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NSC発行「Safety + Health」2005年5月号
ワシントン − 健康管理に注意する事業者は、健康管理費用をよりよく抑制している。これは、ワトソン・ワイアット(Watson Wyatt)社および衛生に関する全米実業家団体(National Business Group on Health)が実施した調査の主要な所見のひとつである。この第10回年次調査は、最低1千人を雇用する事業者555人の回答を編集したものである。
「事業者らは、健康管理費用の問題を根本から正すには、従業員の健康管理により積極的な役割を担わねばならないと自覚してきている」と、衛生に関する全米実業家団体のヘレン・ダーリング会長(Helen Darling, president)は述べた。「特定疾病管理を主眼としたプログラムや、体重管理、運動、禁煙を目標に行動様式を改善するよう、労働者を支援するプログラムは、長期間にわたって費用増を減速させるのに大いに有効である」
健康プランによる疾病管理プログラムを用いているのは、回答者10人中およそ7人、昨年の50%増であった。健康プランで、生活様式の改善を奨励している事業者数は、昨年の20%から40%へと倍増した。
また、肥満減量プログラムを提供している事業者は32%、ちなみに2004年は14%であった。
今回の調査によると、健康管理にもっとも積極的な企業は、2年間で健康管理関連費用の増加率を5%に維持していた。「これら成功を収めている企業は、別のアプローチを試みようという点では、かなり意欲的で、早くから数多くの方策を取り入れる可能性が高い」と、ワトソン・ワイアット社のテッド・チェン団体・健康管理コンサルティング担当包括部長(Ted Chien, global director of group and health care consulting)は述べた。
「こうした企業は、結果という証拠が出るまでは、各種方策の効果について、結論を出すのを差し控えている」と、同氏は述べた。
本調査報告書の全文は、ワトソン・ワイアット社のウェブサイト、http://www.watsonwyatt.com/で閲覧できる。
事実チェック
感電死(1999〜2001年)
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傷害の原因 |
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1999年 |
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2000年 |
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2001年 |
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送電線との接触 |
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127件 |
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99件 |
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83件 |
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その他、明記されていない電流との接触 |
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310件 |
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296件 |
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326件 |
出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、Injury Facts、2004年 |
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OSHA長官代行、「破綻していないものは、修正しない」 |
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フロリダ州キーウェスト − 労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)のジョナサン・L・スネア長官代行(Jonathan
L. Snare, acting administrator)は、大舞台初の演説で、聴衆を前に、「未来の課題に対処し」、「業務上の傷病や死亡災害を減らすというOSHAの使命を希求して、庁外の安全衛生専門家の意見を仰ぐため」、「OSHAのすべての資源を優先的に配分しつつ」、成果を上げている当局のアプローチを継続したいと語った。
