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NSC発行「Safety + Health」2005年2月号

産業特集


 農業

EPA、臭化メチルの使用を修正

 ワシントン − 環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)は、オゾン層を破壊する燻蒸剤、臭化メチルの段階的廃止と割り当てを規制する規則を修正中である。修正規則では、残存する必要最小限のニーズを満たすため、新規の生産や輸入を適用除外として許可する。修正により、2005年には、必要最小限のニーズのために米国の基準消費量の約35%が確保される。
 臭化メチルは、全米各地で、農業や日用品といった用途に広範に利用されてきた。用途例として、いちご・トマト栽培、製粉所の燻蒸などが挙げられる。今回の必要最小限の使用に対する適用除外は、技術的、経済的に臭化メチルの代替品がないユーザーを救済するために設けられた。
 EPAは毎年、モントリオール議定書(Montreal Protocol)の枠内で、将来の必要最小限の臭化メチル供給量を規制する規則を公布する。臭化メチルの割り当てや使用量は、EPAが厳しく規制・監視する。
 今回の措置および臭化メチルの規制については、www.epa.gov/ozone/mbrで詳細を閲覧できる。


過密養豚場で、多剤耐性菌を発見

 ボルティモア− ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部(Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health)の調査チームによると、過密な養豚施設からの空気を吸うと、抗生物質耐性菌にばく露する可能性がある。
 調査チームは、米中部大西洋地域の大規模養豚場内で採集した空気試料中に、最低2種類の抗生物質に耐性のある細菌を検出した。論文は、「環境衛生への視点(Environmental Health Perspectives)」のオンライン版に掲載された。
調査の主著で、ブルームバーグ公衆衛生学部環境衛生科学科(Department of Environmental Health Sciences)の博士課程に在籍するエイミー・チャピン(Amy Chapin)氏は、産業用動物の飼育に抗生物質を使用すると、人間の健康を脅かす抗生物質耐性菌の発生に大きく影響を及ぼすと説明した。動物に抗生物質を使用すると、人間の感染症を治療する際に、当該抗生物質の効果が減る可能性がある。
 過密状態の家畜飼育場における労働者は、浮遊する抗生物質耐性菌にばく露する危険性が高いと、調査チームは考える。これらの労働者は、家族やより広く地域社会へ伝染させる可能性のある、薬剤耐性菌の保菌者になることもある。



事実チェック
交通渋滞の年間平均費用(単位:百万ドル)
都市の規模 1998 1999 2000 2001 2002
超大規模都市平均   (R) 2,991 (R) 3,264 (R) 3,257 (R) 3,454 (R) 3,652
大規模都市平均 (R) 503 (R) 561 (R) 580 (R) 619 (R) 639
中規模都市平均 (R) 121 (R) 137 R) 144 (R) 159 (R) 170
小規模都市平均 (R) 28 30 (R) 34 (R) 35 3

出 所:米国運輸統計局(U.S. Bureau of Transportation Statistics)、2004年

記号・略語:
R=改定値
超大規模都市:人口300万人以上
大規模都市:人口100万人以上300万人未満
中規模都市:人口50万人以上100万人未満
小規模都市:人口50万人未満
渋滞費用は、移動1時間あたり、および燃料1ガロンあたりの価値に基づき推計した。




鉱業

NIOSH、炭鉱労働者の粉じん用個人サンプラー利用状況を調査

 アトランタ − 国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)は、炭鉱労働者は、粉じん用個人サンプラーから得た情報に対応して、行動をどう修正するか、これを調査する予定であると発表した。
 NIOSHの目標は、炭鉱労働者が、粉じん用個人サンプラーの情報をどのように利用しているかを把握し、吸入性粉じんへの過剰ばく露をもたらすのは、作業のどの部分か、あるいは労働環境のどの側面なのかを突き止め、ばく露の低減に向け、作業者が講じることのできる是正措置の種類を決めることである。
 調査は、全米各地の石炭の主要産出地域の5炭鉱で、1炭鉱あたり約20人の炭鉱労働者に対するインタビュー方式で実施する。調査は2年間で、被験者には、調査に協力する時間以外、費用負担はない。


 運輸業

航空機産業調査で、訓練・気象情報の必要性が判明

 アトランタ − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の資金協力による事業者―パイロット比較調査によれば、アラスカ州のパイロット、コミューター機やエアタクシーの事業者は総じて、より良い気象情報と、地域特有の空の危険に関する訓練の拡充が、この高危険度産業における衝突事故の防止に役立つという点で同意している。
 NIOSHは、調査結果を「航空宇宙環境医学 (Aviation, Space and Environmental Medicine, Vol. 75, No. 11)」に発表した。
安全の改善方法について質問したところ、事業者は、パイロットに比べると、経済性と採用前の適性検査の徹底を選好した。
 大規模航空会社のパイロットの48%、小規模会社のパイロットの73%は、航空産業は労働死亡災害率が高いにもかかわらず、自分たちの職業は、その他の職業と同程度に安全であると考えていた。事業者―パイロット比較調査の結果から、事業者は、財務状況で、衝突事故の効果的な防止対策に関する見方を左右される可能性があり、アラスカ州のパイロットは、労働死亡災害のリスクを過小評価していることがうかがえると、NIOSHは述べた。
 調査は、NIOSHが、アラスカ州の航空産業その他の産業の労働死傷災害を減らそうと、労使その他の団体とパートナーシップを組んで進めている作業の一部である。アラスカ州では、航空機衝突事故は、労働死亡災害の筆頭原因で、同州のパイロットの死亡率は、米国の全労働者のおよそ100倍、全米のパイロットの5倍以上である。
 アラスカ州の商業航空安全についての調査は、www.cdc.gov/niosh/injury/traumaaviation.htmlに詳細を掲載している。


ユニオン・パシフィック社、鉄道安全遵守協定を締結

 ワシントン − ユニオン・パシフィック(Union Pacific)社はこのたび、一連の鉄道事故を踏まえて、鉄道安全問題を解決するため、連邦鉄道局(Federal Railroad Administration)と遵守協定を締結した。
 ユニオン・パシフィック社を総合的に見直した結果、同社は、現場実技試験プログラム(Field Testing Exercise: FTX Program)の適切な実施と管理に落ち度があったとの結論が出た。現場実技試験プログラムは、鉄道乗務員の鉄道運行規則その他の連邦安全法規の遵守ぶりを試験するものである。
 このたびの1年間の協定で、ユニオン・パシフィック社は、サン・アントニオ事業部に次の対策を採らせる。
  • 鉄道試験マネージャー全員を対象に、FTXプログラムの内容・要件を再教育するプログラムを即開始する。
  • FTXプログラムデータの月間分析を実施し、出てきた問題を是正する月間計画を策定し、ユニオン・パシフィック社本社には、月間計画を四半期毎に監査するよう義務づける。
  • 遵守協定の実施を直接担当する役員を任命する。
連邦鉄道局は、ユニオン・パシフィック社の協定履行を監視するスタッフを支援するため、テキサス州に監督官を派遣した。


EPA、機内飲料水に関する新ルールを実施

 ワシントン − 環境保護局(EPA)は、2004年11月9日、米国の旅客機各社が、新しい機内の飲料水の検査・殺菌方法を履行する旨確約したと発表した。
 この発表に先立ち、EPAは、2004年8〜9月に無作為に抽出した旅客機158機に対しておこなった飲料水の検査結果を発表した。EPAが2004年9月20日に発表した暫定データによると、米国内の国内線、国際線旅客機158機のうち12.6%は、EPA基準に満たない飲料水を搭載していた。