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ミレニアム職場セミナーで腰痛問題を討議
患者自身による管理がポイント

資料出所:Rospa発行「OS&H」|2000年10月号 p.13
(訳 国際安全衛生センター)

 腰痛による障害は、医療の向上にもかかわらず、増加しており、多くの患者にとって唯一の救いは職場で教えることのできる苦痛の「管理」である。

 クリス・ウェルス博士は一連の腰痛セミナーで代表者たちに、過去10年間に腰痛による身体障害が毎年150%も増加しており、もし現在の傾向が続けば2017年までには総労働人口がいなくなってしまう勘定になると述べた。

 「コミュニティにおける腰痛」と題するセミナーは、労働衛生担当の看護師、安全衛生担当者、腰痛患者を扱っているその他の医療関係者などを対象に、10月18日にブリストルで、また11月1日にノッチンゲンで開かれた。

 すでに1000人以上がセミナーに参加し、患者のための苦痛管理のパイオニアとされる2人から話を聞いた。このセミナーは一般社会における腰痛の発生増加に対処するためのイニシアチブの一部である。

 ウェルス博士は、職場で腰痛問題を防止する最も重要な手段は障害管理で、それによって従業員が自分たちの腰痛を管理し、職場に早く戻れるようにすることだと考えている。

 過去5年間に腰痛によって失われた労働日数は2500万時間以上も増加した。腰痛のみを原因とする社会保障給付金も毎年14億ポンドに達し、腰痛による生産性の損失も38億ポンドに達している。女性の患者の方が男性の2倍も多い。腰痛問題の統計的データはさらに次のような事実を明らかにしている。

* 毎年150万枚のX線写真撮影のコストは4500万ポンド
* 1200万の一般開業医診療で1億3000万ポンドのコスト
* 240万人の診療所外来患者のコストが7200万ポンド
* 処方された医薬品のコストが4800万ポンド

 ウェルス博士や臨床神経心理学者でコンサルタントのエリック・ガディアリ博士は、チームを組んで1983年に英国ではじめての患者苦痛対策プログラムを、リバプールのウォルトン神経学神経外科学センターで導入した。両博士のセミナーは腰痛の原因と、コミュニティおよび職場における典型的な腰痛患者の問題を検討した。出席者は心理的な要素が医療専門家による腰痛患者の治療と管理に影響していること、労働者が職場での苦痛管理技術の応用によって、早期の職場復帰を果たしていることを学んだ。

 出席者は腰痛管理についての最新の臨床的および科学的情報を入手し、患者による慢性的な腰痛の管理を助ける実際的な技術を学び、さらに一般社会の多数の患者に関連する医療分野の専門的技術を向上させた。

 ウェルス博士は患者自身に治療に参加させる価値を強調してこう述べている。「自分で自分を助ける方法は将来における最も有力な苦痛治療になるだろう。研究によると、長期の腰痛に最も苦しんでいる患者は、鎮痛剤と休息に頼って、問題が解消することを願っている人々だ。苦しみが最も少ないのは規則的に体操をし、未来を変えようと努力し、できるだけ苦痛を無視しようとする人々だ。苦痛コントロールの技術とくつろぎは、鎮痛剤と同じ程度に人々の病状を緩和する上で効果的だ」

 「コミュニティにおける腰痛」のセミナーの詳細は、以下に電話で聞くことができる。
 Wendy Lloyd, Talking Life Seminars, 0151-632-0662  
 
 

この記事の出典Rospa発行「OS&H」は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。