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NSC発行「Safety + Health」2004年7月号

産業特集


 農業

農業専門家向け農薬ワークショップ

 カリフォルニア州デイビス(Davis) − カリフォルニア大学(University of California)の総合的害虫管理プログラム(Integrated Pest Management Program)は、農薬関連の傷病について学びたい人々を対象に、また保健衛生関係者や農業専門家への知識の普及を企図して、農薬関連傷病ワークショップを提供する。
 ワークショップは、8月18〜19日にオークランド市(Oakland)で開催される。参加者は、農薬暴露事例の見分け方、管理、報告に役立つ情報や資料を得る。農薬暴露の医学的モニタリングに関する最新手段を概観する。
 同大学によれば、教育技術と実習により、ワークショップ参加者は、農薬暴露予防に関し、有効なアウトリーチおよび教育プログラムを開発できるようになる。
 詳細は、www.ipm.ucdavis.edu/IPMPROJECT/workshops.html#HEALTHCAREで閲覧できる。



事実チェック
傷害別非死亡休業労働災害(2001〜2002年)
 
捻挫・筋違え 669,889件
切創、裂傷、刺傷 133,314件
骨折 108,127件
薬品による火傷 9,451件
出 所:Natonal Safety Council、Injury Facts、2003年



 建設業

新基準で、建設の危険から一般市民を保護

 イリノイ州デプレーンズ(Des Plaines) − 建設現場周辺の公衆安全を改善するため、米国安全技術者協会(American Society of Safety Engineers)はこのたび、とくに建設作業中の公衆安全を扱った米国規格協会(American National Standard Institute: ANSI)基準を刊行した。
 A10.34-2001基準、「建設現場またはその近辺における一般市民の保護(Protection of the Public on or Adjacent to Construction Sites)」は、事業者、請負業者、建物所有者や救急隊員を対象として、空中、地上あるいは海上での建設の危険から一般市民を保護するための総合的安全ガイドラインを定めた。
 2001年8月にANSIが承認したこの基準は、公衆安全を危険にさらす可能性のある切断や溶接、発破その他の作業を網羅した公共危険管理計画の必要要件を打ち立てた。基準には、落下物防止も含まれている。
 基準の詳細は、www.asse.org を開かれたい。


ワシントン州、新しいダンプカー安全規則を採択

 ワシントン州オリンピア(Olympia) − ワシントン州労働産業省(Department of Labor and Industries)は、5月5日、ダンプカー運転手に後退が安全であるとの合図を送る立会人をつける、または、ダンプカー後方の全景を写すビデオカメラなど機械的装置を設置する、このいずれかを義務づけた緊急規則を採択した。トラックにはすでに、後退警報器の設置が義務づけられている。当局は、6月1日より新規則を施行した。新規則の詳細については、WISHAのwww.lni.wa.gov/ WISHA/Rules/construction/HTML/296-155m.htmを閲覧されたい。


クレーン危険調査、送電線事故における視界を問題視

 アリゾナ州シエラ・ビスタ(Sierra Vista) − ハザード・インフォメーション・ファウンデーション社(Hazard Information Foundation Inc.)の調査によると、クレーン労働者の送電線接触による死傷事故は、労働者が送電線からの安全な距離を目測で判断する能力を欠いていることと、「業界の怠慢および製造者の無関心」が原因である。
 調査は、移動式クレーンや自走式高所作業車を含めたブーム式装置に注目し、送電線接触で毎年百名以上の死傷者がでるのはなぜかを分析した。調査チームは、クレーンの積荷を誘導する労働者が最高に危険であり、71%が死傷事故に見舞われることを突き止めた。
 調査では、労働者がクレーンの安全な距離感を把握できないことも判明した。現行の連邦労働安全基準では、クレーンは、送電線から最低10フィート離れて操作されなければならない。今回の調査結果に基づき、ハザード・インフォメーション・ファウンデーション社は、危険ゾーンを少なくとも送電線の両側15フィートに拡大するよう勧告している。現在、協議型規則作成委員会(negotiated rulemaking committee)は、OSHAの委託を受けて、建設業のクレーン基準を改正中である。
 報告書では、送電線の危険を減らすための34項目にわたるガイドラインを提示している。報告書、「移動式クレーンおよび他のブーム式装置による送電線接触に関する危険管理への安全提言(Safety Interventions to Control Hazards Related to Powerline Contact by Mobile Cranes and Other Boomed Equipment)」の詳細は、www.hazardinfo.comで閲覧できる。



