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NSC発行「Safety + Health」2004年7月号
OSHA、自主的保護プログラムに二つのイニシアチブを追加 |
ワシントン − 労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)のジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)は、5月26日、自主的保護プログラム(Voluntary Protection Program: VPP)の新しい二つのイニシアチブ、OSHA チャレンジ(OSHA Challenge)とVPPコーポレート(VPP Corporate)の発足式で、これら二つの試験的プログラムは、当局の官民協力プログラムを改良し、事業者が当局と協力する機会を拡げると述べた。
「より多くの事業場に、安全衛生を絶えず改善するよう奨励するのは、法の遵守を徹底し、死傷病を減らす上でもっとも効果的な方法である」とヘンショー長官は述べた。ヘンショー長官は、2003年9月に初めて、VPPプログラムを拡大する旨発表し、それ以来、VPPの参加企業数の増加は、当局の最優先課題となっている。
試験プログラムには、米国郵政公社(U.S. Postal Service)をはじめ、15の企業・団体が参加し、これらの組織を「創立メンバー」と称すると当局は述べた。OSHAチャレンジは、全産業群の事業者で、安全管理システムの改善を決意し、この認定をめざす者を対象とする。本プログラムは公共、民間部門の事業者が参加できるものであり、VPPメリット(Merit)またはスター(Star)資格への足がかりとなる。創立メンバーは、建設・請負業協会(Associated
Builders and Contractors)、総合工事業者連合会(Associated General Contractors
of America)、Black & Vetch、建設安全評議会(Construction Safety Council)、Curtis
Lumber Co.、独立電気工事業者団体(Independent Electrical Contractors)、NEA連合建設業者協会(NEA-Association
of Union Constructors)、VPP参加者協会(Voluntary Protection Programs Participants'
Association: VPPPA)である。
「VPPPAは、OSHAの要請を受けたことを誇りに思っており、認識を高めて、参加企業を増やす活動の一端を担うのを楽しみにしている」と、VPPPAのポール・M・ビレイン常務理事(Paul. M. Villane, Executive Director)は述べた。「VPPPAは、事業場が安全衛生管理システムを改善するのを支援すると標ぼうしており、この役割は、まさしくわれわれの使命にかなったものである」。
VPPコーポレートは、VPPを全社規模で実施する場合に企業が直面する障壁を取り除こうと企図されたものである。参加企業は、全社規模のVPP実施をめざし、メンタリング(助言指導)やアウトリーチ活動を通して、プログラムを支える。創立メンバーは、Dow Chemical Co.、General Electric Co.、Georgia Pacific Corp.、International Paper、Johnson & Johnson、Maytag Corp.、郵政公社である。
OSHAはまた、当局の事業場もVPPに追加する予定であると、ヘンショー長官は発足式で述べた。「VPPは重要であるから、OSHAはVPP事業場を設ける」と長官。「いまや政府は、言ったことに対し、実際の行動で裏付けるべき時である」。
OSHAはすでに、プログラムのためにいくつかの分野とOSHA地域事務所を特定したが、本格的規模での実施にはまだ時間がかかると、ヘンショー長官は述べた。
事実チェック
予防可能な死亡原因の首位 |
1. |
喫煙 |
2. |
不健康な食生活と運動不足 |
3. |
アルコール摂取 |
4. |
微生物病原体 |
5. |
有毒物質 |
6. |
交通事故 |
7. |
小火器事故 |
出 所:Journal of the American Medical Association、2004年 |
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EPA利害関係者:RCRAを21世紀向けに改正するよう主張 |
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シカゴ − 5月17日の有害廃棄物発生源をめぐる公開会議で、参加者らは、環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)に対し、復旧保存再生法(Restoration and Conservation Recovery Act: RCRA)の規定を、産業変化や技術進歩に見合うよう、改正すべきであると訴えた。
会議に参加した学界や、医薬品会社も含めた保健衛生産業の代表者らはとくに、自らの所属部門の変化に懸念を示した。RCRAは、たとえばニトログリセリンの使用を規制する一方、新規化学療法に用いる多数の薬品を無視していると指摘。RCRAは、保健衛生産業ではなく一般産業を想定しており、年月を経て厄介なものとなってきた。
EPA固形廃棄物室(Office of Solid Waste)のジム・オリアリ(Jim O’Leary)氏は、1980年にRCRAが公布されて以来、どれだけの変化があったか、当局は認識していると述べた。RCRAは熟しきったと同氏は述べ、「今こそきびすを返し、プログラムを改善できるかどうか検討せねばならない」と付け加えた。
