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NSC発行「Safety + Health」2005年7月号

産業特集


 農業

OSHA、造園・園芸産業ウェブページを立ち上げる

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、5月、造園・園芸産業の労働者や事業者をウェブ上で支援する、新しい安全衛生トピックスページを発表した。本ページは、OSHAと専門的土地ケアネットワーク(Professional Landcare Network, バージニア州ハーンドン、Herndon, VA)との提携事業(alliance)による産物である。
  事業者や労働者は、包括的な安全衛生プログラムの開発・実施に関する情報を入手でき、業界でもっとも多い危険有害性を挙げて、これらに対する解決策例を掲示したサイトへ接続できる。
  本ページはまた、業界で働くスペイン語人口や若年者向けの情報も、労働者や事業者に提供する。
  多種多様な造園・園芸サービス業は、3分野に分類される。1)景観設計、2)造園植栽・築造、3)芝生の維持、樹木の手入れである。分野ごとに、もっとも違反の多いOSHA基準や、適用を受ける基準に関する情報も掲載されている。本ページはまた、提携事業で開発した、英語版、スペイン語版の新しい安全情報シートへのリンクもある。
  本ページへは、www.osha.gov/SLTC/landscaping/index.html までアクセスされたい。


調査、殺虫剤の使用と神経障害を関連づける

 ワシントン − 新しい調査では、農業用殺虫剤を使用したことのある農業従事者は、すでに使用をやめていても、神経症状が進行していることが、明らかになった。
  調査結果は、今月号の環境衛生展望(Environmental Health Perspectives)に発表される予定であるが、これによると、ノースカロライナ州(North Carolina)、アイオワ州(Iowa)の農業従事者18,782人のデータで、有機燐化合物や有機塩素系殺虫剤などといった殺虫剤の使用と、頻発性の頭痛や疲労、不眠症、目まい、吐き気、手の震え、麻痺その他の神経症状の記録とが関連づけられた。この調査は、国立環境衛生科学研究所(National Institute of Environmental Health Sciences、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク、Research Triangle Park、NC)、国立ガン研究所(National Cancer Institute、メリーランド州ベセズダ、Bethesda, ND)、環境保護局(EPA)から資金を供与されて、現在進められている農業健康調査(Agricultural Health Study)の一部をなす。農業健康調査は、環境的、職業的、食生活的、遺伝学的要因が農業人口におよぼす影響を調査するものである。
  調査対象となった殺虫剤は、現在も市場に出回っているものもあるが、DDTなど、禁止または制限されているものもあると、調査チームは述べた。
  詳細については、http://ehp.niehs.nih.gov/docs/2005/113-5/toc.html を閲覧されたい。



事実チェック

小売業における非死亡傷害(2002年) 計263,401件

傷害の主要原因
機材・ものとの接触   74,643件
無理な動作   69,653件
転 倒   42,467件

出 所:全米安全評議会(NSC)、Injury Facts、2004




 建設業

テキサス州北部の建設現場で、一時休業を組織

 テキサス州アーリントン −  総合工事業者連合会(Associated General Contractors of America: AGC、バージニア州アレキサンドリア、Alexandria, VA)は、AGCのテキサス州北部および東部支部であるクオイン(QUOIN)や、 ダラス・フォートワース・ヒスパニック建設業協会(Hispanic Contractors Association of Dallas Fort Worth)、労働安全衛生庁(OSHA)とともに、5月18日、テキサス州北部の建設現場各地で、安全推進活動としての一時休業を実施した。
  「一人一人のための安全意識」と題したこの一時休業は、建設プロジェクトを90分間停止させて、現場監督に、安全問題について労働者を教育・啓蒙させるよう、建築・建設業者を奨励した。監督者らは、とくに安全、不安全な状況や振る舞いを理解し、ハザードや事故、ニアミスをなくすよう、労働者を訓練することに焦点を絞った。
  このイベントは、任意であったが、多くのAGC会員企業が参加した。「安全のための一時休業は、職場の安全維持をめざすわれわれの責任感を強めるものである」と、ボブ・ムーア建設(Bob Moore Construction、フォートワース、Fort Worth)のエド・マクガイア建設業担当副社長(Ed McGuire, vice president of construction)は述べた。「ゼネコンが、労働者一人一人と安全問題を語るのに、数百万ドルプロジェクトを一時休業させる意欲を示せば、彼らの注目を引くだろう。これで、安全遵守を唱えるわれわれの主張を、下請け業者、現場監督者やあらゆるレベルの労働者に再確認させる。われわれの建設現場では、安全は義務であり、われわれは、これを徹底して守らせる、というのも、法律で義務づけられているからであり、われわれが守りたいからでもあるということを、一人一人、肝に銘じてほしい。これは、正しいことである」。



