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保護手袋の保管期限

資料出所:National Safety Council (NSC)発行
「Safety+Health」2005年7月号p.74
(仮訳 国際安全衛生センター)


質問:天然ラテックスや合成品製の手袋はどの程度の期間保管できるのでしょうか。また手袋が最大限の機能を果たすことが保証されるのは、どの程度の期間まででしょうか。手袋の保管期限について具体的な基準はあるのでしょうか。

今月の回答者は、アンセル・ヘルスケア社(Ansell Healthcare)(ニュージャージ州レッドバンク)のテクニカル・アプリケーション担当化学者ネルソン・シュラッター(Nelson Schlatter)です。

回答:手袋の保管期間は手袋の保存方法と素材により異なります。天然ラテックスの手袋の保管期間はおよそ 3 年、ニトリル、ハイカー、ネオプレン、ポリ塩化ビニール、ウレタン、ポリ酢酸ビニール、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレン、合成コーティング剤などを素材とする手袋では、名目上 5 年となっています。

この基準は、手袋が適切に保存されている場合にはこの基準は控えめで、実際はもっと長期である場合もあります。特に合成品製の多用途向けの手袋には 10 年以上保存していても外見上まったく損傷が認められません。しかし、そのような長期保存をすすんで保証しようとする手袋メーカーはありません。

FDA(連邦食品医薬品局)では、手術用手袋や医療用手袋の保管期間にかかわる基準は規定していませんが、これら手袋の保管期限を 5 年までと定めているメーカーもあります。アメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Materials)(ペンシルベニア州ウエストコンショホッケン)では、手袋の保管期間にかかわる基準の原案を策定しています。この基準が制定されれば、FDA がその方針を変更して、FDA 独自の基準にまとめることも考えられます。

製品の包装の封が破れていたり、製造時の包装から製品が取り出されていたり、湿気にさらされていたりする場合は、メーカーの保管期限の基準は適用されません。また、手袋が長時間オゾンや紫外線にさらされていたり、およそ摂氏 32.2 度(華氏 90 度)以上の場所に保存されていたりする場合も保管期間は基準より短くなります。

一般的に、手袋の外観が正常である場合は、伸張しても表面に亀裂ができず、手にはめて引っ張っても破れたり、裂けたりすることがなく、その目的に見合った保護能力をおおかた有しているといえます。保存中に劣化した手袋は、劣化の兆候が明確に表れているものです。劣化するような手袋は、応力をかけられると容易に裂けたり、引き伸ばされると硬化した表面に亀裂ができたりするものです。分離着用層のないパウダーフリーの手袋の内側は、硬いポリマーが、ねばねばした状態に変化することがあります。

滅菌手袋に関して言えば、手術室看護職員協会(The Association of Operating Room Nurses) (米国、コロラド州デンバー)は同協会 1999 年刊行の「標準、推奨手順と基準」の中で、「未開封あるいは損傷を受けていない包装のものは無菌とみなす」よう勧告しています。これらの基準に従うと、年月を経た手袋でも、外観上使用可能に見えれば、その包装が未開封あるいは損傷を受けていない限り、無菌であるとも見なすことができます。

種類を問わず、手袋の対応年数を最大限に長くするためには、オゾンと紫外線から遮断され、冷涼で暗い環境に手袋を保管する必要があります。天然ゴム製の手袋は、紫外線(蛍光灯から放射される弱い紫外線なども含む)や、モーターや電気機器から発生するオゾンの影響で非常に劣化しやすいため、保存環境は特に重要です。また手袋は、蒸気管、ラジエータ、その他の熱源から必ず十分に離れた場所で保管する必要があります。

編集長の注記:本記事の内容は記者の自主的な見解であり、NSC(全米安全評議会)の承認を得たものではありません。