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RoSPA発行「OS&H」|2001年4月号




ニュース


OS&H一新
OS&H誌をいつもご愛読いただいている読者諸氏には、今月号から本誌が一新したことに容易にお気づきのことだろう。しかし、新しい読者の皆さんのため(今、なんの話をしているのか、見当もつかないのが当然)、紙の質を変えたこと、新鮮で明快な印象を意図し
て、ページ、質問カード、表紙のデザインを改めたこと、(刊行32年目となる)本誌のタイトルを、もとのOccupational Safety & Healthに戻したこと。これにより、本誌がRoSPA(イギリス災害防止協会)のジャーナルであることを明確に示したことを述べておきたい。
 ジャーナルの刷新は、およそ18ヶ月前、RoSPAの会員向けサービス一般とくにOS&H誌に関し、徹底した市場調査を外部委託したのが発端である。この独立した調査結果によると、読者の圧倒的多数は、本誌の中身を高く評価していた。彼らは、本誌について、RoSPAの会員であることの主要な特典だと考えており、本誌を権威のある、正確で率直、時局的で、うまく書かれていると述べている。
 事実、彼らは、中身を変えてほしくはないと述べたので、中身は変更せずじまいである。
 しかし、読者の多くは、デザインの刷新で、中身をより近づきやすい、ユーザー本位のものにすることができるだろうと感じていた。そこで、刷新した。我々の自信作をご承認いただけるものと願う。ご意見等、お寄せ願いたい。


線路際作業の危険
赤色/緑色ゾーンを用いて、線路際の作業員を列車から隔離させる概念は、1995年4月、英国鉄道管理会社(レールトラック社)が導入した。隔離された作業場は「緑色ゾーン」、線路を列車に開放したまま作業し、接近してくる列車があれば、線路作業員は警報を受けて、安全区域に避難する、隔離されていない作業場は「赤色ゾーン」として、知られている。
 さて、「赤色/緑色ゾーン作業:レールトラック鉄道整備における緑色ゾーンの最大化に向けた進捗報告書」と題した、新しいHSE(安全衛生庁)の報告書は、民営化後、死亡者数は減ったものの、1997/98年度、1998/99年度の死亡率は、年間1万人の労働者あたり1名を越えないとする、鉄道グループの目標は達成できなかったと指摘。この死亡率は、危険性が高いとみなされている建設業に匹敵するものである。


運搬作業調査:IOM(労働医学研究所)、訓練者からの情報提供を求む
人力運搬規則(1992)および手引き(L23)は、人力運搬による負傷の危険性を評価し、削減させる枠組みを提供している。人力運搬がやむを得ない場合、多くの企業では、負傷の危険性を管理するひとつの方法として、正しい運搬技術の訓練を特定している。
 しかし、L23の適切な運搬に関する手引きは、簡単につかめ、身体に近づけて持てる、標準的な箱に限定されたものである。しかし、大抵の荷は、このように標準的なものではなく、かさばっていたり、身体に近づけて持てないこともある。
 この手引きの限界を認識して、HSE(安全衛生庁)は、先日、荷物取り扱いに適用すべき原則について、科学的なコンセンサスを得るための調査を行うよう、労働医学研究所(IOM)に委託した。


