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NSC発行「Safety + Health」2005年12月号
ボストン − リバティ・ミューチュアル・グループ(Liberty Mutual Group)の二つの調査によると、重篤な労働災害は減っているものの、これらの労災は、相変わらず、企業の収益を痛打している。
労災費用の伸びは、物価上昇率を調整した後の数字では、2002年の6.5%から2003年には0.7%へと、大幅に減速した。しかし、労災の企業財務への影響の度合いは、横ばいであった。事業者は、2003年には、負傷労働者への賃金および医療費として、508億ドルを支払った。
「ここ数年、進展が見られたとはいえ、これらの結果は、総合的な安全管理システムの必要性を指摘するものである」と、リバティ・ミューチュアル・ロス・プリベンション社(Liberty Mutual Loss Prevention)のカール・ジェイコブソン上級副社長兼総支配人(Karl Jacobson, senior vice president and general manager)は述べた。「重篤な災害の数やその財務負担を減らし続けるには、企業は、強力な安全団体や、管理者、首脳陣、従業員が参加した安全改善プロセスを追及せねばならない」。
「リバティ・ミューチュアル労働安全指標(Liberty Mutual Workplace Safety Index)」は、1998〜2003年間の重篤な労災の主要原因について、その傾向を明らかにしている。「リバティ・ミューチュアル最高財務責任者(CFO)調査(Liberty Mutual Chief Financial Officer Survey)」によれば、大中規模の企業の財務担当役員が、安全をどう捉えているのか、それを垣間見せてくれるものである。本調査の詳細は、www.libertymutual.comを参照されたい。
労働安全の利益最上位(最高財務責任者:CFOの回答) |
生産性 |
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42.5% |
費用の削減 |
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28.3% |
従業員の保持 |
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7.1% |
勤労意欲 |
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5.8% |
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出 所:「リバティ・ミューチュアル最高財務責任者調査」、2005年 |
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「リバティ・ミューチュアル労働安全指標」で見る労働災害トップ5位(2003年) |
型別 |
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パーセンテージ |
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費用(単位:億ドル) |
過労 |
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26.4 |
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134 |
転倒 |
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13.7 |
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69 |
動作の反動 |
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10.2 |
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51 |
転落・墜落 |
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9.0 |
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46 |
その他 |
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11.3 |
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58 |
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事実チェック
報告のあった労働死亡災害― 国別死亡者数トップ5位(2002年) |
米国 |
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4,716人 |
日本 |
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1,658人 |
ウクライナ |
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1,227人 |
スペイン |
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1,104人 |
ポーランド |
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515人 |
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出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、Injury Facts、2004年 |
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ワシントン − 労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health AdminisTRation: OSHA)は、9月、労働組合、コミュニティ・カレッジその他の非営利団体(NGO)の安全衛生訓練・教育プログラム向けに、スーザン・ハーウッド訓練助成金(Suzan Harwood Training Grants)として1,030万ドル強を交付した。
このなかには、ハリケーンに被災した湾岸地域の災害対応、清掃、再建活動に従事する労働者に安全衛生訓練を提供する「災害対応・復旧訓練助成金」500万ドルも含まれている。
当局によると、助成金は、閉塞空間、電気工事、建設、手動・電動工具、重機の運転、すべり・つまずき・墜落・転落、カビ、水質汚濁、吸入性または化学・生物学的ハザード、動物や昆虫のかみ傷といったハザードを避けるよう、労働者を訓練するのを手助けするものである。
OSHAは、そのほか3部門で、助成金を交付した。
- 建設業、一般産業のハザードに関する訓練を支援する「重点項目訓練助成金」
- 建設業、業務関連の交通危険その他の分野の教材の開発、評価,認定を支援する「OSHA教材開発助成金
- 非営利団体の安全衛生訓練・教育、アウトリーチ活動の充実を図る「組織能力構築助成金」
2005年度スーザン・ハーウッド助成金の交付先リストは、www.dol.gov/opa/media/press/osha/OSHA20051859-fs.htmで閲覧できる。
ワシントン − 国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)は、講師や指導者が、受講者に対し、情報を効率的かつ効果的に伝えるには、実務訓練(OJT)プログラムをどう開発・管理すればよいか、これを取り上げた新しい刊行物を発行した。
この「実務訓練(OJT)の訓練者のための指導技能(Coaching Skills for On-the-Job Trainers)」によれば、OJTは、単純明快に見えるが、効果的な訓練ということになると、熟練労働者の周りに集まり、その作業を観察する以上の熟考と準備が必要となってくる。
