このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2004年12月号

産業特集


 建設業

OSHA、六価クロム規則案を発表

 ワシントン − 一般産業、建設業、造船業における六価クロムへのばく露を規制する労働安全衛生庁(OSHA)の基準案は、10月4日付けの官報(Federal Register)に発表された。基準案は、六価クロムへの許容ばく露限界を引き下げるほか、ばく露制御の望ましい方法、呼吸器保護、個人用保護具や記録保持など、労働者保護の条項も設けている。
一般からのコメントは、2005年1月3日までに当局に提出すること。基準についての非公式の公聴会は、2005年2月1日、ワシントンで開催する。



事実チェック
最も多い労働死亡災害(2000〜2002年)

出 所:労働統計局(Bureau of Labor Statistics)、2002年労働死亡災害調査(Census of Fatal Occupational Injuries)



 製造業

安全衛生公報、ロガーブーツの潜在的危険性を警告

 ワシントン −  労働安全衛生庁(OSHA)はこのたび、爪先をスチールで覆った誤表示のロガーブーツに関連する、死亡事故の防止を取り上げた安全衛生公報(Safety and Health Information Bulletin)を発行した。公報は、爪先をスチールで覆った安全靴のメーカー、Georgia Boot社(テネシー州フランクリン市)は、ロガーブーツの3モデルが、電流に対し抵抗があるかのような不正確な表現で誤表示されている可能性があることを、最近になって気がついたと報じた。
 この誤表示は、労働者の感電リスクを高める結果になろう。同社は、全米消費者製品安全委員会(U.S. Consumer Product Safety Commission)と協力して、およそ1万足のロガーブーツを自主回収した。公報は、www.osha.gov/dts/shib/shib093004.htmlで閲覧できる。



鉱業

MSHA、騒音制御ガイドを更新

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、地下採鉱、地表採鉱、精錬所、準備用プラント向けの騒音制御情報ガイド(Noise Control Resource Guides)を更新中である。当局は、限られた時間で、機材メーカー、騒音制御装置メーカー、防音資材メーカーを招聘し、工学的騒音制御、資材、費用や企業窓口について、最新情報を提供しようとしている。
 MSHAのデイブ・D・ローリスキー長官(Dave D. Lauriski, administrator)からのCD-ROM付きの書簡は、200社以上もの機材メーカー、騒音制御・防音資材メーカー、販売業者の営業部長宛てに発送された。CD-ROMには、3つの情報ガイドの草案が記されている。
ガイドは、www.msha.gov/1999noise/noiseresources.html#guidesでも閲覧できる


MSHA、鉱山経営者に対し、冬季の危険を警告

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、寒冷気象が地下鉱山にもたらす危険性を鉱山経営者や鉱山労働者に対し警告する、恒例の冬季警報キャンペーンを開始した。記録によると、冬季には鉱業における死亡災害が発生している。
 今年の冬季警報キャンペーンのテーマは、「冬季警報をよく理解する(Get a Hold on Winter Alert)」。気象の変化が地下鉱山の環境にどう影響を及ぼすか、また、こうした危険性を緩和するために何ができるか、これらを理解することが重要であると強調している。MSHA職員は、冬季の間、冬季の危険性に関し、鉱山労働者や鉱山経営者の注意を喚起する資料を多数配布する。配布資料のなかには、安全作業に関する優良慣行を取り上げたポスターや保護帽用ステッカーが含まれている。
 冬季の危険性や、危険性の緩和をめざす当局の活動については、MSHAのウェブサイト、www.msha.govで詳細を閲覧できる。



 サービス業

FEMA、2003年度消防士死亡災害報告書を発表

 メリーランド州エミッツバーグ − 連邦緊急事態管理局(Federal Emergency Management Agency: FEMA)はこのたび、2003年に消防士111人が死亡した状況を詳述した報告書を発表した。報告書はまた、消防活動でのアルコール使用やリスク管理について特集を組み、ディーゼル排ガスや、建物内で消防隊員が方向感覚を失う火炎を取り上げている。
 2003年の死亡者数111人は、過去10年間および過去5年間の業務上死亡者数の平均値よりやや上回った。111人の死亡は、98件の火災によるものである。消防士二人以上が死亡した火災は、7件であった。2003年には、16歳の消防士2人が死亡、最高齢の死亡者は81歳であった。
 2003年度およびそれ以前の報告書や、「消防士の死亡災害を振り返る(1990-2000年)(Firefighter Fatality Retrospective Study 1990〜2000)」は、www.usfa.fema.gov/inside-usfa/nfdc/pubs/ff_fat.shtmで閲覧できる。