スネア氏は、3月、アメリカ法曹協会労働安全衛生法委員会(American Bar Association's Occupational Safety and Health Law Committee)の冬季会合で、コメントした。スネア氏は、弁護士出身で、2年前、労働省(Department of Labor: DOL)に入省、法務官室に務めていたが、今年、OSHAの長を務めることとなった。
「OSHAは、現政権とDOL、OSHAの首脳陣が過去4ヵ年にわたり確立し、成果を上げたアプローチを引き継ぐことを明言したい」とスネア氏。これは、 強力、公正かつ効果的な法規施行、 アウトリーチ・教育・遵守支援、 協同・自主的プログラムの3目標を掲げた、ジョン・ヘンショー(John Henshaw)前長官の方法を継続することを意味する。
労働省法務官室での勤務経験で、スネア氏は、「OSHAの業務の重要性と価値を認識するに至った」と述べた。
最高裁、鉱山労働者の訴訟で、連邦政府の安全責任を再吟味 |
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ワシントン − 3月7日、米国最高裁判所(U.S. Supreme Court)は、安全監督官が労働者の保護を怠った場合、連邦政府は、いかなる場合に責任を負うか、判断を下すと発表した。
本訴訟は、アリゾナ州の二人の鉱山労働者が、鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)職員を相手取り、訴訟を起こす権利があるかどうか、これを中心に展開する。鉱山労働者らは2000年1月、アリゾナ州サワリタ市(Sahuarita, AZ)近郊の鉱山で、落ちてきた9トンのスラブの下敷きとなり、負傷した。死亡者も1人出た。
労働省(DOL)の調査によると、MSHAの管理職員1名は、事故現場の不安全を訴える匿名の苦情5件を受理していたが、調査しなかった。
鉱山労働者2名は、鉱山をきちんと臨検しなかったとして、MSHAの過失を主張、損害賠償を要求している。
本訴訟は、今秋審理される。
シンシナティ − アメリカ産業衛生専門家会議(American Conference of Governmental Industrial
Hygienists: ACGIH)の発表によれば、1-ブロモプロパン、銅、シリカ、ディーゼル粒子状物質のTLV(threshold
limit values)の提案、採択、刊行を差し止めようと、ACGIH相手に起こされた訴訟で、裁判官は、4訴因中3訴因を却下した。
2004年11月、国際臭素化溶剤協会(International Brominated Solvents Association)およびその他の原告は、ACGIHを相手取り、ジョージア州メイコン市(Macon, GA)の米地方裁判所で訴訟を起こした。告訴では、 ACGIHは、政府の諮問委員会である、 ACGIHは、行政訴訟法(Administrative Procedures Act)の手続きを踏まねばならないのに、そうしなかった、 ACGIHは、原告らが販売する製品について、間違った、誤解を招きやすい情報を刊行し、原告らのビジネスの邪魔をした、と主張した。
3月11日、ダロス・フィッツパトリック(Duross Fitzpatrick)裁判官は、ACGIHに対する4訴因のうち、3訴因を却下した。地裁は、裁決で、次のように結論した。
- 民間の訴訟当事者は、連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act)の条項を強いる権利を有しない。
- ACGIHは、行政訴訟法の適用を受けるならば、連邦政府機関でなければならないが、原告は、ACGIHが連邦政府機関であると証明できなかった。
- 告訴は、ビジネスへの干渉について、訴因を確立できなかった。
第4の訴因は、誤解を招きやすい商業行為との主張をめぐるもので、これについては、裁定できなかった。これについては、開示手続きをとる。
チャオ長官、G8会合で、労働力の高齢化が課題と発言 |
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ロンドン − エレイン・L・チャオ米労働長官(Elaine L. Chao, U.S. Labor Secretary)は、先日のG8労働雇用閣僚会議(G8
Labor and Employment Ministers Conference)で、先進諸国の労働力の高齢化問題に触れた。
世界各国の労働大臣が集ったこの会合で、チャオ長官は、中高年労働者が職業生活を決めやすいようにし、就労意欲のある中高年労働者の層を厚くして、予測されている労働力の需要増に対応できるよう、解決策を呼びかけた。
「教育、革新、柔軟性は、中高年労働者の労働力参加を増やす鍵である」と、チャオ長官は、出席者らに語った。「21世紀の新しい職種に向け、労働力を整えるという課題は、中高年労働者や事業者にとって、好機となりうる」。
チャオ長官は、米国の人口統計の変化が引き起こす課題を評価し、労働力の高齢化という難題を乗り越えるすべとなりうるもう一つの傾向として、新規の労働力への需要増を強調した。
今後数年間で、米国のサービス部門のいくつかのハイテク、高技能分野で、求人増が予測されていると、チャオ長官は述べた。この需要に応える一つの方法は,G8諸国の中高年労働者の雇用機会を増やすということである。
