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NSC発行「Safety + Health」2004年12月号

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調査報告:夜間の傷害は、疲労、職種とは無関係

 ワシントン − 労働統計局(BLS)の月間労働調査(Monthly Labor Review, Vol. 127, No. 9)に掲載された記事によると、労働者は、日中の勤務時間より深夜のほうが、業務上の傷害を被る可能性が高いが、これは、労働者の疲労や、夜勤労働者の従事する産業や職業の種類に起因するわけではない。
 調査の筆者、プリンストン大学経済学部(Department of Economics, Princeton University)の博士論文提出資格者、ケネス・N・フォーストン(Kenneth N. Forston)氏は、テキサス州の労災補償支払請求のデータを用いて傷害を評価し、傷害率は、正規の9〜5時シフト(交替時間)では低く、時間外の深夜では高いことを突き止めた。
 しかし、この傷害パターンの要因を突き止めるにあたり、フォーストン氏は、原因と考えられがちな疲労や、日中勤務者と夜勤労働者間の年齢、産業や職種の相違をしりぞけた。記事は、身体の注意力水準の日変動サイクルが、生化学的に制御されたプロセスで生じることを、概日リズムの調査が示していると言及する。この調査は、「労働者は、夜勤の間、最適な注意力に欠け、自分自身や同僚にとって危険な労働条件を助長している」証拠を示すものである。
 その結果、フォーストン氏は、「企業にとって、夜勤労働者を雇うのは、代償が要る」と警告する。企業は、日中の勤務時間に夜勤を補うことで、生産能力を増やすことはできるものの、夜勤は、疲労や長時間労働、産業や職業の種類にはまったく起因しない形で、傷害を増やす。フォーストン氏によれば、「これらすべての要因が、深夜の傷害の発生率の高さを説明できなかったということは、夜勤労働には、日中の労働に比べて危険性が高くなるという、夜勤自体に内在する特徴があると結論せざるを得ない」。