 製造業

EPA、大気汚染管理証明発行手数料に関する規則を改定

 ワシントン −
環境保護局(EPA)は、自動車およびエンジン遵守プログラム手数料に関する規則(regulations for Motor Vehicle and Engine Compliance Program fees)を改定中である。1992年に初めて施行されたこの規則では、製造業者は、自動車およびエンジンの大気汚染管理に関するEPAの証明書発行や遵守行為に対し、手数料を支払わなければならない。今回の規則改正では、幹線道路を走行する自動車やトラックの現行の料金体系を改定して、EPAの汚染物質排出基準の施行に関わる費用増を反映させる。また、1992年来のノンロードエンジン・装置の遵守プログラムについても、新しい料金体系を設ける。
 本規則に関する詳細は、www.epa.gov/otaq/fees.htm を開かれたい。



 鉱業

NIOSH、聴力損失の削減をめざした技術を開発

 アトランタ −  国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)は、連続採掘機の運転士が経験する騒音への過剰暴露を減らすため、低コストの工学的騒音管理を開発した。
 NIOSHによると、コンベヤ−のフライト・バーにポリウレタン樹脂を被覆すると、コンベヤ−稼動時、運転席の位置で、騒音レベルは計7デシベル減少した。当局によると、この被覆加工は、非常に耐久性に優れており、地下炭坑道での稼動で3ヶ月間経過しても、ほとんど、あるいは全く磨耗が見られなかった。
 鉱山労働者の推計90%は、52才までに、聴力損失を被る。聴力損失の詳細については、NIOSHのサイト、www.cdc.gov/niosh/homepage.html を開かれたい。


官民パートナーシップ、鉱山安全当局を補佐

 アトランタ − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、米国瀝青炭鉱操業者団体(Bituminous Coal Operators Association、ワシントン市)、全米鉱業協会(National Mining Association、ワシントン市)、米国鉱業労働者連盟(United Mine Workers of America、バージニア州フェアファックス市、Fairfax)、全米岩石砂土砂利協会(National Stone, Sand and Gravel Association、バージニア州アレキサンドリア市、Alexandria)、MARGディーゼル連合(MARG Diesel Coalition、ソルトレイク・シティ、Salt Lake City)、全米鉄鋼労働者連盟 (United Steel Workers of America、ピッツバーグ市、Pittsburge)とパートナーシップを締結したが、これでNIOSHは、鉱内管理技術調査を実施して、科学的に信頼性のある調査結果を得たと、先日報じた。
 このパートナーシップでは、業界向けにディーゼル粒子状物質フィルターの選択ガイドを作成した。また、鉱山安全衛生庁(MSHA)にもたらした情報で、当局は、炭素元素は粒子状物質に代わる格好の測定代替物であるとの決断を下した。
 フィルター選択ガイドは、オンラインwww.cdc.gov/niosh/mining/diesel/diesel.htmlで入手できる。



 行政

OSHA監督官にベリリウム検査を新設

 ワシントン −  労働安全衛生庁(OSHA)は、監督業務でベリリウムに暴露した可能性のある監督官を対象とした、新しい検査プログラムの発表を計画している。軽金属のベリリウムは、原子力産業やさまざまな消費財に使用されている。
 プログラムはまず、監督官が検査プログラムに参加するかどうかを決めやすいよう、情報を提供する。参加者は、採血され、慢性的なベリリウム病になりやすいかどうか、ベリリウムへの感応性を測定する。結果は、数週間後に出る。検査の1年後、OSHAは、データを再検討し、状況を再評価する。
 当局は、職員の啓蒙キャンペーンの一環として、ベリリウムに関するインターネット放送を用意し、5種類のパンフレットを刊行した。パンフレットや検査については、www.osha.gov を閲覧されたい。


