このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2005年6月号

ニュース


調査:処方薬費用、労災補償に打撃

 コネチカット州マディソン − 労災補償に占める処方薬費用が、事業者の目を引いている。彼らは、目にしたものに不満である。
 健康戦略アソシエイツ(Health Strategy Associates)が4月12日発表した調査によると、労災補償支払人は、労災補償の支払い請求に回された処方薬の総額が、重大な懸念であると述べた。これは、無理もないことで、アソシエイツによれば、2004年の薬剤費は、およそ35億ドル、2003年の12%増であった。調査ではまた、事業者らは、1年前よりも、薬剤費問題をよく認識していると指摘した。
 調査の被験者らは、この増加の第一の理由として、医師をあげた。医師らは、以前よりも多くの薬剤を処方しているというのである。被験者らは、処方箋作成パターンや、医師の処方行動の変化を扱うプログラムを要請した。
 しかし、問題は単に、医師が処方箋を多く作成するというだけでは解決されず、何を処方するかにあるだろう。
 ハートフォード投資情報サービスグループ社(Hartford Financial Services Group Inc.)は、2004年に労災補償支払い請求のあった処方薬の上位25品目リストを作成しているが、これにより、未承認薬剤の使用が、薬剤費の増加に一役かっていることが分かった。未承認薬剤の使用は、食品医薬局(Food and Drug Administration: FDA)が承認していない方法で処方薬を使用することと定義される。
 セレブレックス(Celebrex、リスト第3位)、バイオックス(Vioxx、2004年に入って9ヶ月間、市場から回収されたにもかかわらず、リストの第7位)やベクストラ(Bextra、第6位)のようなCOX-2阻害薬は、アスピリンやイブプロフェン(ibuprofen)といった薬の代わりに、頻繁に用いられていた。後者二者やその他の非ステロイド系消炎薬は、高価なブランド名の競合品と薬効はほぼ同じであると、ハートフォード社(本社、コネチカット州)は述べた。
 「リストの上位25位で優勢なのは、鎮痛薬であり、多くの業務上疾患を治療するという意味では、確かに道理にかなうものである」と、ハートフォード社のロバート・E・ボナ−医療部長(Robert E. Bonner, medical director)は述べた。しかし、「新しい方がよい」という考えは、「患者に強力で高リスクの薬剤を投与する。評価の確立した薬剤は、たいていリスクも少なく、安価であるのにもかかわらず、である」と、ボナー氏は、懸念を示した。
 上位25品目の薬剤は、労災補償向けに処方された全薬剤の61%を占める。リストの大半は、鎮痛剤、抗うつ薬、睡眠薬や筋肉弛緩剤である。