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NSC発行「Safety + Health」2005年4月号

産業特集


 建設業

OSHA、安全掘削情報を提供

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、安全な掘削慣行や、建設掘削の安全に関して国が定める義務について、労使の理解を促す新しい安全情報ポケットカード「掘削面・溝の安全(Safety in Excavations or Trenches)」を配布している。カードは、表には英語で、裏面にはスペイン語で印刷されている。カードは、深さ5フィート以上の掘削面・溝には、防護システムが必要であると説明している。また、掘削面や溝の側壁は、少なくとも次の基準のひとつを満たさなければならないとしたOSHAの要件を強調している。安定させるため、傾斜にする。階段状または段切り状の勾配をつける。杭、梁、支柱、張り板や油圧ジャッキからなるシステムで支持する。支保工で支える。労働者から25フィート以内に、脱出用梯子を設置する。カードは、www.osha.gov/Publications/trench/trench_safety_tips_card.pdfで閲覧できる。


ANSI、掘削・建設基準を再確認

 イリノイ州デプレインズ − 米国規格協会(American National Standards Institute: ANSI)の事務局を務める米国安全技術者協会(American Society of Safety Engineers: ASSE)によると、ANSIは、先日、ANSI A10.12掘削・建設基準を再確認した。同基準は、解体業、建設業の掘削を扱ったものである。ASSEによれば、同基準は、現在、政府機関の参照するところではないが、多種多様な契約書や労働契約のなかで用いられている。詳細は、オンライン、www.asse.org/3812_links.htmで閲覧できる。



事実チェック
傷害種類別支払い請求一件あたりの労災補償費用平均額(2001〜2002年)

出所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、Injury Facts、2004年



 製造業

十代労働者、コンクリート、倉庫安全で、新刊書

 ワシントン − 労働安全衛生の増進をめざした新刊4冊が、労働安全衛生庁(OSHA)から出た。最初の2冊は、十代労働者向けパンフレットとポスターで、若年の男女労働者の権利と責任を取り上げている。当局はまた、「労働安全シリーズ(Worker Safety Series)」で、コンクリート製造業および倉庫業の2冊を新たに作成した。これらの出版物は、各々の職種に関連する危険を特定し、防止策を示している。
 十代労働者のパンフレットは、www.osha.gov/Publications/3244_Teen_Worker_Brochure.pdf を開かれたい。
 十代労働者のポスターは、www.osha.gov/Publications/3231_Teen_Poster.pdf で閲覧できる。「労働安全シリーズ」の出版物は、www.osha.gov/Publications/3221_Concrete.pdf およびwww.osha.gov/Publications/3220_Warehouse.pdf で閲覧可。


精肉・鳥肉産業で、新刊報告書

 ワシントン − 政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)の新しい報告書によると、精肉・鳥肉産業の安全は、改善しつつあるなかで、さらに強化することができる。報告書は、当該産業は、他の産業に比べ、もっとも高い傷病率をいくつか記録していると指摘した。報告書は、労働安全衛生庁(OSHA)の活動は、業界の傷病率に前向きな影響を与えてきた形跡があると述べ、精肉・鳥肉工場の監督事業場選択基準を改善するよう、OSHAに勧告している。
詳細は、www.gao.gov/docsearch/abstract.php?rptno=GAO-05-96を開かれたい。
 他方、人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch、在ニューヨーク市)の報告書は、米国の精肉・鳥肉産業の労働者は、不必要に有害な労働条件に甘んじていると主張する。
 報告書「血と汗と恐怖:米国の精肉・鳥肉工場における労働者の人権(Blood, Sweat, and Fear: Workers' Rights in U.S. Meat and Poultry Plants)」はまた、企業は、生産ラインを速すぎるスピードで操業し、しばしば負傷労働者への労災補償を拒否し、ユニオンショップを組織しようとする労働者を脅迫・解雇し、移民労働者の不正雇用を口外させないよう、移民の身分につけ入ると記述している。
 同団体は、ネブラスカ州の精肉業、ノースカロライナ州の屠畜業、アーカンソー州の鳥肉加工業を調査した結果、この結論に達した。
同団体は、報告書のなかで「政府権力のみが、労働安全衛生および労災補償給付に関する業界規模の強力な規則という一律の最低基準を設定することができる」と述べ、事態の改善に向け、政府の介入を強く勧告している。
報告書は、オンラインhttp://hrw.org/reports/2005/usa0105で閲覧できる。



 鉱業

採鉱の季節的な危険をテーマに、MSHAセミナー

 バージニア州アーリントン −
鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、全米岩石砂土砂利協会(National Stone, Sand and Gravel Association、バージニア州アレクサンドリア市)と共同で、全米各地の採鉱場で、温暖気候の到来が引き起こす特有の危険をテーマに、40州で49の無料、無登録制ワークショップを開催すると発表した。
デイビッド・G・ダイMSHA長官代行(David G. Dye, acting MSHA administrator)は、春の雪解けは、地層のずれを引き起こすことがあり、鉱山労働者の安全に重大な影響を与えると述べた。統計では、鉱山事故は4月、5月に増加すると、当局はいう。
 開催日時、場所を記載した全ワークショップの一覧表は、www.msha.govを開き、「近々実施されるイベント(Upcoming Events)」をクリックすると、閲覧できる。

