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職場で発生する喘息の診断システム

資料出所:ROSPA発行「Occupational Safety and Health」2000年1月号 p.6
(訳 国際安全衛生センター)


 ふたりの医師が、職場環境を原因とする喘息を正確に診断できるコンピューターを利用した補助機器を、世界で初めて開発した。

発明者であるバーミンガム・ハートランド病院のシャーウッド・バージ医師と、キール大学医学部大学院のチャールズ・パンティン医師に対し、 BUPA財団から「職場の衛生」賞として1万ポンドが贈呈された。

このシステムはOASYSと呼ばれ、27年間のコンサルタント医としての専門的経験と、労働環境を原因とする喘息の研究に基づいて考案された。 システムは、患者のピークフロー(最大呼吸気流速度)を、労働日も休日も2時間おきに記録する。 コンピューター・システムは、コンサルタント医に代わって、記録結果に対する専門的意見を提示する。

また、このシステムは、喘息の原因が労働にあるのか、それともハウスダスト、冷気、または猫など、労働以外の「誘因」によるものかを正確に示す。 今までコンサルタント医は、これら2種類の喘息を厳密に区別することができなかった。 問題は、労働が原因で喘息にかかった患者は、労働以外のあらゆる誘因でも咳き込むようになる点である。

スタッフ看護師(staff nurse)のヘレン・サットンは、地方病院の勤務中に粉末ラテックス手袋(powdered latex gloves)を使用していて職業性喘息になった。 ヘレンは「病棟にいると咳き込むのですが、帰宅するとすぐによくなるのです」と語った。 ヘレンはラテックス・アレルギーと診断されたが、このアレルギーこそ喘息の原因だった。

イギリスの職業性肺疾患で、もっとも多いのが労働環境が原因の喘息である。 「全国喘息キャンペーン監査1999/2000年」によると、毎年1,500人から2,000人が職業性喘息にかかっている。 1995/1996年の喘息による損失労働日数は1,830万日に達し、支出された疾病手当は1億6,100万ポンドにのぼる。

「職業性喘息は予防できます。ただし費用がかかるため、まず労働環境での症例を詳細に示さないと、職場での発症抑制に必要な対策は実施されないでしょう」 とシャーウッド・バーシ医師は語る。「OASYSシステムは、このジレンマを解決するものなのです」


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