HSE(英国安全衛生庁）、ストレス防止に努力

資料出所：The Royal Society for The Prevention of Accidents（ROSPA）発行
「OS&H」｜2001年9月号 p.18〜19
（訳　国際安全衛生センター）

ストレスに関連する疾病は、年間650万日の労働損失日数の原因となり、事業者に年間3億7000万ポンドの損害を与え、社会全体の損失も37億5000万ポンドに上っている。英国では推定50万人が作業関連のストレス、不安、うつ病から病気の状態になっている。

こうした状況から、英国労働安全衛生庁（HSE）は50人以上を雇用する企業、組織の管理者を対象とした、総合的な指針「作業関連ストレスの対応：管理者のための従業員の健康と福祉改善の手引き」を出版した。これは職場におけるストレスの原因を捉えるための、段階的なアプローチを紹介したものである。この指針は、ストレスに苦しむ人々を早く見つけ、問題の発生を防ぐにはどうしたらよいのかを説明し、合わせて事業者の法定の義務を解説、効果的な対策を取ることを勧めている。
　指針では次の点を検討している。

• 文化：企業、組織は従業員を暖かく支援しているか。
• 要求：個人に負わされている負担とそれを処理する能力はどうか。
• 管理：個人が作業の履行について意見を言うことができるか。
• 人間関係：人々の職場における人間関係はどうか。
• 変化：企業内外の変化と労働者への影響。
• 役割：従業員は組織内での自分の立場を明確に理解しているか。
• 支持と訓練：仕事をうまく遂行し、正常な精神衛生を保つための支持、訓練の重要性

HSEのストレスに関するスポークスマン、エリザベス・ギンゲルは「作業関連のストレスは、現在の英国が直面している非常に大きな職業衛生上の問題であり、財政上もまた人間の苦しみという点からも、大きな負担になっています」と言う。さらに「この負担を引き下げるには管理者の役割が大きい。簡単でしかも効果の上がる方法がいくつもある。この指針はこうしたストレスの問題に正面から取り組むための実際的なアドバイスを集めたものです」
　「現代の職場では競争がかなりの圧力になっている。しかし忙しい仕事をする人間が受ける圧力にも違いがあり、スタッフは人々にかかるストレスに対処することができないでいます。疲れた労働者の効率は落ち、そこまで労働者を追い込んでは誰の利益にもならない。正しい管理方法を普及させることが何より大切で、私は企業に対してわれわれと知識を分かち合い、実際的な解決策を見出すように勧めたいと思います」
　ギンゲル氏はこう結論する。「この指針は管理基準を制定するための第一歩です。基準というのは、事業者が作業関連のストレスをどの程度防止したかという実績を測定し、ストレス関連の安全衛生違反に関する法的な規制を行うためのベンチマークを決めることです。われわれは今後数年の内に企業と協力してこの基準を作成するつもりです」
　新しい基準に加えて、「作業関連のストレス対策：従業員のための手引き」というパンフレットも作成されている。ストレスとは何か、人々にどう影響するかを説明し、各人が管理者の問題解決の努力を支援する方法などを記載している。

「作業関連ストレスの対応：管理者のための従業員の健康と福祉改善の手引き」（ref HSG218）ISBN 0-7176-2050-6、価格7.95ポンド）はオンラインで発売されている（http://www.hsebooks.co.uk）。または下記に注文する。HSE Books, PO Box 1999, Sudbury, Suffolk, CO10 2WA、電話01787-881165、ファックス01787-313995。

この記事の原文（英語）は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。