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傷病を防ぐためのヒント
Safety Tips

資料出所:Safety+Health
May 2006

(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2006.11.27

編注:ちょっとした工夫や対策で業務関連の傷病を防ぐことができる具体例がするされていて有用と思われる。
目の傷害防止

全国眼科学会(National Eye Institute)によると、毎日およそ2,000人の米国労働者が仕事中に目に傷害を被り、治療を受けているとのことである。

作業上での目の傷害は目の外傷、視覚損失、労働不能及び失明の主たる原因となり、業務遂行及び日常活動を実行する上での能力の妨げとなりうる。目の傷害によるコストとして、損失生産時間、医療出費及び労災補償に関し毎年3億ドル以上にものぼっていることが労働省の調査で判明した。

特に建設業、製造業、鉱山業、大工、自動車修理業、電気工事業、配管業、溶接作業及びメンテナンス業といった高いリスクのある作業に従事する場合には、事業者及び労働者は視覚リスクについて知っていなければならない。安全上のハザードを取り除いたり、最小限にしたり、且つ目に関する適切な保護具を着用するということの組み合わせにより、目の多くの傷害は防ぐことが可能である。

シカゴの全米失明予防協会(Prevent Blindness America)によると、次のようなちょっとしたことが作業上での目の安全推進対策となるとのことである。

  • 目に関する保護具はすべての眼鏡又は、ゴーグル上に“ANSI Z87”の印がはっきりとついたものでなければならない。目に対するハザードが存在するような場合には,常に目に関する保護具を着用しなければならない。
  • 事業者は目についての安全上のハザードが発見された場合には、直ちに通知を受けなければならない。
  • すべての労働者は最寄りの目の洗浄設備が職場のどこにあるのかについて知っていなければならないし、その使用方法について教育訓練を受けていなければならない。
  • 従業員は定期的な目の検査により、作業にとって適切な視力があることを確認しなければならない。
  • 視力低下を伴った従業員は、処方箋に基づく眼鏡あるいはゴーグルが提供されうるかどうかについて事業主に尋ねなければならない。
屋外労働者に対するウェストナイルウイルス感染低減対策

事業者は屋外労働者をウェストナイルウィルスから守るための対策を講じなければならない。

このウイルスは感染した蚊に刺されることで、しばしば人に伝染する。多くの人は特に感染症状は現れない。約20%の人はインフルエンザのような症状を引き起こす。症状の重い人は脳炎とか髄膜炎になる場合もある。

事業者はNIOSHが勧告している以下の対策をとることで、ウェストナイルウィルスのばく露から労働者を保護しなければならない。

  • ウェストナイルウイルスがどのようにして伝染するかについて記述し、ばく露及び感染リスクに関する知識を強調するような教育訓練を実施すること。
  • 時宜を得た方法ですべての業務関連傷害と疾病を報告するという大切さを労働者に強調すること。
  • ウェストナイルウイルス感染に伴う症状と常習欠勤をモニターし、記録し、評価するという健康診断システムを用意すること。
  • 長袖シャツ、長ズボン、長靴下というような保護的となる衣服を労働者に提供すること。皮膚及び衣服に蚊を寄せ付けない防虫剤を使用すること。

職場から可能な限りよどんだ水の源となるような箇所を取り除き、蚊が増えないようにすること。

  • 動物の飲み水用かいば桶、小鳥の水浴び水用水盤及びその他の水が入っている容器内の水を4〜5日毎に取り替えること。
  • 蚊の卵を取り除いてから、水の入っている容器の側壁をごしごし洗うこと。
  • 水が溜まるような容器には水抜き穴を設けること。この水を不用意に捨ててはいけない。
  • 水を循環させる通気装置を池とか庭園内の小池に設けること。蚊の幼虫とか成虫を食べる魚を池などにいれること。
  • 廃棄されたタイヤを取り除くか、タイヤを乾燥させて密封すること。
  • 防水シート、バケツ、樽、手押し車及び容器というような器具類によどんだ水が溜まらないように、ひっくり返したり、覆ったり、倉庫へ入れたり、片づけたりすること。
  • 雨樋を清掃すること。
  • 排水溝から破片類を除去すること。
  • よどんだ水が溜まるような車のわだちとかそのような場所を埋めること。
大工が傷害を被らないような簡単な対策

手袋とかシールドローションは、大工の手が乾燥して、ダメージを受けないようにするための手段となりうる。オークランド市にあるCal/OSHAによると、大工の手は体のどの部分よりも最も傷つき且つダメージを受けるのとのことである。

産業に関連した化学物質へのばく露、暑い太陽の下での屋外労働、反復作業、危険な機械類のそばでの業務は、すべて皮膚の乾燥、ダメージにつながる。

正しい型式の手袋とシールドローションを一緒に使用することで、建具用にかわ、セメント、石膏混合物、ペンキ、シンナーのような刺激的な化学物質により、乾燥し,ひりひりした皮膚とならないようにすることができる。また手袋は、水ぶくれ、たこにならないようにし、工具類とか木片でのたいていの切り傷から保護することに役立つのである。

ストレッチ体操で、反復作業による手の障害を防ぐことができる。他人と一緒に荷物を持つことで筋肉を無理して痛めたり、断裂したりすることのないようにすることができる。

軽量の工具類を選択することで疲労及び傷害を最小限にすることができ、そして生産性を向上することができる。労働者は手作業に必要な工具、機器類だけを携帯するべきである。

整理、整頓がきちんとできていれば、傷害を防ぐことができる。一日の仕事が終了した時に作業場周囲の破片や木片を片付けることで、誰かが、飛び出た釘がついた板を踏んだり、木材の上でつまずいたりといったことが少なくなる。

更に、労働者は体を一杯に伸ばしてはいけない。必要に応じてはしごとか足場を使用することである。

屋外作業の場合には、涼しくて軽い保護衣及び日焼け止めクリームの使用により日焼けから身を守ることができる。シールドローションは皮膚が乾燥するのを防ぐことができる。夏季の日で最も涼しい時間帯の労働━早朝及び夕方遅く━では十分な電解物質液及び水分を取ることである。

  必要に応じ、休憩を取ること。労働者が気を失ったり、めまいがしたり,熱中症の影響が出たりした時には直ちに医療救助を求めること。