製造業

BP、3月の精油所爆発について報告書を発表

 テキサス州テキサスシティ − 5月25日、メディア筋は、BPプロダクツ・ノースアメリカ(BP Products North America)社が、3月23日のテキサスシティ(Texas City)の精油所爆発について、根本原因を労働者の過失であると説明した声明を発表したのに続き、謝罪したと報じた。
 ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)紙によれば、BP社は、労働者の過失が事故の「重大な要因」とすべきところを、「根本原因」と表現し、混乱を招いたとして、5月17日付の新聞発表を訂正することとなった。
 BP社のスポークスマン、ヒュー・デプランド(Hugh Depland)氏は、「報告書の調査結果を説明するのに、まちがったことばを用いただけ」と説明した。
 新聞発表は、死者15人、負傷者170名以上を出した爆発事故をめぐる暫定報告の調査結果に言及したものであった。声明発表後、BP社は、事故を労働者のせいにしたとして、組合幹部や被災者から非難された。
 報告書では、調査チームは、事故を招いた、または被害を拡大させた複数の重大要因をたしかに指摘しており、また、班の長や作業者らが、ガソリンの混合成分を分離する蒸留管であるラフィネート分離装置を過剰にあふれさせ、過熱したとする調査結果も載せていた。
 調査結果に基づき、BP社は、3月22日、23日に班の作業に直接携わっていた監督者、時間給労働者双方を即懲戒処分したと、5月17日に発表した。調査の継続に伴い、新しい情報が出てくると、他のものも処分されると、BP社は述べた。
 報告書は、オンライン、http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=97&contentId=7006065で閲覧できる。



VAC、ビニールアセテートの安全取り扱いガイドを更新

 ワシントン − ビニールアセテート協議会(Vinyl Acetate Council: VAC)は、「ビニールアセテートの安全な取り扱いガイド(Vinyl Acetate Safe Handling Guide)」(2002年)の改訂版を発表した。ガイドは、ビニールアセテートの安全かつ責任ある使用を奨励するもので、ビニールアセテートの特性、訓練・労働安全、安全な取り扱い、緊急事態の管理や大量輸送に関する情報を掲載している。ガイドは、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル語)、スペイン語(中南米語)の6ヶ国語版がある。
  詳細は、www.vinylacetate.org で閲覧できる。


ATF、火災調査官向けにオンライン訓練を提供

 ワシントン − 4月25日、アルコール・タバコ・小火器・爆発物局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives: ATF)は、火災調査官向けに新しいオンライン訓練プログラムを始めた。ATFは、国際放火調査協会(International Association of Arson Investigators、ミズーリ州ブリッジトン、Bridgeton, MO)と共同で、プログラムを開発した。
  このプログラム、CFITrainer.netは、公認火災調査官に対し、手ごろで一貫した訓練を提供するよう、設計されている。ATFによれば、訓練は、経験豊富な火災調査官の技能や経験を下敷きにしている。



OSHA、災害現場労働者向けに訓練プログラムを開始

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、新しい災害現場労働者アウトリーチ訓練プログラム(Disaster Site Worker Outreach Training Program)を始めた。プログラムは、災害現場での緊急対応や復旧活動で、熟練した支援を提供する労働者を訓練するよう、設計されている。
  プログラムにはまた、緊急指令システム、危険有害性の認識、個人用保護具や除染を中心に据えた、延べ16時間の災害現場労働者コース(Disaster Site Worker Course)も含まれている。
  プログラムは、9月11日の対米テロ攻撃や、国土安全保障省国土準備室(Office for Domestic Preparedness, Department of Homeland Security)とOSHAが共催した熟練職サミット(Skilled Trades Summit、シアトル、Seattle)で得た教訓を下敷きに開発された。OSHAは、国家対応計画(National Response Plan)の労働安全衛生の附則(Worker Safety and Health Annex) の調整当局である。
  詳細は、www.osha.gov/fso/ote/training/diaster/disaster.html を閲覧されたい。