CDC、健康と緊急事態対応に照準

 アトランタ − 米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)はこのたび、新しい目標を発表し、世界中の人々の健康によりよく貢献できるよう、事業を統合した。
 この発表は、CDCが1年前、数百にのぼる職員、政府機関、団体や一般市民とともに始めた未来イニシアチブ(Futures Initiative) と称する戦略的開発プロセスから案出した。
 CDCは、健康保護に関する二大目標のもとに、優先目標と投資対象を配列する。
  • 緊急対応:すべての地域社会の全構成員は、感染、環境、およびテロの脅威から保護される。
  • 健康の促進と疫病、傷害、および障害の予防:すべての人々は、生涯の各段階で最大限の健康の質を享受し、最大限の寿命を全うする。当局はまた、乳幼児、子供、青年、成人、高齢者といった生涯のあらゆる段階での健康によりよく貢献できる、絞り込んだ目標を立案中である。
 CDCは、現行の事業部署を4つの調整センターに統合して、公衆衛生への脅威、新規の課題、慢性的健康状態に対処するのに、資源を効率的に活用できるようにする。部署の詳細は、www.cdc.gov/niosh/enews/flash/enewsFLASH01.html で閲覧できる。



 小売・卸売業

「実用的ツール」:OSHA、食品雑貨販売店向けエルゴ・ガイドラインを発表

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、食品雑貨販売店における筋骨格系障害の予防に向けた産業別ガイドラインを発表した。
 ジョン・ヘンショー長官は、食品雑貨販売店の業務上の傷害を削減するガイドラインを「実用的ツール」と称した。「筋骨格系障害の予防のためのエルゴノミクス:食品雑貨販売店向けガイドライン(Ergonomics for the Prevention of Musculoskeletal Disorders: Guidelines for Retail Grocery Stores)」と題した資料は、www.osha.govで閲覧できる。
 ガイドラインは、同業者団体、労働団体、食品雑貨販売店を交えた会合や協議を経て、昨年完成したと、ヘンショー長官は述べた。
 ガイドラインは、全米各地の食品雑貨販売店で実施され、業務上の傷病の削減に効果を上げた解決策を強調している、とヘンショー長官は述べた。労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が出した2003年12月の報告書によると、食品雑貨販売店は、2000年に10万件以上もの傷病件数を記録した9産業のひとつである。
 エルゴノミクス・ガイドラインの開発は、OSHAや利害関係者にとってはまだ、異論の多い課題である。一方には、筋骨格系障害と職場との関連性には科学的根拠が欠けているとの主張があり、他方では、すでに廃案となったエルゴ基準に賛成してきた組織労働者ら支持者が、科学的根拠は労働者の傷害記録から明らかだと主張している。


EPAとショッピング・センター、リサイクル・廃棄防止に焦点

 ワシントン − 環境保護局(EPA)と国際ショッピング・センター協議会(International Council of Shopping Centers)との共同による新しいイニシアチブは、ショッピング・センターでの廃棄物の垂れ流しに照準を絞る。
 このプログラムは、5月24日、同協議会の春季会議(ラスベガス市)で、EPAのマイク・リービット長官が発表した。「米国の市場リサイクル!(America's Marketplace Recylcles!)」は、ダンボール梱包、木製パレット、プラスチック梱包、紙、飲食店広場の廃棄物(ガラス製、金属製、プラスチック製の飲料容器や生ごみ)、構内廃棄物を対象にする。
 協議会によると、米国民の94%は、毎月、月あたり平均2.5回、ショッピング・センターを訪れている。
 「ショッピング・センターは、若者をひきつける場であるから、リサイクルの価値を若者に教えるには最適の場所である」とリービット長官。「国際ショッピング・センター協議会は、自分たちの廃棄物をリサイクルすることで、同時にまた、お客様がリサイクルしやすいようにすることで、環境改善へ向け、高い基準を掲げる。」
 同プログラムは、ショッピング・センターや小売店に、改装や増築による建築・解体廃材のリサイクルや、リサイクル資源を使用した製品を最大限利用するよう、奨励している。同イニシアチブは、大規模なリサイクルや廃棄防止努力を顕彰する一連の賞を用意して、プログラムへの参加意欲をあおっている。
 詳細情報は、www.epa.gov/rcc/amr/htm を開かれたい。


