このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2005年8月号

産業特集


 建設業

OSHA、建設業鉛基準について、コメント募集

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、6月6日、鉛ばく露の検査や、鉛の存する場所でのばく露予防対策、ばく露した労働者の健康診断を義務づ けた建設業鉛基準について、コメントを募集中であると発表した。
  コメントの募集は、法規弾力性法(Regulatory Flexibility Act)や、基準の必要性や修正の必要性を判断するよう指示した大統領令(presidential Executive Order)に基づくOSHAの法規再検討活動の一環である。
  建設業における鉛ばく露は、塗料除去作業、建物・橋梁の修繕、配管工事、水道修理・交換などといった作業時に、もっとも発生しやすいと、OSHAは述べた。
  コメントの提出について、詳細は、www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=federal_regiser&p_id=18358を閲覧されたい。


事実チェック
農林水産業のおもな非死亡業務上傷害(2002年)

合計件数
31,520件
捻挫・筋挫傷
10,524件
切創・裂傷・刺傷
3,261件
骨 折
2,881件
うずき・痛み
2,457件

出 所:全米安全評議会(NSC)、Injury Facts、2004年


鉱業

MSHA、ディ−ゼル粒子状物質最終規則を発表

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、6月6日、金属・非金属の地下鉱坑で、排ガスのディ−ゼル粒子状物質にばく露する鉱山労働者の保護を強化する最終規則を発表した。
  ディ−ゼル粒子状物質(Diesel Particulate Matter: DPM)の測定単位をより正確な単位へと変更することで、MSHAは、ばく露労働者の保護策をより効果的に施行できると述べた。新規則では、炭素総量で測定した暫定DPM濃度限界を、類似しているものの精度の高い、炭素元素で測定する許容ばく露限界に改定する。
  新規則はまた、ばく露性の他の健康基準で、MSHAが金属・非金属鉱山に用いている「体系的管理」を採用しており、鉱業者に追加の遵守手段を提示している。
  詳細は、www.msha,gov/regs/fedreg/final/2005finl/05-10681.asp を開かれたい。

全米鉄鋼労働者連盟、MSHAの新ディーゼル規則に反対

 ピッツバーグ − 鉱山安全衛生庁(MSHA)は、6月6日、鉱山労働者のディ−ゼル粒子状物質へのばく露に関する2001年の規則を改定したが、金属・鉱石・岩石鉱山労働者を代表する全米鉄鋼労働者連盟(United Steel Workers)は、懐疑的に受け止めた。
  労組は、6月7日、改定規則は、鉱業者が、工学的管理に訴えるよりはむしろ、呼吸用保護具で対応する状況を増やすが、呼吸用保護具の安全使用能力を労働者にテストするよう、鉱業者に義務づけていないと述べた。労組によれば、安全使用のテストは、労働安全衛生庁(OSHA)の衛生基準では規定されており、国立労働安全衛生研究所(NIOSH、アトランタ)も勧告している。
  診断未確定の心臓病または肺疾患を患っている鉱山労働者は、呼吸用保護具で呼吸抵抗が余分にかかると、著しく健康を損なうと、労組は主張した。



 サービス業

消防署、消防隊員の安全に向け、「一時休業」を要請

 バージニア州フェアーファックス − 国際消防署長協会(International Association of Fire Chiefs: IAFC)および13の消防団体は、6月21日より、消防隊員の安全を目指し「一時休業(stand down)」を実施するよう、全米各地の消防署に呼びかけている。
  5月26日、IAFC(バージニア州アレキサンドリア、 Alexandria, VA)は、5月1日現在、消防隊員の殉職者数は50人で、昨年同時期の10人増であると発表した。一時休業とは、軍隊が、全階級を通じて問題ありと認識された課題を是正するために、用いている方法である。IAFCは、6月21日、すべての非緊急活動を休止し、消防隊員の安全に注力するよう、消防各署に要請した。
  詳細は、www.iafc.org/standdown を参照のこと。

USFA、火災現場での機能回復調査を発表

 ワシントン − 米国消防庁(U.S. Fire Administration; USFA)は、6月2日、国際消防隊員協会(International Association of Fire Fighters)と共同で、災害時の緊急対応要員の安全衛生を調査し、USFAの緊急時機能回復マニュアル(Emergency Incident Rehabilitation)を改訂すると発表した。
  緊急対応要員の機能回復は、火災現場での機能回復ともいうが、これには、労働者の生命徴候の測定、休息、水分・栄養補給が含まれる。機能の回復で、消防隊員の肉体的・精神的な健全性を悪化させたり、現場の安全性に悪影響を及ぼさないようにすることができると、USFAは述べた。
本調査は、実施上の諸問題、人間生理学、天候問題や技術を吟味する。



 運輸業

オートバイ死亡事故増は、ヘルメット法の欠如が原因

 ワシントン − 州知事幹線道路安全協会協会(Governors Highway Safety Association)の会長、ジム・シャンペイン中佐(Lt. Col. Jim Champagne) は、先日、米国のオートバイ死亡事故の増加は、オートバイ・ヘルメット州法がないのが原因であると非難した。
  全米幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)は、2004年のオートバイ死亡事故は、7年連続増と予測した。NHTSAは、2004年には、米国の路上で3,927人のオートバイ運転者が死亡したとの暫定推定値を出した。これは、2003年の7.2%増で、1997年の85%増である。オートバイの死亡事故は、1997年の自動車死亡事故総数の5%から、2004年には推定9%へと増加している。
  「郊外に行くと、ヘルメット法は、個人の選択の自由を侵害すると、よく言われる。この主張の問題点は、個人の選択の自由が、社会へマイナスの影響を及ぼしてはならないということにある」と、シャンペイン氏は述べた。
  オートバイ運転者全員にヘルメット法を適用しているのは、20州とコロンビア特別区のみである。



 公益事業

発電基準に改正規則案

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、電力発電、送電、配電、保護具に関する改正規則を提案している。
  規則作成案通知は、6月16日付官報(Federal Register)に発表された。それによると、送配電設備の建設に関する基準を、最近改正されたばかりの一般産業基準との整合性を持たせるため、更新する。
  当局は、10月13日を期限に、規則案に対するコメントを公募する。現行基準は、1971年以来更新されていないと、OSHAのジョナサン・L・スネア長官代行(Jonathan L. Snare, acting administrator)は指摘した。
  基準案は、閉塞空間、電圧のかかった部材近辺の作業、労働者を保護するための接地、地下または頭上設置作業、変電所その他、送配電特有の特殊条件・機材に関わる作業に関し、要件を規定している。
  当局は、12月6日よりワシントンで、規則案について非公式の公聴会を開催すると発表した。



     「産業特集」は、マーキサン・ネイソー編集次長が担当した。