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NSC発行「Safety + Health」2005年3月号
報告書、交代勤務の高い労働移動率は、労働安全を損なうと警告 |
交代勤務の実態に関する新しい報告によると、交代制操業における労働移動率は、2005年に急増しつつあり、労働安全衛生に重大な悪影響を及ぼす可能性がある。
経済は不況を脱し、財・サービスに対する需要増をつくり出しているが、産業界は、人員を補充せず、従業員により長時間働かせ、一週間あたり計6.5時間も時間外労働をさせている。この種の時間外労働は、労働者を極度に疲弊させ、退職させることにもなり、持続不可能であると、報告書は述べた。
全米安全評議会(National Safety Council: NSC)労働安全衛生訓練・コンサルティングサービス部長(director
of training and consulting services, occupational safety and health)のロン・ミラー(Ron
Miller)氏によると、高い労働移動率は、安全の見地から、安全指導や特定職能訓練をより頻繁に企業に繰り返させることとなり、これがミスを招くことになるという。
「安定した労働力は、技能を開発するにつれ、仕事をより上手に完遂させるようになり、安全や効率も改善していく。… 安全訓練の時間や費用は、膨大になってくる。これでは、訓練は効果のないものとなりがちで、傷害を増加させることになる」と、ミラー氏は述べた。
米国民の2,400万人は、「時間外労働」をしている。時間外労働とは、勤務時間の一部または全部を7a.m.〜7p.m.以外の時間帯でこなすことをいう。
出 所:Circadian Technologies、2005年 |
労働移動率は、製造工場から介護施設、大型スーパーにいたる24時間操業の企業で、交代勤務する従業員の間でとくに高い。2004年の移動率は、交代勤務労働者で10%、一方、日勤労働者では3.4%であった。報告書は、この高い労働移動率について、過労や安全衛生面での諸問題の増加といった問題を指摘した。2004年で移動率のもっとも高かったのは、保健衛生産業、運輸業、顧客サービス業で、採用・訓練の平均費用は、新規採用者一人あたり3万ドルに達した。
交代勤務制を取り入れる産業別労働移動率(%)
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出 所:Circadian Technologies、2005年 |
交代制操業で、中度から重度の疲労問題を報告する企業は、やはり高額の労働災害補償費用を報告していると、報告書は指摘する。このような問題を挙げる企業は、2003年の50%から、2004年には61%に増加した。
交代勤務労働者の高い労働移動率に対処するひとつの方法としては、既存の安全訓練に、交代勤務への対処をめぐる訓練を組み込むことであると、報告書の共著者、アレックス・ケリン(Alex
Kerin)氏は述べた。「安全基礎訓練は、たいていの場合、ロックアウト/タッグアウトその他の必須事項に『的を絞っている』が、交代勤務への対処法はない。慣れない者が、交代勤務に順応するのは、ほんとうに苦痛である」
訓練には、睡眠パターンに関する情報や、夜勤労働者が睡眠をとる必要があるときには、電話の電源を切るなどといったヒントを盛り込むべきである。
報告書によると、交代勤務への対処を訓練していない企業では、労働移動率は11%であったが、労働者を訓練した企業では8%、労働者とその家族を訓練した企業では3%であった。
交代勤務時間中、休憩の際などに仮眠をとるのは、疲労対策の強力な手段であるが、これを公然と認めているのは、報告書で扱った企業のわずか7%にすぎないと、ケリン氏は付言した。「ひとに、『疲れるな』というだけではだめだ」とケリン氏。「労働者の安全と工場の安全のためには、肩をとんと叩いてやり、『たいへん疲れているようだ、15分間休憩しなさい』というほうがよい」
報告書「2005年交代勤務の実態(Shiftwork Practices 2005)」は、マサチューセッツ州レキシントン市(Lexington,
MA)の調査・コンサルティング会社、サーカディアン・テクノロジーズ(Circadian
Technologies)社が編集した。同社は、24時間操業を行なう企業にサービスを提供している。今回の第6次年報は、すべての主要産業にわたる129,000人の交代勤務労働者を代理して会社経営陣から提出された回答400件を下敷きにしたものである。
労働移動1件あたりの産業別平均費用(ドル)
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