このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

アスベスト(石綿)管理を義務化

資料出所:「OS&H」 2000年8月号 p.3
(訳 国際安全衛生センター)


労働安全衛生委員会(HSC)は、イギリス国内の官民の業務用建物に残存するアスベストの危険を減らすため、法規制の強化を提案している。今後は、建物の管理責任者がアスベスト管理の責任を負うことになる。

HSCのビル・キャラガン議長は「アスベスト関連の疾病で年間3000人が死亡しているが、それらはすべて防止可能なものだった。これほどの人命の犠牲と悲劇を見過ごすわけにはいかない。安全・衛生を軽視した場合のつけの大きさ、逆にうまく抑制できた場合の利益の大きさを思い知らされる」と述べた。

犠牲者の多くはアスベストに暴露したことを自覚していないが、20世紀中頃の建築物の多くは、断熱材や耐火材にアスベストを使用している。アスベストを含む建物は、いまも150万カ所ほど残っていると推計されている。

アスベストを含んだ建材でも、適切な状態を保ち、手を加えないかぎり危険性はない。問題になるのは適切な管理が行われていない場合である。HSCの提案は、この状況を改善し、とくに電気技師、ガス設備業者、配管業者、大工などの作業者、それに現場を訪れる一般人を守るためのものだ。

業務用建物の管理責任者は、次の責務を負うことになる。

  • 建物へのアスベストの使用の有無、および使用箇所を確認する。
  • アスベストの不使用が確認されないかぎり、使用されているものと想定する。
  • 調査結果を記録する。
  • アスベストの危険性を管理するための計画を策定し、実行する。
  • 現場でアスベストに接触する可能性のある人々に情報を提供する。

規則を順守する際の解釈基準として、新しい「公認実施準則(Approved Code of Practice)」も提案されている。

HSEは、新作のビデオ『How are you today?(ごきげんいかがですか)』も発表した。内容は二つの部分からなる。第1は建築関係の労働者を対象にしたもの、第2は、新たにアスベスト管理の責務を負うことになる事業者を対象にしたものだ。アスベスト関連の小規模の(ただし危険性をはらむ)作業をする建築労働者向けの技術的指針である『Asbestos Essentials(アスベスト必須事項)』も作成中である。

以下の参考資料は無料で配布している:

  • Proposals for amendments to The Control of Asbestos at Work Regulations 1987
  • Approved Code of Practice(新版)
  • The Health and Safety (Enforcing Authority) Regulations 1998, ref. CD159(一部改訂版およびその簡約版)
  • A Summary of Proposals for the Control of Asbestos at Work Regulations, ref. MISC 226

以上はインターネット(http://www.hsebooks.co.uk)でも注文でき、HSE Books(PO Box 1999, Sudbury, Suffolk, CO10 2WA, 電話01787 881165 ファックス01787 313995)から入手可能。またHSEのウェブサイト(http://www.hse.gov.uk/condocs/)からダウンロード可能。

ビデオ『How are you today?(ごきげんいかがですか)』はHSE Videos(PO Box 35, Wetherby, West Yorkshire LS237EX, tel: 01937 541010 ファックス01937 541083)で注文可能。初版価格は49.50ポンド。



この記事のオリジナル本は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。