ユタ州プロボ − ブリガムヤング大学(Brigham Young University)の調査チームによると、多数の職場を対象とした、総合的な労働衛生増進プログラムは、企業の収益にプラスの効果をもたらすことがわかった。
予防医学(Preventive Medicine, Vol. 40, No. 2)に掲載されたこの調査によると、健康プログラムに参加した従業員は、参加しなかった従業員に比べ、休業日数が少ないことがわかった。欠勤の減少は、プログラムに投じられた1ドルあたり約16ドルもの費用節約となった。
調査チームは、ネバダ州リノ市のワシュー郡学区(Washoe County School District, Reno, NV)の従業員6,246人について、6年間、健康管理支払い請求額と欠勤率を調べた。1997〜2000年の間で基準値を設けて、健康プログラムに1年または2年参加した従業員と、参加しなかった従業員との間で、2年単位の健康管理費用と欠勤率を比較した。
健康管理費用については、両グループの間に有意差は見られなかったものの、欠勤率費用については、プログラム参加は、非参加グループと比べると、推計300万ドル以上もの節約と相関することが判明した。
ニューヨーク州、ぜん息ツールキットをオンライン提供 |
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ニューヨーク州オールバニー − ニューヨーク州衛生省(Department of Health)は、オンラインで、職業性ぜん息に関する新しいツールキットを提供している。
ツールキットには、労働衛生情報や、職場によくあるぜん息誘発物質を載せたポケットカード(pocket card)や、これらの誘発物質にばく露されやすい労働者リストなどの資料が含まれている。ツールキットをダウンロードするには、www.health.state.ny.us/nysdoh/lung/toolkit/toolkit.htmを開かれたい。
ワシントン − 3月4日、ブッシュ大統領は、スティーブン・ジョンソン(Stephen Johnson)氏を環境保護局(Environmental
Protection Agency: EPA)の長官(administrator)に指名した。ジョンソン氏は、EPAに24年間勤め、マイケル・リービット(Michael
Leavitt)前長官が、保健社会福祉省((Department of Health and Human Services)の長官に就任した1月からは、長官代行を務めていた。
議会の承認が得られれば、ジョンソン氏は、当局を指揮する初のプロの科学者となる。同氏は、生物学、病理学の学位を得ており、当局では、殺虫剤関連科学・政策を専門としてきた。
ブッシュ大統領は、「環境の質に対する明確で合理的な基準を設定し、あらゆる重要な決定の際に、信頼に足る科学分析を土台に据えるのに」、ジョンソン氏は、自身の経歴を生かすであろうと述べた。
ワシントン − 小企業は、労働安全衛生法規の遵守のしかたや、成果の上がる安全衛生プログラムの策定方法について、労働安全衛生庁(OSHA)の新刊書から知恵を借りることができる。
「小規模事業ハンドブック(Small Business Handbook)」は、連邦OSHA基準や、安全衛生分野で一般的に受け入れられている原則や活動に基づいた資料を掲載している。ハンドブックは、www.osha.gov/Publications/smallbusiness/small-business.pdf を開くか、OSHAの刊行物室に連絡して、入手できる。
ニューヨーク − 家族・労働研究所(Families and Work Institute)の発表した調査報告書によると、米国の労働者の少なくとも3人に1人は、慢性的に働き過ぎている。1,000人以上の賃金・俸給被雇用者を対象にしたこの調査ではまた、このうちの54%は、前月のある時点で、仕事に圧倒されるような感じを経験した。
これは、事業者の問題である。同研究所によると、働き過ぎの労働者は、過ちを犯しやすく、こんなに働くことを期待する事業者に対して怒りを覚えやすく、自分たちほど働かない同僚に対し、憤慨しやすい。また、働き過ぎていると感じる労働者のおよそ半数は、健康ではないと報告している。
仕事中心の労働者は、職場と私生活を同等に優先する労働者に比べ、働き過ぎやすいと、調査は指摘した。恐らくは予期に反することであろうが、家庭責任の大きい労働者は、高齢者介護の場合を除き、家庭責任のない労働者と比べて、働き過ぎる傾向はなかった。
充分な時間、仕事を休むのは、一つの解決方法であろう。本調査は、休暇取得パターンも調査しており、一時期に長期間の休暇を取れば取るほど、労働者は、リラックスし、活力を得た感じで、仕事に復帰することがわかった。
「米国の過労:働き方が過ぎる場合(Overwork in America: When the Way We Work Becomes Too Much)」の調査報告書については、自己診断クイズその他の無料の資料も含めて、www.familiesandwork.orgで、詳細を閲覧できる。
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