参加者からはそのほか、下記をはじめとした課題が指摘された。
- 企業の規則の遵守方法に、もっと柔軟性を持たせるべきである。
- 州間で、定義や解釈を明確にすべきである。
- 法規・イニシアチブの重複をめぐり、政府機関同士もっと同時性を持たせるべきである。
- リサイクル奨励の効果的な方法を探るべきである。
このシカゴ市での会合は、有害廃棄物発生源プログラムについて情報を収集しようと、EPAが5月に開催した四つの公開会議の第3回会合である。その他の三つは、ワシントン、ボストン、シアトルの三市で開催された。
オリアリ氏は、会合で「当局に持ち帰るべき優れた、建設的で精密な意見」を得たと述べた。
www.epa.gov/epaoswer/hazwaste/gener/init/index.htmでは、提出されたコメントも含め、詳細情報を閲覧できる。
ワシントン − 1970年の労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act of 1970)を修正する四法案は、5月18日、大きな障害を克服して下院を通過した。
四法案の発起人となったのは、労働力保護小委員会(Workforce Protections Subcommittee)のチャーリー・ノーウッド委員長(Charlie Norwood, chairman)(共和党、ジョージア州)。ノーウッド議員は、法案は、事業者がOSHAと協力しやすいように図り、労働安全を改善すると述べた。
ノーウッド議員は、法案は、とくに小企業に有益であると主張した。「小規模事業者は、雇用の創出と職場の安全の確保に時間を割くべきで、労働安全衛生法関連の延々と続く訴訟やその結果としての弁護士費用の増大にそれほど振り回されてはならない」と、同氏は声明で述べた。
四法案は下院を通過したものの、上院通過はもっと難しいだろうと観測筋は見ている。
四つの改正案およびその得票は、以下のとおり。
- 労働安全衛生における小企業の法廷出頭日に関する法律(Occupational Safety
and Health Small Business Day in Court Act)(下院2728)
事業者がOSHAの召喚を受けてから申し立てができる期限15日間を、小企業が誤って、あるいは正当な理由で逸した場合、期限の例外を設けることができるよう、労働安全衛生再審委員会(Occupational
Safety and Health Review Commission: OSHRC)に柔軟性を持たせる。票決:251票対177票。
- 労働安全衛生再審委員会の効率化に関する法律(Occuaptional Safety and Health
Review Commission Efficiency Act)(下院2729)
労働安全衛生再審委員会(OSHRC)の委員を3人から5人に増員することで、行政の効率を推進し、労働安全衛生訴訟が迅速に再審理されるよう図る。票決:228票対199票。
- 労働安全衛生におけるOSHA召喚の独立的再審理に関する法律(Occupational Safety
and Health Independent Review of OSHA Citations Act)(下院2730)
労働安全衛生再審委員会(OSHRC)は、労働安全衛生訴訟を再審理する裁判所からその判断を尊重される、独立した機関であることを明確化する。票決:224票対204票。
- 労働安全衛生における小規模事業者の司法へのアクセスに関する法律(Occupational
Safety and Health Small Employer Access to Justice Act)(下院2731)
小企業がOSHA召喚を争い、法廷で優勢である場合、小企業に対し、弁護士費用や裁判費用を支給する。票決:233票対194票。
ノースカロライナ州チャペルヒル(Chapel Hill) − 安全衛生専門家は、ひとつには労働時間を多く割かねばならないことから、“燃え尽き”のリスクにさらされている。これは、ベスト・プラクティシズ(有)(Best
Practices LLC)の編集した基準調査報告書の所見のひとつである。
事業者にとって、“燃え尽き”は、費用のかさむ人事異動や、新入社員では代替できない組織ならではの知識の「頭脳流出」といった結果を招くと、報告書は述べる。企業の社員にしてみれば、きつい労働負荷は、安全専門家が、現場の人員をモニターする時間が少なくなることを意味する。「残業が大きな人事管理問題となっている企業では、これを警戒信号と捉えて、入念に評価せねばならない」と報告書は指摘する。
報告書はまた、企業が、安全を社員各人の責任に帰せば、労働安全分野で効率と効果を達成することを突き止めた。成功を収めている企業は、職員の選抜、職務内容説明書、同僚管理に安全を盛り込み、安全任務を現場の職員にまで下ろした。働くには、安全を回避または人まかせにしてはならず、企業は、安全違反には法的許容はゼロであるとの方針で臨まねばならないと、報告書はいう。
このアプローチは、安全衛生専門家の仕事量を減らして、専門家に利をもたらす。安全が社員各人の責任であれば、安全専門家は、知識の提供者として振る舞いさえすればよい。
「安全衛生専門家は、・・・求めに応じ、支援の手を差し伸べるパートナーであり、事業場の警察官として就くのではない」と報告書は述べる。