 サービス業

保健衛生施設でのアルコール手指消毒液の使用にゴーサイン

 シカゴ − 米国病院協会(American Hospital Association)の米国保健衛生工学会(American Society for Healthcare Engineering: ASHE)は、全国防火協会(National Fire Protection Association、マサチューセッツ州クインシー市、Quincy)が、生命安全規約(Life Safety Code)の2000年度版、2003年度版を修正して、保健衛生施設の病室、廊下、スイートルームでのアルコールを主成分とした手用の消毒液の使用を承認・許可したと発表した。
ASHEによると、規約の修正版では、アルコール性手指消毒液の使用と貯蔵について、明確かつ詳細な基準を示して、潜在的な火災のリスクを最小にするガイダンスを提供している。また、手指消毒液のディスペンサーを、保健衛生労働者のアクセスと利用を最大化する場所へ設置できるようにした。
 修正版の採択は、疾病対策予防センター(CDC、アトランタ市)、感染管理専門家協会(Association for Professionals in Infection Control Inc. ワシントン市)、米国保健衛生疫学協会(Society for Healthcare Epidemiology of America Inc. バージニア州アレキサンドリア市)ほか、感染管理および火災安全団体の会員の協力を得て、ASHEが主導した1年に及ぶ提言活動の成果である。
 修正版に関する詳細は、www.hospitalconnect.com/ashe/currentevent/abhi.html を閲覧されたい。



 運輸

DOT、空輸適格の遵守開始日を延期

 ワシントン − 運輸省(Department of Transportation)は、4月、空輸予定の貨物に「空輸適格(Air Eligible)」と印すとした国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization、モントリオール市)の要件遵守の義務化を延期する最終規則を採択した。この延期は、2006年10月1日を期限とし、一般市民からコメントを募る時間を確保した。
 印付けは、梱包、印付けやラベル等、適用される空輸要件のすべてを貨物が満たしていることを確認するためのものである。http://hazmat.dot.gov/whatsnew.htm#Apr19 で、詳細を閲覧できる。


 公益事業

EPA、資源保護に関する初の年次報告を発表

 ワシントン − 「資源保護への挑戦:前進の一年(The Resource Conservation Challenge: A Year of Progress)」と題する、資源保護への取り組みに関する初の年次報告書は、政府、企業その他の団体が、廃棄物を減らし、天然資源・エネルギーを保護するために、環境保護局(EPA)といかに協力しているかを詳述している。
 EPAによると、資源保護への挑戦(RCC)では、当局は短時間でより多くの達成を可能にする。RCCには、年季の入った自主的プログラム、賢く廃棄(WasteWise)や、全米廃棄物最小化プログラム(National Waste Minimization Program)、石炭燃焼製品パートナーシップ(Coal Combustion Products Partnership)、電気製品リサイクル参加(Plug-In to eCycling)や、緑景同盟(GreenScapes Alliance)などの新しい自主的プログラムなどがある。詳細については、www.epa.gov/epaoswer/osw/conserve を開かれたい。

EPA、環境管理システム給付金を検討

 ワシントン − EPAのスティーブ・ジョンソン副長官代理(Steve Johnson, Deputy Administrator)は、環境管理システムを採用する団体に、規則や許可を媒介とした規制オプションや給付金を与えることで、より効率的で有効な規制を導き得るかどうかを決定する一助とする戦略書に署名した。「規制プログラムにおける環境管理システムの役割の決定に関する戦略(Strategy for Determining the Role of Environmental Management Systems in Regulatory Programs)」は、www.epa.gov/ems/policy で閲覧できる。