 運輸業

DOT、運輸研究・教育に助成金を交付

 ワシントン − 運輸省調査特別プログラム局(Research and Special Programs Administration, Department of Transportation: DOT)は、全米各地の大学運輸学センター(University Transportation Centers: UTC)での高等な運輸研究開発を支援するため、総額1,790万ドルの助成金20口を発表した。
 助成金は、次世代の運輸専門家の育成を支援し、国の運輸システムの安全、安全保障、効率面を改善することを目的としている。
 このUTCプログラムには、全米の75以上もの単科大学、総合大学が参加している。昨年には、UTC加盟の単科・総合大学は、運輸関連で高級学位を得た1,100名余を輩出し、およそ2千もの大学および大学院課程を提供し、約3百件の研究プロジェクトを実施し、3万2千人の現役運輸専門家に訓練を施した。
 助成金についての詳細は、オンライン、www.dot.gov/affairs/rsp1204.htmで閲覧できる。


FRA, 睡眠障害について安全勧告を発令

 ワシントン − 連邦鉄道局(Federal Railroad Administration: FRA)は、勧告書で、睡眠障害関連の危険性について警告している。当局は、注意深さや集中力が、鉄道の安全運行に重要であると述べた。当局は、列車を運転する、あるいは信号システムを監督・保守する労働者について、とくに懸念している。「こうした労働者の大半は、予測不可能なスケジュールで長時間労働しており、健康であっても、十分な休息を確保することは難しい」と、勧告書は述べている。
 10月1日付け官報(Federal Register)に掲載された勧告書は、睡眠障害がもたらす業務に関連したエラーや業務上の災害の防止に向け、鉄道会社や労働者が活用すべき対策を盛り込んでいる。


踏切での衝突事故の調査に向け、機関車にカメラを搭載

 ワシントン − 連邦鉄道局(Federal Railroad Administration: FRA)、ノースカロライナ州運輸省(North Carolina Department of Transportation)、ノーフォーク・サザン鉄道(Norfolk Southern Railway)は、連邦政府の資金協力を得て、デジタルビデオカメラを搭載した機関車を用いて、幹線道路と交差する踏切での実際の衝突事故や侵入事故のデータをリアルタイムで収集する調査プロジェクトを実施する。プロジェクトは、何千マイルもの鉄道運行の映像を収集し、事故やニアミスを分析する。
 ノースカロライナ州運輸省は、ローリー市(Raleigh)とシャーロット市(Charlotte)間を毎日運行するピードモント(Piedmont)旅客列車にビデオカメラを搭載した。
 ノーフォーク・サザン社は、22州、コロンビア特別区およびカナダ・オンタリオ州の850台の貨物用機関車にビデオカメラを搭載した。調査では、踏切の衝突事故や侵入事故に関わる人的要因を突き止める。また、ノースカロライナ州のSealed Corridor Initiativeの一部として実施された安全改善策の目標達成度や効果の評価も行う。同イニシアチブは、計画中の高速旅客列車用鉄道とも併せて、踏切の危険性の除去を徹底的に目ざす活動である。
 この種のデータは、以前は、調査目的のために確保されることはなかった。助成金は、収集したデータの検証・分析に用いられる。



 公益事業

電力会社、CO2規制を予期

 ワシントン − PA Consulting Groupの調査によれば、米国の電力会社の60%は、向う10年以内に二酸化炭素の排出規制を予期している。調査によると、電力各社は、地球温暖化ガスは政治問題に発展すると考えている。調査対象のおよそ半数は、温暖化ガスは科学的問題であるとも述べた。この調査結果にもかかわらず、CO2排出制限を事業計画に盛り込んでいるのは、調査対象の半数未満である。


大統領、国土安全保障予算法に署名

 ワシントン − ブッシュ大統領(President Bush)は、2005年度国土安全保障予算法(Homeland Security Appropriations Act of 2005)に署名、これで、港湾・国境安全保障、水道システムの安全確保や、多種多様な国土防衛策に対する予算289億ドルが成立した。
 新法には、緊急対応要員や、化学施設、水処理施設、橋梁、トンネルの安全保障強化に対する予算も含まれている。