and Lessons Learned Report)」は、同省の組織業績評価室(Office of Corporate Performance Assessment)が作成した。組織業績評価室は、問題があるか判断を下すため、安全データを検証する。