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NSC発行「Safety + Health」2005年1月号

産業特集


 建設業

OSHA、救命胴衣配備基準を解釈

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)が先日発表した基準解釈書簡(interpretation letter)によると、救命胴衣は、労働者が水深2フィート未満の水面上で作業する建設現場であれ、配備されていなくてはならない。
 OSHAは、建設基準要件1926.106に関し、水深に関する質問に応えて、説明した。水深2フィート未満の水のそば、またはその上では、溺死する危険性がある場合があり、「溺死の危険性がある場合」には、救命胴衣が必要であると述べた。
 当局は、溺死の危険性のあるなしを決定するいくつかの要因があると述べた。要因とは、水の形態(すなわちプール、河川、運河)、水深、水流の存否、水面からの高さ、墜落・転落防止装置の使用などである。
 解釈書簡の詳細については、www.osha.govを閲覧されたい。


欧州建設団体、安全宣言に調印

 スペイン、ビルバオ(Bilbao)− 2004年11月22日、ヨーロッパの大手建設団体は、欧州建設安全サミット(European Construction Safety Summit)で、労働安全共同宣言に調印した。調印者は、2002〜2006年度欧州連合労働安全衛生戦略(EU strategy on occupational safety and health 2002-2006)の実施に向けて義務づけられている重要かつ恒久的な改善を達成するため、適切な行動をとることに合意した。行動とは、以下のとおり。
  • 公共事業も含めた政府調達に、適切な安全衛生基準を組み込む。
  • 建設部門を対象とするすべての安全衛生法規の効果的な施行を確実にする。
  • 法令の効果的な施行を徹底するため、具体的なガイドラインを開発し、プロジェクト準備期間の優良事例(グッドプラクティス)を説明し、いかなる情報も、当該産業のニーズに合致し、具体的であるよう徹底する。
  • 設計業者が関与するすべてのプロジェクトについて、リスクを無理のない範囲で可能な限り排し、残りのリスクを際立たせる。
  • 社会的パートナーの関与を通じ、安全衛生行動を改善する。



事実チェック

2003年度産業別労働災害死亡者数・率

産業部門 死亡者数 死亡率
(労働者
10万人あたり)
建設業            
1,126
11.7  
運輸・倉庫業        
805
17.5  
農林水産業・狩猟
707
31.2  
官公庁            
532
 2.5  
専門・事業サービス
452
 3.3  
製造業          
416
 2.5  
小売業         
343
 2.1  

出 所:労働死亡災害調査(Census of Fatal Occupational Injuries)、2004年



鉱業

ローリスキMSHA担当労働副長官の辞任で、代行にダイ氏指名

 バージニア州アーリントン −  デイビッド・G・ダイ副長官補(David G. Dye, Deputy Assistant Secretary)は、2004年11月19日、鉱山安全衛生担当労働副長官代行(acting Assistant Secretary of Labor for Mine Safety and Health)に指名された。
エレイン・チャオ労働長官(Elaine Chao, Secretary of Labor)は、同氏を「わが国の鉱山労働者の安全と福祉を引き続き第一とするよう、鉱山労働安全衛生庁(MSHA)を引っ張っていく老練なリーダである」と称した。
 ダイ氏は、2001年6月労働省に入省、雇用訓練庁(Employment and Training Administration)担当副長官補(deputy assistant secretary)を務めた。2004年5月には、MSHAの政策起草担当副長官補(deputy assistant secretary for policy beginning)に就いた。ダイ氏は、11月19日に退任したデイブ・ローリスキ(Dave Lauriski)前副長官の後任である。


MSHA、大気質規則案の撤回を説明

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(MSHA)は、2004年11月19日付官報(Federal Register)で、1989年の大気質規則の撤回について、包括的な説明を発行した。MSHAは、2002年、同規則の撤回は「恣意的で場当たり的」との連邦裁判所の裁決で、説明を命ぜられた。
 MSHAの規則案は、600以上もの化学物質について、ばく露限界を設けるものであった。MSHAは1994年、規則の一部として、研磨剤の爆発とドリル粉じん制御を採択した。しかし2002年には、当局は、規則案の残りから手を引いた。
 MSHAは、説明の中で、規則案の撤回という決断は、「当局の優先順位の変更の結果であり」、アメリカ労働総同盟産業別労働組合会議(AFL-CIO)対労働安全衛生庁(OSHA)の訴訟で、第11巡回控訴院(U.S.Court of Appeals for the 11th Circuit)が、428種類の有害物質について新しい許容ばく露限界を定めたOSHAの規則を無効とした裁定の反動もあっただろうと述べた。
 当局は、規則案を刊行して13年以上も経過し、内容が古くなったと主張した。
 規則案の撤回に関する詳細は、www.msha.govで閲覧されたい。



 サービス業

NIOSH、抗新生物薬ガイドを発表

 アトランタ − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、保健衛生労働者の抗新生物薬への業務上ばく露について警告するパンフレットをウェブサイトに掲載した。これらの薬剤は、ガン治療に広く使われているが、労働者の健康に悪影響を及ぼすこともある。腹痛、咳、目まい、吐き気や赤面などといった症状がでる。
 パンフレットは、どの種の労働者がもっとも危険か、どうやってこれらの薬剤にばく露するか、説明している。また、ばく露の予防・低減に向けた制御方法や労働慣行を挙げている。
 パンフレットは、www.cdc.gov/niosh/docs/2004-102で入手できる。


EPA訓練ビデオ、飲料水のリスク判断を支援

 ワシントン −  環境保護局(EPA)は、保健衛生労働者に対し、飲料水が源となる疾病を認識、報告し、予防するのを支援する教育訓練ビデオを発表した。
 「保健衛生労働者のための飲料水情報(Tap into Prevention: Drinking Water Information for Health Care Providers)」は、疫病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)および傘下の有害物質・疾病登録局(Agency for Toxic Substances and Disease Registry)の共同で開発した。
 ビデオでは、飲料水中の細菌汚染や汚染化学物質へのばく露による潜在的な健康リスクを説明し、保健衛生労働者がそれぞれの職場で講じうる是正措置を実演している。また、1993年にミルウォーキー市で蔓延したクリプトスポリディオシス(cryptosporidiosis)や、フィラデルフィア市全域の学校における飲料水中の鉛検出プログラム、ミネソタ州の農村地帯で、井戸の硝酸肥料やバクテリア汚染の検査について、妊婦やその伴侶に教える公衆衛生看護師の活動といった事例研究を盛り込んでいる。
 ビデオの詳細は、www.epa.gov/safewater/heathcareを開かれたい。


血液媒介病原体に関する訓練プログラム、オンラインで登場

 ニューヨーク − コロンビア大学メールマン公衆衛生学部(Columbia University Mailman School of Public Health)の調査チームは、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の資金協力を得て、保健衛生労働者を対象とした血液媒介病原体に関するウェブ学習プログラムを開発した。
 この模擬訓練プログラムは、成人は、学習課程に積極的に参加するほうが、よく習得するとの前提に立っている。参加者は、実話を模した話を読み、決断を下し、各自結論を導く。この訓練を終了した看護師は、成人教育課程の3単位までを得る。
 詳細については、www.bbp-nursetraining.hs.columbia.edu「看護師のための血液媒介病原体に関する訓練(Bloodborne Pathogen Training for Nurses)」を閲覧されたい。