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安全の評価
−自社の労働災害発生率を知る−

Sizing up safety: Know your company's injury rates
ジェームズ・パーカー

資料出所:National Safety Council (NSC)発行
「Safety+Health」2005年3月号p.50
(仮訳 国際安全衛生センター)



 自社の安全計画はうまくいっているか。同業他社と比べてどうですか。皆さんはどのような方法により、うまくいっていると思っているか。このような質問に対する1つの答えが、自社の労働災害発生率を分析することである。
 それは、労働者数当たりの労働災害発生件数を見ることである。
 労働省統計局(BLS)では、特定の産業別の死傷災害と同じように、全民間部門の死傷災害の統計も作成している。自社の労働災害発生率を全国のものと比較することにより、自社の安全の成績が同業他社と比べてどのような位置にあるのかについて見解を示してくれる。又、安全の成績が時間と共にうまくいっているか、いないかということを決定するためには、過去のデータをチェックすると同時に、自社の他部門あるいは他の施設との労働災害発生率を比べることもできる。死亡災害発生率は、労働者10万人当たりの死亡者数を基本としている。BLSの暫定データによると、全民間部門での死亡発生率は、2004年は4.0件であった。傷害発生率(労働者100人当たりの傷害発生数)は、2004年は、5.0件であったとBLSは報告している。

データの収集

 企業の傷害発生率を計算するためには、傷害件数及び疾病件数並びに労働者が実際に働いた労働時間というような情報が必要である。BLSは、これらのデータを作成するための各種方法を提案している。例えば、傷害及び疾病件数を計算するのに用いるデータとしては、その年のOSHAへの報告件数を含む業務上傷害及び疾病を記録したOSHA様式300がある。更に、OSHA様式300Aには、業務上傷害及び疾病概要、死亡者数、休業件数、作業転換あるいは就業制限を受けた件数及びその他記録することが求められている事故が含まれている。
 全従業員が実際に働いた労働時間を調査する際には、賃金が支払われた時間とし、働いていない時間(休暇、病気休暇及び祭日が含まれる)は除外しなければならない。賃金が、コミッションや、出来高払い給料、走行マイル当たりといったものに基づいて支払われる労働者の場合は、実際の労働時間が分からないので、計画された時間や、一労働日当たり8時間を基本として、労働時間が算出される場合がある。又この数字は、業務上傷害及び疾病の概要を含め、賃金台帳、あるいはその他の勤務時間記録を初めとする資料からも利用可能である。

労働災害発生率の計算

 傷害件数及び労働時間数が分かったならば、発生率をコンピューターで計算することで、問題は簡単となり、電卓で計算できる。20万を掛けることで−100人の労働者が週当たり40時間働いて、年間50週働くとした場合に相当する−災害発生率の標準的ベースが作成されるとBLSは言う。傷害発生率は、全傷害件数を20万倍して、それから全労働時間で割ることで決定される。
 例えば:自社で昨年12件の傷害災害があり、全労働者の総労働時間数が35万時間とすると、この計算はこのようになる:
12×200,000/350,000 = 6.8件/労働者100 人当り

このデータ以外の要素

 もちろん、この統計的な比較は完全なものではない。傷害発生率は、2つのグループを比較することで参考となる見解を示してくれる。しかし、この数字では相対的なハザードの相違については調整していない;例えば、保険会社の事務室の環境と建設現場のハザードに関しであるとNSC統計部長、アラン・ホスキン氏は語る。
 この発生率は、それ自体では、意味がない;意味があるとすれば、他の発生率と比べる場合にのみ、意味があるとホスキン氏は語る。自社の発生率を全民間部門及び特定の産業の発生率と比較することによって、自社の安全の計画が平均より、うまくいっているか、いないか、そして計画が良くなる方向に向っているのか、どんどん悪くなる方向に向っているのかという点でかなり有益な見解を示してくれるとホスキン氏は話した。

業種別5大傷害発生率(2003年)
軽トラック及び多用途車製造業 18.0
銑鉄鋳物製造業 16.0
ゴム・ビニール履物製造業 15.5
鋼鉄鋳造業 15.2
組立住宅製造業   14.9
     
注)率:常時雇用されている労働者100人あたりの傷害件数
傷害:全報告より