 運輸業

ミネタ長官、国家鉄道安全行動計画を発表

 ワシントン −  5月16日、ノーマン・Y・ミネタ運輸長官(Norman Y. Mineta, Secretary of Transportation)は、国の鉄道安全改善計画を発表した。本計画は、ヒューマンエラーによる列車事故を防止する、危険有害物質(HazMat)の輸送安全を改善する、乗務員の疲労による危険性を最小化する、軌道の不備を検知する最新技術を配備する、安全問題のある箇所に監督官を重点的に配置するよう、計画されている。
  本計画のもと、ミネタ長官は、鉄道安全の第一人者数人とともに、ヒューマンファクターによる事故に取り組む新しい連邦規則を開発する。運輸省(Department of Transportation: DOT)はまた、鉄道各社がよりよい乗務員スケジュールを設定できるよう、疲労が事故にどう寄与しているか、調査を急がせていると、ミネタ長官は述べた。
  ミネタ長官はまた、事故が発生する前に安全重要地点に監督官と資金を配備する、全米監督計画(National Inspection Plan)を実施すると述べた。本イニシアチブの一環として、連邦鉄道局(Federal Railroad Administration)は、軌道を転がりながら、そのよしあしを自動的に検査できる特殊なハイテク鉄道車両に投資する。
  計画を閲覧するには、www.fra.dot.gov/downloads/Safety/action_plan_final_051605.pdf を開かれたい。


OSHA、航空安全訓練プログラムで官学協力

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、航空業界で、安全を専門とし、事故調査の実施に関し、すぐれた技能・知識を身につけた専門家を養成する共同事業に参加した。本イニシアチブの参加者は、運輸省運輸安全研究所(Transportation Safety Institute, Department of Transportation)、OSHA、テキサスA&M大学工学部公開講座(Texas A&M University's Engineering Extension service)である。
  運輸省によると、航空安全プログラム(Aviation Safety Program)は、大破した航空機やさまざまな機体部品を調査する実習や、安全調査官や指導官と直接面談する機会を提供する。本事業は、上級訓練や専門能力も提供する。
  詳細は、www.dot.gov/affairs/rita205.htm を閲覧されたい。


NHTSA、タイヤ空気圧の検知に関する最終規則を発表

 ワシントン − 全米幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration NHTSA)の新しい自動車安全基準によると、2006年型の自動車より、すべての乗用車は、タイヤ空気圧検知システムを備えていなければならない。
  規則によると、車の一つまたはそれ以上のタイヤが、推奨されている膨張圧力より25%以上低下した場合、これを検知できるシステムを、メーカーは装備しなければならない。本規則の段階的導入は、9月1日より発効する。
  www.nhtsa.dot.gov/cars/rules/rulings/TPMSfinalrule.6/TPMSfinalrule.6.html では、最終規則の詳細を閲覧できる。



 公益事業

GAO、放射性廃棄物の行方を徹底把握するよう、NRCに要請

 ワシントン − 政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)の新しい報告書によると、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)は、原子力発電所に対し、核廃棄物の効果的管理を徹底させるよう、もっと対策を講じる必要がある。
  GAOは、NRC規則は、廃棄物の在庫管理についてあいまいであると指摘した。報告書によると、いくつかの原子力発電所では、安全手順の看過で、使用済み核燃料の所在が不明となっている。
  「NRC監督官は、使用済み燃料棒と表示された容器に、ほんとうに燃料棒が入っているかどうかを確認することができないことが、ままあった」と、報告書は続ける。「いくつかの事例では、容器が閉められていたり、封印されていた。また、使用済み燃料プールを調査しても、内容物が見えない事例もあった」。
  調査結果をもとに、GAOは、NRCに次の勧告を行なった。
・ 使用済み燃料棒や破片の管理・検数や、在庫管理の実施手法に関し、具体的な要件を確立する。
・ 遵守状況を検証するのに適切な監督手順を開発し、これを実施する。
  報告書全文は、www.gao.gov/new.items/d05339.pdf を閲覧されたい。 


  「産業特集」は、マーキサン・ネイソー編集次長が担当した。