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肺疾患のコスト

資料出所:王立災害防止協会(RoSPA)発行
「Occupational Safety & Health Journal」2002年4月号
(訳:国際安全衛生センター)


肺疾患は英国の最大の死亡原因であり、British Lung Foundation(英国肺財団)の調査によると、毎年2,500万日以上の労働損失日数を発生させている。

この調査はテイラー・ネルソン・ソフレが担当し、2000年中に休業したことのある1,200人を超える労働者への面接に基づいて実施された。その結果、全休業の3分の1が肺に関連する疾病に起因していることが分かった。回答者の67%強が、肺に関連する症状を示していた。平均休業日数は13.5日だった。

同財団のデイム・ヘレナ・シャブルトン理事長は「肺の疾病による2,500万日の労働損失日数は、英国企業に毎年15億ポンド近くのコストを強いており、また開業医の業務を非常に圧迫している」と述べた。

休業した労働者の症状で、もっとも多いのは咳だった。インフルエンザを原因とする休業は25%で、このうち16%は休業日数が3日以上だった。ただし調査対象者のうち、インフルエンザ予防ワクチンを受けているのは11%だけで、55歳から64歳までの労働者では20%にすぎなかった。

デイム・ヘレナ理事長は次のようにも述べている。「政府は、肺疾患が生産性と公共財政に及ぼす影響を無視できない。肺疾患の予防と治療に、もっと多くのリソースを投入しなければならない。肺疾患は医療費支出の面で軽視される場合が多く、今やそのツケがまわってきた」

この調査では、地域と性別による興味深い差異が目についた。平均休業日数は、男性の12.5日に対して女性は16日と長かった。また南西地域の労働者の平均休業日数は約8.5日ともっとも少なく、北アイルランドの労働者は19日を超えていた。主要地域の休業日数は、その地域の人口中の肺疾患の数に対応していた。

公共部門とサービス部門の労働者は、製造業と建設業の労働者より休業日数が多かった。休業日数がもっとも少ないのは看護師だった。