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NSC発行「Safety + Health」2005年12月号

産業特集


 建設業

英国HSE、移動式昇降作業台とテレハンドラーに警告を発令
 ロンドン − 英国安全衛生庁(Health and Safety Executive: HSE)はこのたび、移動式昇降作業台とテレハンドラーに関連する二つのリスクについて、建設業界に警告を発した。
  第一のリスクは、移動式昇降作業台の運転士が、頭上または隣接の物体が操縦装置の妨げとなって、動きが取れなくなる危険性である。第二のリスクは、テレハンドラーがバックする必要がある現場、あるいは人車分離が不十分な現場でのテレハンドラーの扱いに関するものである。HSEは、運転士の視野が限定されているため、現場付近を通行する人々に衝突する可能性があると警告した。
HSEは、原点に立ち返ってこの問題に取り組もうと、製造者や納入業者と協力していると述べた。新しい機種では、危険性を減らす、または取り除くためにデザインを変える、あるいはリスク制御手段を搭載するといったことも検討する。
  納入業者や製造者はまた、リスク評価や実施可能な追加対策について、現行機器のユーザーに情報を提供するよう奨励されている。詳細は、www.hse.gov.uk/press/2005/e05131.htm を開かれたい。



製造業

CSB、石油化学業界に緊急勧告を発布
 ワシントン − 米国化学物質安全性調査委員会(U.S. Chemical Safety and Hazard Investigation Board CSB)は、石油化学施設でのトレーラーの安全配置を求める二つの新しい緊急安全勧告を発布することを、満場一致で議決した。勧告は、BP Products North America社のテキサス州テキサスシティ工場での3月23日の爆発事故を、CSBが調査した結果、導き出されたものである。死者15人は、有害な工程設備に近づきすぎて配置されたトレーラーの中や周辺で死亡していた。この設備は、始動時、可燃性の炭化水素を放出していた。
  CSBの勧告は、BP社の事故調査に関する10月27日の公開会議に先立ち、発表された。CSBは、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute: API)および全米石油化学・精製業者協会(National Petrochemical & Refiners Association: NPRA)の2大業界団体に対し、勧告を発した。両協会とも、ワシントンにあり、国内大手の石油、石油化学企業の大半を代表している。
  CSBによると、APIは、勧告どおり安全慣行を開発し、全米各地の何千もの石油化学施設に範を垂れる。第一の勧告は、「積載したトレーラーや同種の仮設物は、工程設備の危険区域から離して、安全な配置を徹底する」新しい産業ガイダンスを開発するよう、APIに求めている。もう一つの勧告は、APIの新しい産業ガイダンスが完成するまで、「積載したトレーラーは、工程設備の危険区域から離して、安全な配置を徹底するよう、迅速な措置」を講ずるよう、API、NPRA双方に対し、傘下の会員企業にただちに指示するように要請している。
  BP社は、10月24日、同社の安全管理システムおよび安全文化の改善に向け、勧告を検討・作成する独立委員会(委員数11人)の委員長に、ジェームズ・A・ベーカー三世元国務長官(James A. Baker III, Secretary of State)が就任すると発表した。



事実チェック
米国の業務別鉱業死亡災害(2003年)
  機械の保守・修理   18%
  小型トラックの運転   9%
  運搬トラックの運転  

7%

  電気の保守・修理   5%
  連続採鉱機の運転   5%
  歩行・走行   5%
  資材の取り扱い   4%
  フォークリフトの運転   4%
  坑外機器の運転   4%
  操業の監督   4%
  その他   35%

出 所:全米安全評議会(NSC)、Injury Facts、2004年


鉱業

MSHA、「冬季警戒」キャンペーンを開始

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、10月11日、寒冷な季節に発生しがちな職場のハザードについて、国内の鉱業者や地下炭坑労働者に警告する「冬季警戒」キャンペーンを開始した。MSHAは、歴史的に、地下炭鉱の爆発事故の大半は、冬季月間に発生すると指摘した。今年のキャンペーンのスローガンは、「ただいま冬季警戒中、安全は、あなたから着手(Winter Alert Starts Now and Safety Begins With You)」である。
  これらのメッセージは、寒冷気象のリスクについて、炭坑労働者や鉱業者の注意を喚起し、リスクやハザードの削減の一助となるよう、教育することを目的としている。冬季は、低気圧や低湿度に、炭鉱のある多くの地域では季節特有の乾燥も加わり、炭鉱爆発を誘発しやすい条件を整えると、MSHAは述べた。鉱業者は、頻繁に炭鉱を調査し、地下の作業場を十分に換気し、ロック・ダストをたっぷり用い、作業現場でのメタンガスの蓄積を頻繁に検査するよう、奨励されている。詳細は、www.msha.gov/FocusOn/WinterAlert2005/Winteralert2005homepage.asp を開かれたい。