刊行物は、www.cdc.gov/niosh/mining/pubs/pdfs/2005-146.pdf でダウンロードできる。
ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)はこのたび、SkillsUSA社との同盟を締結した。同社(本社:ミズーリ州カンザス・シティ)は、技術、熟練、サービス職の職業訓練プログラムに登録している高校・大学生および専門職会員279,000人にサービスを提供している。
OSHAによると、両者は、就職指導者や技術教育者、およびその生徒に対し、若年労働者の労働安全衛生の向上をめざした教材やガイダンス、訓練資源へのアクセスを提供するよう、共同で作業する。
SkillsUSA社は、技術教育のための全米リーダーシップ・技能会議および技能競技会(National Leadership and Skills Conference and Trade Show)を主催している。毎年開かれるこの会議には、州毎に選抜をくぐり抜けてきた4千人強が参加し、73ものリーダーシップおよび実務技能コンテストを競い合う。
www.osha.gov/SLTC/teenworkers/index.html では、OSHAの十代労働者ウェブページ(Teen Workers Web page)を閲覧できる。
ワシントン − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)はこのたび、化学・生物・放射線・核防護機能を備えた、ろ過式避難用呼吸用保護具について、初の認定証2通を発行した。
この発行で、MSA社(本社:ピッツバーグ)およびILC Dover 社(本社:デラウェア州フレデリカ、Frederica)の呼吸用保護具メーカー二社は、業務用途でNIOSHの認定を受けたとのラベルを、保護具に貼り付けることが許可された。これは、製品を宣伝するものではないと、当局は述べた。
アトランタ − 疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)は、2つの新しい衛生マーケティング・センターと衛生コミュニケーション・センター(Centers of Excellence in Health Marketing and Health Communication)、および2つの公衆衛生情報科学センター(Centers of Excellence in Public Health Informatics)に、およそ520万ドルの助成金を交付した。
当局は、助成金で、科学の進展を促し、それによって、健康管理専門家の衛生勧告を消費者へ伝える能力や、電子情報システムを使いこなす能力が改善されることを願っていると述べた。
「4つの新しいセンターへの初期投資で、健康記録を管理する、または、さまざまな地域からの疾病情報を統合する、患者からの質問や懸念を理解する、あるいは、健康増進の方法について人々を教育するといった目標への新しいツールやアプローチ、戦略を見つけたい」と、CDCのジュリー・ガ−バーディング部長(Julie Gerberding, Director)は述べた。
ワシントン − 労働安全衛生におけるナノテクの応用と定義に関する国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の調査に関連して、三つの新しい文書が当局のウェブサイトに掲載されており、コメントを募集している。
「安全なナノテクへのアプローチ:NIOSHとの情報交換(Approach to Safe Nanotechnology: An Information Exchange with NIOSH)」は、ナノ粒子の毒性と抑制について、既知の事実を吟味している。「NIOSHのナノテク調査の戦略計画:知識の不足を埋める(Strategic Plan for NIOSH Nanotechnology Research: Filling the Knowledge Gaps)」は、ナノテク調査研究分野で、労働安全衛生業界が協力するよう先導するため、NIOSHが所内および対外的に実施していることをまとめている。「ナノ情報に関するウェブ図書館:概念と情報入力のお誘い(Web-based Nano-Information Library: Concept and Invitation for Input)」は、労働衛生専門家、産業ユーザー-や研究者の間で、情報を構築・共有するよう、めざしたものである。詳細は、www.cdc.gov/niosh/updates/upd-10-04-05.html を閲覧されたい。
イリノイ州リバーウッド(Riverwoods) − ハリス・インタラクティブ(Harris Interactive)が実施した「2005年度CCH社計画外欠勤調査(2005 CCH Inc. Unscheduled Absence Survey)」によると、計画外欠勤率は、昨年からほぼ横ばいであったが、一人あたりの平均欠勤費用は、660ドルに上昇、事業者によっては、年間100万ドル以上を負担したところもあった。
調査によると、出社しない従業員三人のうち二人は、病気ではない。調査の結果、病気を理由とするのは、計画外欠勤の35%にすぎず、65%は、家族問題、自己都合、休暇取得権利を行使しようとする心理、ストレスなど、その他の理由によるものであった。
2005年の欠勤率は2.3%で、昨年の2.4%をわずかに下回った。平均欠勤費用は、年間一人あたり660ドルで、2004年の610ドルを上回った。
CCH社によると、調査は、有給の欠勤時間に支給された賃金費用のみを計上しており、生産性の損失、勤労意欲や臨時労働費用など、その他の費用は考慮していない。
ワシントン − ノーマン・Y・ミネタ運輸長官(Norman Y. Mineta, Secretary of Transportation)は、9月30日、米国の運転中または乗車中のシートベルト着用率は、82%と最高値を記録、2004年の2%増であったと述べた。
過去5年間で、シートベルトの着用率は、2000年の71%から今年の82%へと、着実に増加していると、ミネタ長官は述べた。
82%の着用率で、シートベルトは、15,700人の死亡や350,000人の重傷、年間の交通死傷事故に関連する経済的損失670億ドルを防いでいると、ミネタ長官は述べた。昨年単年のベルト着用率の上昇だけでも、540人の死亡、8,000人の重傷と、18億ドルの経済的損失を防いだと、ミネタ長官は付け加えた。
調査結果全文をダウンロードするには、www-nrd.nhtsa.dot.gov/pdf/nrd-30/NCSA/RNotes/2005/809932.pdf を開かれたい。
全米安全評議会(National Safety Council: NSC)のエアバッグ・シートベルト安全キャンペーン(Air Bag & Seat Belt Safety Campaign)を担当するフィル・ハセルタイン常務理事(Phil Haseltine, executive director)は、このニュースを「すばらしいの一言に尽きる」と評し、全米の着用率をここまで引き上げたのは、全米規模での「カチッと締めなければ、違反切符(Click It or Ticket)」法規施行キャンペーンがあったからだと述べた。
イリノイ州イタスカ − 全米安全評議会(NSC)の一部門、キャンパス安全衛生環境管理協会(Campus Safety, Health and Environmental Management Association: CSHEMA)は、先日の一連のハリケーンで打撃を受けた総合大学や単科大学のための復旧支援を構築中である。
支援を求めている大学や、ボランティアの活動時期や専門分野に関心のある個人、団体は、www.cshema.org/membernews/katrinarelief.htmでウェブ申し込み書式を入手できる。
ボランティア活動に従事する、あるいはEHS支援を要請するのに、必ずしもCSHEMAの会員である必要はない。緊急性の高い支援要請は、デニス・サリバン(電話:(502)852-2948、またはdennis.sullivan@Louisville.edu)まで連絡のこと。
「ニュース編」は、オードリ・アームズ編集次長が担当した。
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