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NSC発行「Safety + Health」2005年7月号

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健康の確保・増進:これには、なにが要るか?

 ワシントン − ジョージタウン大学マクダナフ・ビジネススクール(McDonough School of Business, Georgetown University)で、5月12日、ビジネス・公共政策センター(Center for Business and Public Policy)が開いたシンポジウムでは、健康増進活動や労働安全衛生を、労働者の総合的な健康の改善を目指した包括的プログラムに統合することが焦点となった。
  これまで、職場の健康確保プログラムは、業務上のリスクだけに的を絞っていたが、一方、職場の健康増進プログラムは、一般に、従業員の個人的かつ生活様式上のリスク要因を扱ってきたと、センターは指摘する。今回のシンポジウムの目的は、この両者の統合に向けた優良事例や動機づけについて、対話を促すことであった。
  一例として、食品雑貨店のチェーンを営むHannaford Brothers社(メイン州スカーバラ、Scarborough, ME)のピーター・ヘイズ健康戦略部長(Peter Hayes, director of health strategy)は、同社の統合プログラムについて発表した。同社の成功の鍵は、プログラム向けに事業事例をうち立てる、これを「CEO(最高経営責任者)用語」に置き換える、ビジネスリーダーらが理解できるよう、成功の尺度を設ける、などである。
  Dow Chemical社(ミシガン州ミッドランド、Midland, MI)の場合、健康づくりに費やした費用の把握や、この費用を戦略的に上手に活用する機会の特定、「費用」の代わりに「投資」という用語を用いる思考の変化が、統合プログラムをもたらしたと、同社の社内医療コーディネーター、マイケル・ゴンデック(Michael Gondek, corporate medical coordinator)氏は述べた。(同社の業務外安全プログラムについては、本誌58ページ参照のこと。)
  しかし、労働者権利擁護センター(Center to Protect Workers' Rights、メリーランド州シルバースプリング、Silver Spring, MD)のローラ・ウェルチ医療部長(Laura Welch, medical director)は、労働者は、労働者給付やプライバシー問題、事業者の温情主義的考え方よりも、健康費用に焦点が絞られていることを懸念していると警告する。ウェルチ氏は、健康増進プログラムを始めるにあたり、事業者は、この点を念頭に入れるべきであると述べた。