MSHA、砂・砂利訓練にコメントを募集

 バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(MSHA)は、浚渫作業に従事する鉱山労働者や、砂、砂利、地表岩、地表粘土、コロイド状燐酸塩や地表石灰石鉱山で働いている労働者の訓練・再訓練に関する法規が定める情報収集義務の拡大について、コメントを募集している。
  当局の訓練基準(OMB No. 1219-0131)は、鉱業者に対し、新規および熟練の鉱山労働者の訓練、新しい職務に就く鉱山労働者の訓練、年次再教育訓練やハザード訓練に関するプログラムを盛り込んで、MSHAが承認した訓練計画を、書面に作成し、実施するよう、義務づけている。
  コメントは、12月12日までに提出すること。コメントは、ジョン・ローレット管理サービス部長(John Rowlett, Director, Management Services Division, 1100 Wilson Blvd., Room 2134, Arlington, VA)宛て、eメールではRowlett.John@dol.gov宛てに提出されたい。



 サービス業

消防団体、ウェブサイトで車両安全訓練を提供

 メリーランド州エミッツバーグ − 米国消防庁(U.S. Fire Administration: USFA)と全米ボランティア消防協議会(National Volunteer Fire Council、在ワシントン市)はこのたび、「ボランティアおよび小規模複合緊急サービス団体向けの緊急車両の安全運転(Emergency Vehicle Safe Operations for Volunteer and Small Combination Emergency Service Organizations)」」と題するオンライン訓練プログラムを発表した。
  このウェブ教育プログラムには、緊急車両の安全自己評価、標準運転ガイドラインの実例や、緊急車両の安全向上をめざした運転管理および動機づけ手法が含まれている。
  プログラムはまた、緊急事態に対応し出動、あるいは帰還する個人所有の車両の衝突事故を調査している。これは、消防庁によると、ボランティア消防隊員の死亡の筆頭原因である。詳細は、www.usfa.fema.gov/research/safety/vehicle.shtmを開かれたい。


DHS、緊急対応要員訓練を地方に委譲

 ワシントンー − 国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)は、同省が標準化した緊急対応要員訓練コースについて、その採用・実施機関の認定については、所管の州、準州、先住民自治体に委ねる、新しい共同訓練アウトリーチ・プログラム(Cooperative Training Outreach Program)を開始する。
  プログラムは、2006年に3段階に分けて実施される。第一段階では、州行政当局は、訓練コースのカリキュラムを実施する州機関を選び、認定する。
  州行政当局は、各訓練機関で、インストラクターの資格を認定したり、実施する訓練の質を監視・維持する責任者として、指導員主任を指名する。緊急対応・復旧に関する詳細は、www.dhs.gov を閲覧されたい。



 運輸業

FRA、列車運行係の疲労を調査する

  ワシントン − 連邦鉄道庁(Federal Railroad Administration: FRA)が10月12日に発表したところによると、同庁は、列車運行係の勤務日程と睡眠パターンを調査する計画である。
調査では、列車運行係の勤務日程と注意力または疲労水準の関連を調べる。
  結果は総計して報告すると、当局は述べた。被験者の注意力または眠気に関する主観的な格付けは、2週間にわたる勤務日誌から収集する。被験者には、略歴に関する簡単なアンケート調査を行う。
  本調査案は、「列車運行係の勤務・休憩サイクルの変数と疲労について、証明可能で信頼性の高い判断を引き出し、将来のFRA規制政策・措置を方向づけるものである」と、当局は述べた。



 公益事業

OSHA、送電基準改正に対するコメント期間を延長


  ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、送配電設備建設基準を、改正一般産業基準と整合するよう改正するにあたり、書面によるコメント提出期限を2006年1月11日まで延長した。この延長は、10月12日付官報(Federal Register)に掲示されている。
  また、非公式聴聞会については、当初の予定であった2005年12月6日から、2006年3月6日に延期したと、当局は述べた。
  OSHAによると、基準改正案には、閉塞空間での作業、電圧のかかった部材近辺での作業、労働者保護のための接地工事、地下および頭上設備の工事、変電所での工事、その他電気エネルギーの送配電に特有の特殊条件や機材に関する要件が含まれている。
コメント提出期限の延長は、www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=FEDERAL_REGISTER&p_id=18436を開かれたい。


「産業特集」は、マーキサン・ネイソー編集次長が担当した。