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NSC発行「Safety + Health」2005年11月号

ニュース


ブッシュ大統領、OSHA長官にフォルク氏、MSHA長官にスティックラー氏を指名

  ワシントン −ブッシュ大統領は、9月15日、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)を2004年12月に退任したジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)の後任に、サウスカロライナ州のエドウィン・G・フォルク・ジュニア氏(Edwin G. Foulke Jr.)を指名した。
  フォルク氏は、法律事務所Jackson Lewis LLP(在サウスカロライナ州グリーンビル、Greenville)の共同経営者である。同氏は、ジョージ・H・W・ブッシュ政権下の1990〜95年間、労働安全衛生再検討委員会(Occupational Safety and Health Review Commission)の委員長を務めた。
  フォルク氏は、法律事務所で労働安全衛生慣行グループを率いており、20年以上にわたり、労働・雇用法を専門としてきた。2001年のブッシュ政権下では、労働省(Department of Labor)の転換政策グループ(Transition Policy Group)の顧問を務めた。フォルク氏は、ニューオーリンズ市のセイント・メアリズ・ドミニカン・カレッジ(St. Mary's Dominican College)で非常勤講師を務めている。同氏は、ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)で学士号を、ロヨラ大学法律学科(Loyola University School of Law、在ニューオーリンズ市)で法学博士号を取得した。その後、ジョージタウン大学(Georgetown University、在ワシントン市)で修士号を取得した。
  本誌印刷開始時点では、フォルク氏の指名は、上院健康・教育・労働・年金委員会(Senate Health, Education, Labor and Pensions Committee)に付託されており、承認待ちの状態。同委員会で労働安全機関を管轄する小委員会のジョニー・アイザクソン委員長(Johnny Isakson、共和党、ジョージア州)は、氏の指名を称え、「臨機の承認」を約束した。
  ブッシュ大統領はまた、鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)をやはり2004年12月に退任したデイブ・D・ローリスキ長官(Dave D. Lauriski, administrator)の後任として、ウェストバージニア州のリチャード・スティックラー氏(Richard Stickler)を指名した。
  スティックラー氏は、ペンシルバニア州の深堀り鉱山安全局(Bureau of Deep Mine Safety)の局長を務め、また、職歴の初期には、Beth Energy Mines Inc.(在ペンシルバニア州エベンズバーグ、Ebensberg)で30年間勤めた。氏は、マネジャー、監督者、交替勤務の職長など、多様な職位を経験した。スティックラー氏は、フェアモント州立大学(Fairmont Sate College、在ウェストバージニア州フェアモント、Fairmont)で学士号を取得した。
  スティックラー氏は、2003年、ペンシルバニア州サマセットの出水したQuecreek鉱山で、鉱山労働者9人を生還させた歴史に残る救出劇で、その役割を称えられた。



事実チェック
交通事故での年齢階層別ドライバー死亡者数(2003年、単位:人)
19歳
以下   9,200
20〜24歳
    9,900
25〜34歳
    7,600
35〜44歳
    9,100
45〜54歳
    8,200
55〜64歳
    4,300
65〜74歳
    2,800
75歳
以上   2,900
出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、Injury Facts、2004年



OSHA、BPに罰金2,100万ドルを課金

 ワシントン − BP Products North America社は、3月23日に従業員15人が死亡、170人強が負傷したテキサス州テキサスシティの工場爆発事故の調査を受けて、安全衛生法違反で2,100万ドル強の罰金を支払うことに同意した。この罰金は、9月22日、労働安全衛生庁(OSHA)が発表した和解の一部である。
  和解に基づき、BP社は、「製油所に工程安全専門家を雇い入れ、安全プログラムを再検討し、勧告を提案し、製油所の進捗報告を定期的に提出する任務を遂行させる」ことに同意した。同社はまた、「製油所に組織専門家を雇い入れ」、安全や同社の安全責任に関する意思疎通を調査し、改善に向け、勧告を提案する任務に就かせることにも同意した。最後に、同社は、製油所の従業員に対する安全衛生訓練を改善すると誓約した。
  「今回の通告と、OSHA史上2位の罰金額のほぼ2倍という罰金額は、全事業者に対し、労働者を保護する必要性、および安全衛生に最重要価値を据える必要性を、強く訴えるものである」と、ハワード・M・ラズリー労働法務官(Howard M. Radzely, Solicitor of Labor)は述べた。「BP社は、罰金全額を支払い、すべての危険有害性を排し、安全対策を大幅に改善する」。
  BP社のロス・ピラリ社長(Ross Pillari, President)は、「われわれは、協力的かつものわかりのよい態度で、OSHAとともに努力しており、今回の和解に到達したことは、たいへん喜ばしい。和解で義務づけられた是正措置を、われわれは保証する。われわれは、OSHAが是正措置をはかどらせるにあたり、本件やその他の調査からの教訓を活かす」。