MSHA、安全番人賞プログラムを拡充

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、全米鉱業協会(National Mining Association, 在ワシントン市)と協力して、安全番人賞プログラム(Sentinels of Safety awards program)を規定する規則を改定中である。同賞は、全米各地の採鉱場のなかから、傑出した安全記録を顕彰する。改定内容は、競争部門を8部門から10部門に拡大し、各部門を小規模鉱山の部、大規模鉱山の部に分けるなどが含まれている。改定規則は、2004年の安全記録に対し、今秋授与する賞に適用される。



 サービス業

バンクーバー衛生科学協会、保健衛生労働者の安全は不十分と主張

 ブリティッシュコロンビア州バンクーバー − バンク−バー衛生科学協会(Health Science Association of Vancouver)は、保健衛生労働者の労働災害を追跡するプログラムを拡大しようとするブリティシュコロンビア州政府の計画は、「不十分」であると警告した。
 「コンピューターを活用して、労働災害を追跡するシステムを完成させるとの今日の発表は、良いプロジェクトであるが、保健衛生労働者の負傷事故や職業性疾病を直ちに減らすという点では、何ら役立たない」と、協会のシンディ・スチュアート会長(Cindy Stewart, President)は述べた。スチュアート氏は、労働者の支援には、強制力のある法規も含め、予防が鍵であると述べた。


保健社会福祉省、緊急時の医療対応を指揮

 ワシントン − 国土安全保障省(Department of Homeland Security)の国家対応計画(National Response Plan)によれば、保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)は、大規模災害や有事の際、連邦緊急公衆衛生・医療対応で、主導的役割を担う。同計画は、連邦政府の緊急活動を15の支援機能に分ける。保健社会福祉省は、公衆衛生と医療対応に関わる全ての連邦資源の調整に責任を負う、第8緊急支援機能(Emergency Support Function Eight)を担当する。



 運輸業

運輸省、2庁を新設

 ワシントン − 2月15日、ノーマン・Y・ミネタ運輸長官(Norman Y. Mineta, Transportation Secretary) は、運輸省(Department of Transportation)内に2つの庁を新設すると発表した。
 調査・革新技術庁(Research and Innovative Technology Administration)およびパイプライン・有害物質安全庁(Pipeline and Hazardous Materials Safety Administration)は、2004年11月30日、ブッシュ大統領が、ノーマン・Y・ミネタ調査・特別プログラム改善法(Norman Y. Mineta Research and Special Programs Improvement Act)に署名した際、許可された。


運輸省規則、踏切安全を向上

 ワシントン − 官報(Federal Register)に発表された最終規則によると、連邦鉄道庁(Federal Railroad Administration)は、踏切で、列車が自動車のドライバーに見えやすいように、機関車、貨車の両側面に反射板を取り付けるよう、3月4日付けで、鉄道各社に義務づけた。同庁は、運輸省((Department of Transportation)の一部局である。
 運輸省によれば、幹線道路と鉄道が交差する踏切における衝突事故のおよそ4分の1は、踏切を通過中の列車に自動車が突っ込んでいる。列車の大きなサイズや暗い色は、照明が暗い、あるいは見通しが悪いことも手伝って、自動車のドライバーが前方の列車を見つけにくくしている可能性がある。今回の反射板は、列車の存在を視覚に訴える警報で示し、この種の事故の件数や強度を減らそうとするものであると、当局は述べた。
 本最終規則は、鉄道各社に対し、機関車には5年以内に、貨車は10年以内に、黄色か白の反射板を装着するよう義務づける。
 反射板は、新しく製造される機関車、貨車のすべてに取り付けられる。既存のものについては、義務づけられた期間内の取り付け計画がすでにある場合を除き、定期整備や修理の際に、取り付けられる。


新しいアライアンス(同盟)で、悪天候の危険に照準を絞る

 ワシントン − 2月9日、労働安全衛生庁OSHAと、全米航空輸送協会(National Air Transportation Association: NATA、バージニア州アレクサンドリア市)の航空路サービス協議会(Airline Services Counsel)は、労働安全衛生の増進をめざし、アライアンス(同盟)を正式に発足させた。
 アライアンスは、空港貨物・郵便を扱うランプエリア、その他の航空機保守作業エリアのなかや周辺で、労働者が悪天候の危険へばく露するのを減らし、予防することを強調している。OSHAとNATAは、悪天候の問題について、訓練・教育プログラムを開発し、その対象を全米の空港労働者とすることで同意した。両者はまた、悪天候の問題と労働者への影響をテーマに、利害関係者の会合を開く。