ストレス・キャンペーン評価
職業性ストレスについての3年間にわたる広報活動の効果をみるための調査報告書が、HSE(安全衛生庁)より出版された。「職業性ストレス評価のための基準測定」(Baseline measurements for the evaluation of the work-related stress campaign)と題するこの報告書は、労働医学研究所(IOM)のアデル・ピルキントン博士率いるチームが実施した調査に基くものである。
調査の主な成果は、以下のとおり。
  • 回答者の79%は、ストレスは、その他の労働安全衛生問題と同様のやり方で管理できるとしている。
  • 40%は、所属する組織が、職業性ストレスの軽減措置を採ったと回答。
  • 42%は、所属する組織が、この問題に対処する際の問い合わせ先について知らないと解答。
これは、IOMチームが考案した、特別構成のコンピューターに基く質問票を用いて、大中小企業を無作為に抽出し、電話で調査した結果である。これに続いて、職業性ストレス対策を実施、あるいは評価した企業に電話でインタビューした。
 HSEは、キャンペーンの終盤で再調査する折、これらの指標に大幅な改善が認められるよう、期待している。キャンペーンは、「全国ストレス認識の日」(2000年11月1日)に始まった。これは、本問題に向けた安全衛生委員会(HSC)の広範な戦略の一部である。
 キャンペーンの次の段階では、労働衛生問題の最大要因のひとつと認められつつある問題に、企業が対処するのを助ける、包括的な手引書セットを刊行する。手引書は、この問題にどう対処していけばよいか、実践的なアドバイスを提供する。
 HSE衛生局のエリザベス・ガイゲル上級政策マネジャーは、「この調査は、ずいぶん重宝します。企業は、職業性ストレスに対処するのに、助けを必要としていることがわかります。我々は、助けたいと考えていますが、広報活動だけでは、健康を害する人々を減らせるわけではありません。管理職上層部が、なにかしようとの固い決意が必要なのです。
 「職業性ストレスの評価のための基準測定」CRR322,ISBN 0 7176 1941 9(15.00ポンド)は、http://www.hsebooks.co.ukもしくはHSE Books, PO Box 1999,
Sudbury, Suffolk, CO10 2WA,電話 01787 881165番、ファックス01787 313995番で、注文できる。 


聴覚ショックの波
ブリティッシュ・テレコムのコールセンター従業員81名は、マイク付きヘッドフォンの着用で、聴覚ショックに苦しんでいるとして同社を提訴、来年に審理が行われる。


若年労働者のための安全アドバイス
若年労働者は、とくに新しく仕事に就く時はなおさらのこと、職場でよく危険にさらされる。というのも、安全な作業慣行を知らないからである。
ビデオ「安全のはなし:初心者のための安全衛生」(The safety bit: health and safety for new staters)は、通信会社、アウトテイクスが作成した。職業人生を通して基本となすべき安全衛生問題への入門ビデオである。
TUC(英国労働組合会議)とCBI(英国産業連合)が後援したこの17分ビデオは、若年労働者に対し、安全を職業生活の要とするよう奨励しており、その点を強調するため、新規労働者のインタビューを入れている。
このビデオは、若年労働者に対し、周りの環境を十分認識し、必ず安全に作業するよう、責任を持つ必要性を力説している。
ジョン・モンクスTUC書記長は、ビデオに登場、「若年労働者にとって、常に職場の潜在的な危険に注意するのは、難しい。安全訓練は、非常に退屈なものかもしれないが、あなたの命や同僚の命を救うのです。訓練を受けていないように思われることを命じられた時には、手助けを求めなさい。あなたの上司が、十分な訓練を与えず、法律違反をしている可能性もあります。使用者の皆さんには、新規労働者の安全を確保する一助として、ぜひこの新しいビデオを役立てていただきたい」と語った。
今年初め、TUCは、若年労働者のための新しい安全パッケージ作成、英国内の学校、大学に配布した。「職場では安全に」と題したこの手引書は、新規労働者が最もけがをしやすいと述べ、若年労働者は、安全を、退屈な規則集とみるのではなく、職場で安全に健康に過ごすやり方であると認識せねばならないとしている。また、使用者から十分な安全衛生訓練を受けていないと感じたら、ちゅうちょせず申し出るよう、説いている。
「職場では安全に」には、機械での作業、ものを移動させる、RSI(反復的負荷障害)、いじめ、騒音、すべり・転倒に関するチェック・リストが含まれている。入手希望者は、0870 600 4882番、TUCまで。
「安全のはなし:初心者のための安全衛生」ビデオは、アウトテイクスのダンカン・ブラウン氏(0208 289 2466番)から購入、または、借り出せる。
詳細は、RoSPA/ノリッジ組合ウェブサイト:www.young-worker.co.ukまで。


www.見習い
エンジニアリング:ウェブサイトは、EEFイースト・ミッドランズ協会が、英国内の使用者に対し、技師見習の募集を手助けしようと企図したものである。このウェブサイトは、使用者、若者双方から頻繁にアクセスがあり、この2年間、使用者の徒弟募集を支援してきた。EEFサイト(www.apprentices.co.uk


安全衛生調査案コンテスト−応募者募集中
安全衛生庁(HSE)は、今年度の主要調査分野報告書(MRMD)を発行した。これは、
HSEの現行の安全衛生調査活動の詳細と、2,050万ポンドが見込まれる2001/2002年度の調査案件を示している。
同書はまた、民間、公共部門双方に対し、安全衛生調査プロジェクト案コンテストに応募するよう、呼びかけている。


