このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2005年3月号

産業特集


 農業

EPA、除草剤2,4-Dのリスク軽減策に関し、コメントを公募

 ワシントン − 環境保護局(EPA)は、1 月12日付官報(Federal Register)通知で、除草剤2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-dichlorophenoxyacetic acid)のリスクアセスメントと暫定リスク軽減策オプションを発表した。当局は、水中や土壌での2,4-Dの利用に関連した、飲料水や住居、職場や環境への潜在的リスクの管理について提言するよう、一般市民に奨励している。コメント募集期間は、3月14日で締め切る。
 広く使用されているフェノキシ基除草剤2,4-Dは、農場、森林、水中や住宅・芝生で多種多様の広葉雑草を抑制する。
 EPAの官報通知は、www.epa.gov/fedrgstr/EPA-PEST/2005/January/Day-12/p505で閲覧できる。2,4-Dのリスクアセスメント、暫定リスク軽減策案および関連書類は、www.epa.gov/pesticides/reregistration/status.htmで閲覧できる。

農業安全教育センター、10周年

 アイオワ州ピオスタ − 米国農業安全教育センター(National Education Center for Agricultural Safety: NECAS) は、今年10周年を迎えた。
 NECASは、全米安全評議会(NSC)とノースイースト・アイオワ・コミュニティ・カレッジ(Northeast Iowa Community College)の共同事業である。NECAS建設費用として、アイオワ州議会は、1995年、100万ドルを拠出した。今日、NECASは、毎年2千名を越える学生や農業従事者を教育・訓練している。NECASは、全米の農場・牧場労働者やその家族の傷害を減らす目的で、訓練プログラムを作成している。2004年7月には、若年のトラクター運転者の重大事故を防止する目的で、二つの対話式訓練プログラムを実施したが、これには、37を超える州から受講者が集った。NECASはまた、高校生を対象とした新しい農業安全カリキュラムを開発・実施した。この活動は、農場で増える一方の傷害・死亡リスクにさらされる数千名もの学生を対象とした、新しい対話式訓練へと実を結ぶことになる。



事実チェック
民間企業での労働者1万人あたりの腰痛罹病者数(2001年)

民間企業での労働者1万人あたりの腰痛罹病者数(2001年)
出 所:国立労働安全衛生研究所(NIOSH)、2004年



 建設業

英国、墜落・転落防止装置の破損を警告

 英国、ケアフィリ − 英国安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)は、墜落・転落防止装置、とくにショックアブソーバー付U字つりランヤード(twin tailed energy absorbing lanyard)の使用について、警告を発した。この警告は、ランヤードの破損で、労働者1名が死亡したオーストラリアの最近の事故を受けたものである。
 「ショックアブソーバー付U字つりランヤードの墜落・転落防止装置を使用する者はすべて、メーカーの取り扱い説明書を理解し、これに従うことが肝要である」と、HSE建設課技術班(Construction Division Technology Unit)のマーティン・ホールデン主席技術監督官(Martin Holden, principal specialist inspector)は述べた。「労働者は、ランヤードの正しい使い方を知らなければならないし、使用前に定期的に点検すべきである。怪しい場合は、事業者は、メーカーまたは納入者に連絡せねばならない。ランヤードは、注意して取り扱い、地面の上を引きずったり、汚してはいけないし、けっして鋭い面や角のある面に巻き付けてはならない」。
 勧告を閲覧するには、www.hse.gov.uk/press/2004/e04168.htmを開かれたい。



鉱業

MSHA:2004年度鉱業死亡者数、最低値を記録

 バージニア州アーリントン −  鉱業安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)が1月5日に発表した暫定統計によれば、米国の鉱業における死亡者数は、2004年に最低値を更新した。
 MSHAによると、昨年死亡した鉱業労働者は、54人。これまでの最低値は、2003年度の56人であった。石炭鉱業の死亡者数は、2003年の30人から、2004年には28人に減った。2004年の金属・非金属鉱業の死亡者数は、26人であった。報告された54人の死亡災害のうち、37人は採掘場の地表の事故で、17人は地下の事故で、死亡した。