こうした成果を導くひとつの方法として報告書が見出したのは、一日毎の安全任務を操業の管理者に課すというやり方である。これで、安全衛生専門家は、安全遵守やモニタリングの結果をより大きな視野で見定める余裕を得た。調査対象のある企業が行っていたもうひとつの方法は、操業ラインへの安全衛生スタッフの配備を最小化して、ラインの監督者や人員の間で、安全の当事者意識を高めた。第3の方法は、工場レベルの安全会議の運営をライン労働者に委ねるというものである。会議に出席する安全衛生担当者は、議事を予定通り進め、会合が「焦点の定まらない、不平会議」にならないよう予防すると、報告書はいう。
報告書は、安全衛生管理における13社の優良事例を検証した。報告書「安全衛生体制で効率と効果をめざす(Driving Efficiency and Effectiveness in Health and Safety Organizations)」の抜粋はオンライン、 www3.best-in-class.com で閲覧できる。
国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and
Health: NIOSH)は、労働災害データ図本2004年版の刊行前の版をウェブサイトに掲載した。この4年間で初の改訂版である。「労働衛生図本2004年版(Worker Health Chartbook 2004)」は、政府機関や団体、事業者、研究者、労働者その他労働データに関心のある人々のために、情報を提供することを意図したものである。図本は、www.cdc.gov/niosh/docs/chartbookで閲覧できる。表形式でデータを登録したディスケットは、電話(800)365-4674で求めることができる。
環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)のマイク・リービット長官(Mike Leavitt, Administrator)は先日、当局のクリーンエア・ノンロードディーゼル規則(Clean Air Nonroad Diesel Rule)に署名した。本規則は、2004年大気浄化規則(Clean Air Rules of 2004)のもと、先月発表した一連の方策の一部である。オフロードディーゼル規則は、建設業、農業その他の産業で用いられているノンロードディーゼルエンジンからの汚染排気物質を減らし、他方でディーゼル燃料に含まれる硫黄の除去を義務づける。オフロードディーゼルエンジンの硫黄の含有量は、2007年までに、3,400ppmから500ppmへと減らし、幹線道路を走行するディーゼルエンジンの基準に倣う。本規則を発表するにあたり、EPAは、公衆衛生や環境面の利益は、40対1の割合で、低公害性ディーゼル燃料の開発費用を上回ると述べた。
疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)の調査チームとニューヨーク市衛生担当官らは、世界貿易センターの災害現場への到着時刻および暴露時間が、呼吸器の症状や肺機能の重要な予測の判断材料となることを突き止めた。Chest誌2004年4月号(Vol. 125、No. 4)に掲載された調査では、世界貿易センターに最初の48時間に出動した消防士は、3日目から7日目に救援活動に参加した消防士に比べ、呼吸器の病状や肺機能の低下が大きいことが判明した。
分解されにくい12の有機汚染物質の製造・取引を禁じる国際協定が、5月17日発効した。「今後数年間で、国内投資や、数億ドルを確約した寄付団体からの資金5億ドル強を待ちに待った緊急性の高いイニシアチブに投入し、未来の世代が、われわれのように無視できない量の有害化学物質を体内に蓄積することのないよう、徹底する」と、国連環境計画(United Nations’ Environment Program)のクラウス・トッファー事務局長(Klaus Toepfer, executive director)は述べた。国際協定の対象となっている12の有機汚染物質は、アルドリン(aldrin)、クロルデン(chlordane)、DDT、ジエルドリン(dieldrin)、エンドリン(endrin)、ヘプタクロル(heptachlor)、ミレックス(mirex)、トクサフェン(toxaphene)、ポリ塩化ビフェニル(polichlorinated biphenols)、ヘキサクロロベンゼン(hexachlorobenzene)、ダイオキシン(dioxins)、フラン(furan)である。
鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は5月11日、「鉱山安全の一分間公報(Mine Safety Minutes)」第4巻の刊行を発表した。これは、デイブ・D・ローリスキー長官(Dave D. Lauriski, administrator)が、鉱山労働者や事業者に対し、業務上の危害およびその回避について注意を促す1分間公報を収録したものである。ローリスキー長官は、鉱山地域のラジオ放送局に対し、域内の労働者のために「鉱山安全の一分間公報」を放送するよう訴えている。MSHAによると、第4巻は、可動式機材のリスクについて論じており、こうした機材の絡んだ事故では、2003年の鉱山災害の死亡者数のおよそ3分の1が死亡したが、どうして死亡事故に至ったのかを考察している。
全米安全評議会(National Safety Council: NSC)の会員の皆様には、「速報」で、安全関連の重大ニュースを毎週お送りしています。ニュースは、本誌編集部が編集、会員の皆様に、毎週、eメールで最新情報をお知らせしています。会員の方でこの無料サービスをご希望の方、または会員資格をご希望の方は、www.nsc.orgをご覧ください。
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