BLS:2004年の労働死亡災害、2%増

  ワシントン − 労働統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)によれば、2004年の米国の労働災害による死亡者数は5,703人で、2003年の5,575人の2%増であった。
  増加したとはいえ、2004年の死亡者数は、1992年以来毎年実施されている死亡災害調査では、3番目に少なかった。2004年の労働死亡災害率は、労働者10万人あたり4.1人で、2002年および2003年の10万人あたり4.0人をわずかに上回った。
  BLSによると、2004年に死亡率が増加に転じたのは、10万人あたり5.3人であった1994年以来初めてのことである。
  2004年度労働死亡災害調査(2004 Census of Fatal Occupational Injuries)の主要な調査結果は、以下のとおり。

  • ヒスパニック系労働者の労働死亡災害は、過去2年間は減少傾向にあったが、2004年には、11%増えた。
  • 55歳以上の労働死亡災害は、2004年には10%増加したが、16〜24歳の労働死亡災害は、減少した。
  • 職場の殺人は、大幅に減少し、これまでの労働死亡災害調査の最低水準を記録した。
  • 激突されたことによる労働死亡災害は、2004年には12%増え、事故の型別で第3位であった職場の殺人に取って代わった。
  • 墜落・転落による死亡災害は、17%増えたが、これは、はしごや屋根からの墜落・転落による死亡災害の増加によるものであった。
  • 建設部門の労働死亡災害者数は、2004年には8%増加したが、同部門の雇用増が原因で、死亡率は、2003年の死亡率ほど高くはなかった。


OSHA規則、旧式調査への参照を廃止

 ワシントン − 旧式の産業および全米世論基準への参照を廃止する労働安全衛生庁(OSHA)の最終規則が、9月13日付官報(Federal Register)に発表された。
  臨時強制収容所や、携帯用電動工具の防護、製材所、引火性および可燃性の液体、アーク溶接及び切断に関するOSHAの基準は、いずれも旧式の世論または産業基準を参照しているが、こうした参照を廃止している。
  2004年11月24日、OSHAは、旧式の世論基準の文言を引く、または含む当局の基準を更新するため、総合的な作業に取り組んでいると発表した。



ブッシュ大統領、FEMA長官にUSFA局長を指名

 ワシントン − 本誌印刷開始時点で、ブッシュ大統領は、R・デイビッド・ポーリソン米消防局局長(R. David Paulison, administrator, U.S. Fire Administration: USFA)を、連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency: FEMA)の長官代理(acting director)に指名した。
  ポーリソン氏はまた、緊急事態への備えおよび対応担当の国土安全保障次官代理(acting undersecretary of Homeland Security for emergency preparedness and response)も務めている。
  ポーリソン氏は、マイアミ州デイド郡消防救助局(Miami-Dade Fire Rescue Department)の消防士を皮切りに職歴を積んだ。同氏は、当局の局長に昇り詰め、ハリケーン・アンドルーやバリュージェット592便の墜落事故に対する対応で、指揮をとった。ポーリソン氏は、2001年、米消防局局長の座に就いた。