 サービス業

OSHA、病院に大規模災害時の対応を手引き

 ワシントン − 保健衛生施設を対象に、大規模災害への対処を手引きした新しい刊行物が、労働安全衛生庁(OSHA)で入手できる。
 「有害物質の放出を含む大規模災害の被災者の病院収容に関するOSHAのベスト・プラクティス(OSHA Best Practices for Hospital-Based First Receivers of Victims from Mass Casualty Incidents Involving the Release of Hazardous Substances)」と題した刊行物は、化学、生物、放射性兵器や核兵器を伴うテロ攻撃など、最悪のシナリオを想定した緊急事態計画を開発する際に必要な情報を、病院に提示している。
 当局によると、本書は、全米各地の病院で開発された緊急事態計画を引用した。本書は、被災者と接触することで、ばく露のリスクのある保健衛生専門家を対象とした訓練や適切な個人用保護具を中心に据えている。また、大規模災害に対応した保健衛生労働者のための除染手順や健康診断について、実例を付表に挙げているのが特色である。
本書は、OSHAのウェブサイト、www.osha.gov/dts/osta/bestpractices/firstreceivers_hospital.htmlで入手できる。


国際消防署長協会、保健衛生施設の火災安全報告書を発表

 バージニア州フェアファックス − 国際消防署長協会(International Association of Fire Chiefs: IAFC)は、先日、保健衛生施設の火災安全と法律問題の発生を検討した報告書を発表した。これら「保健衛生施設の火災安全をめぐる円卓会議報告書(Healthcare Fire Safety Roundtable Report)」と「法律の新たな問題に関する円卓会議報告書(Emerging Code Issues Roundtable Report)」の二つの報告書は、2004年に開催された会議の成果物である。
 消防および保健衛生分野の専門家らは、介護施設、生活介助施設や退職者コミュニティなどといった施設内の生命安全をおびやかす危険を検討した報告書を作成した。会議の出席者らは、訓練、教育、傷害予防のための方針や手順、消防法・法規の適用の一貫性の改善や、避難計画なども含め、こうした諸施設での火災安全を改善する12の戦略を打ち立てた。
 二つめの報告書は、シカゴ市やロードアイランド州ウォリック市(Warwick, RI)で2003年に起きたナイトクラブの大火災を受けて、消防法改正に向けた勧告を論じている。昨年の二つの会議には、50人を超えるさまざまな分野の消防専門家が参加したが、その際の討議内容を下敷きにしたものが、本報告書である。目標は、モデル統一消防・生命安全法を作成するための戦略開発である。
 二つの報告書とも、www.iafc.orgで全文を閲覧できる。


調査:医師の過労は病院の責任

 マサチュ−セッツ州ウォールサム − ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(New England Journal of Medicine, Vo. 352, No. 2) 掲載の調査によれば、過労で疲労した研修医が、交代勤務の後、車を運転して帰宅するのは、飲酒運転者と同じくらい危険である。
 この調査によれば、24時間以上の交代勤務に就いた研修医が、仕事帰りに重大な衝突事故に巻き込まれる可能性は、これより短い時間勤務した医師の倍であった。
睡眠不足の労働者は、ミスを犯しやすいことを示す調査があるにもかかわらず、米国の医療現場は、研修医の勤務時間の削減には消極的である。米国のガイドラインでは、研修医は、隔回毎の30時間連続勤務を認めているが、最近の調査によると、研修医は、1交代あたり平均32時間を月4回こなしている。



 運輸業

連邦鉄道局、鉄道業界に向け、転轍機安全ガイドラインを公布

 ワシントン − 連邦鉄道局(Federal Railroad Administration: FRA)は、全米の鉄道会社に対し、転轍機の操作の監視手順を強化するよう、安全勧告を公布した。この1月11日付勧告は、一方の軌道から他方に切り換えるスイッチを誤った位置に切ってあったため、列車が脱線する事故が、最近多発したのに対応したものである。
 安全勧告は、鉄道各社に対し、いつ信号のない区域での手動転轍機を、本線から側線に切り換え、また、本線運行のため、通常の位置に戻すかを文書に記録せねばならないと指摘している。また、これらの行動を、乗務員や発車係全員に伝達すべきである。この注意・伝達の向上で、スイッチをうっかり切りそこなうことがないよう、徹底することができると、当局はいう。
安全勧告書は、www.fra.dot.gov/Downloads/Safety/Advisories/sa_2005_01.pdfで閲覧することができる。