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NSC発行「Safety + Health」2005年2月号

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調査:ベンゼンばく露限界値は、まだ高い

 ワシントン − 中国の工場労働者を対象にした最近の調査によると、工業用溶剤であるベンゼンへの職業性ばく露は、連邦ばく露限界値未満の水準であっても、病原体と闘う白血球数を著しく減らす可能性がある。
 調査では、天津の靴工場労働者250人を対象とした。109人のグループは、平均0.57ppmのベンゼンにばく露したが、この値は、労働安全衛生庁(OSHA)がアメリカの職場向けに設定した1ppmより低いにもかかわらず、白血球数が大幅に減少したことをつきとめた。
 この後に続く試験を経て、ベンゼンへのばく露は、血球となる骨髄細胞の成長・増殖を阻害することが推察されると、調査チームは述べた。
 ベンゼンは、プラスチック、樹脂、接着剤や合成繊維の材料である。製靴、船積み、自動車修理や、石油・ガソリンの精製・輸送に日常的に用いられている。
 調査は、国立ガン研究所(National Cancer Institute)のチング・ラン氏(Qing Lan)とナサニール・ロスマン氏(Nathaniel Rothman)、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)のマーティン・スミス氏(Martyn Smith)が指揮をとった。調査は、サイエンス誌 (Science, Vol. 306, No. 5702)に掲載された。