調査報告:保健給付を減らす企業が、増加

 ワシントン − カイザー家族基金(Kaiser Family Foundation)および健康調査・教育トラスト(Health Research and Education Trust)が実施した2005年度事業者保健給付調査(2005 Annual Employer Health Benefit Survey)によると、従業員に健康保険を提供する企業は、その費用がインフレや賃金の伸びを上回るペースで増えているため、過去5年間、減少の一途にある。
  本調査によると、2005年に健康保険に加入している企業は、60%で、2003年の66%、2000年の69%を下回った。調査チームは、この減少は、保健給付を提供する小企業の減少によるものであり、従業員200人以上の企業では、98%が保健給付を提供していると述べた。
  保険料は、2005年には平均9.2%の伸びを見せたが、2004年平均の11.2%を下回った。2005年には、4年連続の2ケタ増に終止符が打たれたが、それでも増加率は、賃金の伸びの3倍以上、物価上昇率の2.5倍であった。2000年からすると、保険料は73%増えた。
  調査報告書全文は、www.kff.org/insurance/7315を参照されたい。



CDC:1993〜2002年間に、ボランティア労働者501人が作業により死亡

 アトランタ − 疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の報告書によると、1993〜2002年間には、501人が、ボランティア活動中(ほとんどの場合、死亡時に車両を運転していた消防隊員その他のボランティアであった)に被った傷害がもとで死亡した。
  米国では推定5,900万人が、毎年、中央値52時間をボランティア活動に費やしていると、報告書は述べている。
  CDCによれば、報告書は、ボランティアの死亡事故を分析した数少ない調査の一つであり、ボランティアに依存する諸団体に対し、防御的運転や避難合図の認識といった適切な訓練や、安全衛生政策の周知・実施徹底を確保するよう、勧告している。
報告書全文を閲覧するには、www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5430a2.htmを開かれたい。

ボランティア労働者の死亡者数
死亡時の職種・活動   人 数
消防隊員   185
非建設部門労働者   35
パイロット・航空士   24
建設労働者   16
トラック運転手   15
出 所:労働死亡災害調査(Census of Fatal Occupational Injuries)、米国、1993〜2002年



英国安全衛生庁、最新の労働衛生統計を刊行

 ロンドン − 英国の安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)はこのたび、英国の業務上の傷病に関する新しい統計を刊行した。この統計では、筋骨格障害の症例に関し、専門医の診断した要因を、初めて掲載した。
  2004年、衛生労働報告(Health and Occupation Reporting)ネットワークの専門医は、およそ23,000件の新しい症例を調べた。前年以前と同様、業務上疾病でもっとも多かったのは、筋骨格障害であり、主として腰と上肢が痛む。
  2002〜2004年の筋骨格障害にもっとも関連していた業務は、工具の誘導または保持、続いて、重量物を持ち上げる、運ぶ、押す、引く、およびキーボード作業であると、報告書は述べた。
  報告書全文は、www.hse.gov.uk/statistics/overall/ohsb0405htmで閲覧できる。



欧州労働安全衛生機構、新しいウェブ・ポータルを開始

ロンドン − 欧州連合(European Union)はこのたび、欧州労働安全衛生機構(European Agency for Safety and Health at Work)の運営する新しい国際安全衛生ウェブ・ポータルを開始した。
  http://osha.europa.euのサイトは、20ヶ国語によるオンライン辞典、国別サイトナビゲーション、ダウンロード可能な刊行物や、新しい「職場の騒音(noise at work)」特集などといったサービスを提供する。
  「われわれの新しいウェブサイトは、職場のリスク防止に関わる人々のための労働安全衛生情報を発信する初の世界規模ポータルである。安全衛生に関心を持ち、自分たちのリスク対処に向け、実践的な情報を必要とする職場は、数を増やしており、こういった職場へ可能なかぎり最善の支援を提供する」と、当局のハンスホルスト・コンコルスキ所長(Hans-Horst Konkolewsky, director)は説明した。「無尽蔵の安全衛生知識は、まさに皆さんのワンタッチで利用できる。われわれの新しい情報システムが、労働安全衛生を改善し、仕事中での事故や疾病による莫大な人的・経済的損失を減らすのに役立つよう、願っている」。



「ニュース編」は、オードリ・アームズ(Audrie Armes)編集次長が担当した。