SCHIP、構成委員再編で、独立委員を募集
有害化学物質審議常任委員会(SCHIP)は、化学物質の有害性の識別(いわゆる分類)に関する政策および化学物質の供給に関わるその他の問題を担当するHSE(安全衛生庁)およびその職員に対し、助言する機関である。
SCHIPの見直しを受け、HSC(安全衛生委員会)の有害物質諮問委員会(ACTS)は、SCHIPの構成委員再編に合意した。使用者代表4名、労働者代表4名、独立委員4名、主要な商業団体にもいくつか準委員のポストを用意する。任期は3年で、年に3〜4会合への出席を求められる。
HSEは、同委員会の独立委員への応募者を募集中。化学物質の供給に関心があり、独立した見地から貢献できると思う方は、ぜひ応募されたい。


「水の事故防止」会議(ブラックプール、9月24〜25日)
 イギリスでは、毎年570名が水死。最新統計では、子供54名が死亡しており、これは、前年度の50%増である。これらの数値に鑑み、RoSPA(イギリス災害防止協会)は、本問題に対処するため、全国会議を開催する。


沿岸警備隊による捜索・救助実績
英国沿岸警備隊が発表した昨年度の統計によると、捜索・救助件数は、前年度に比べ、わずかながら減少していた。(下表参照)

1999 2000
事故総数 12,220 12,008
援助を受けた人の総数 17,535 14,717
救助された人の総数 5,215 5,217
死亡者数 251 234
沿岸警備隊出動回数 7992 8250



職場での放火
防火協会が作成した最新の火災安全ビデオ「職場における放火」は、全国の職場に対し、放火による火事と被害の状況を伝え、どう防止すればよいか、助言するものである。


サザンプトンの墜落死:エレベーターに注意
HSE(安全衛生庁)は、同業者団体多数に対し、エレベーターの扉案内レールを緊急に点検するよう、書き送った。これは、サザンプトンの15階建てアパートで、男性2名が、エレベーターピットに落下して死亡した事件の初期調査を受けたものである。2名は、パーティから追い出され、けんかしていたところ、エレベーターの扉の前に倒れた。目撃者によると、「猫用出入り口」のように扉が向こうに開き、男性らは、1階に停止していたエレベーターへと墜落した。
 HSEは、エレベーター所有者に対し、扉底部が、溝を円滑にすべるかどうか、また、扉の下部に並の力が加わった場合、エレベーターやエレベーターピットの方に湾曲しないかどうか、簡単な点検をするよう、勧告している。疑わしい場合は、使用を中止して、保全会社を呼ぶよう、要請している。
 HSEの機械工学専門家は、目下、扉底部の扉案内レールに着眼している。サザンプトンの事故がどうして発生したのか、いまのところ不明であるが、産業界が認識しておくべきだとHSEの考える要因が浮上した。そのなかのいくつかを挙げる。
  • 溝のなかのくずや油脂の付着が、安全を損なっていないか、確認する。
  • 扉維持装置の溝のなかを走る、扉底部の案内金具が破損していないか、点検する。
  • 溝自体が破損していないか。
 保全会社は、安全な作業方法と適切な個人用保護具を用いて、エレベーター上部での通常の作業の一部として、エレベーターピット内から扉案内レールを点検するよう、要請されている。
 有資格者が、エレベーターの包括的な点検を行う場合には、保全会社の残した記録をチェックし、扉案内レールを点検するよう、求められている。危険が現存する、または、危険が差し迫った状態である場合、その原因と考えられる欠陥を見つけたら、エレベーターの管理者および取り締まり当局に報告するよう、注意されたい。


海上事故への対応
 キース・ヒル海運大臣は、英国の弱点である沿海域を事故や公害から守るため、年中利用可能なタグ・ボートの導入を発表した。


一酸化炭素の危険性キャンペーン
 新しいガス安全キャンペーンの課題は、一酸化炭素中毒の危険性とガス器具の適切な設置と保全である。


「危険を知り対策を実施する」という題目で、民間防衛・災害調査研究所が、ワークショップを企画、コヴェントリー災害管理センターが主催する。ブライアン・トフト教授を進行役に迎え、4月28日に開催予定。詳細は、レス・モーズリー(02476 838898)まで。