このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

アスベスト使用禁止「まだ始まったばかりだ」と
英国労働組合会議(TUC)表明

資料出所:The Royal Society for The Prevention of Accidents(ROSPA)発行
「OS&H」|2002年1月号 p.13
(訳 国際安全衛生センター)


TUC(労働組合会議)のモーリーン・ルーニィ議長は、英国でいまだに毎年4,000人以上の命を奪っているアスベストに対する労働組合のキャンペーン活動が、一歩前進することになると表明した。労働組合会議の大会での挨拶の中で、ルーニィ議長は、下記3点を要求した。

  • 全世界でアスベストの使用を禁止すること。

  • ヨーロッパの事業者に対して、職場で使用されているアスベストを公的登録するよう法的義務を課すこと。

  • 英国と特に南アフリカでのアスベストによる犠牲者に対する公正な扱いをすること。

統合電気労働組合(AEEU)の役員であるモーリーン・ルーニィ氏は、「自分のところで働いている労働者をアスベストから護るという、基本的なモラル責任について、疑問を持つような事業者はいないと思います。我々が望んでいるのは、アスベストの公的機関への登録であり、そうすれば、どこに行けばアスベストの危険に触れるのか誰でも簡単に、即座にわかるのです。」と述べた。

さらに、「労働組合会議(TUC)が、すでに国内でのアスベスト使用禁止を法制化している政府に対してさらに要求していることは、海外の国々に注意を向け、アスベスト使用禁止が拡がっていくことを助け、他国の数え切れない多くの人々をアスベストから護れということです。」と言う。EU諸国はすでに、アスベストの使用、販売、供給を禁止しており、オーストラリアやブラジル、チリを含む世界の国々も、EUにならう方向にある。

労働組合会議は一方、アスベストが原因で疾病を蒙った人々に賠償するよう、英国系のケープ社に対して要求している南アフリカ鉱山組合のキャンペーン運動を支持している。南アフリカ鉱山組合は、英国の裁判所で行われた裁判で、すでに勝訴している。モーリーン・ルーニィ氏は、「我々は、多数の組合と組合員を動員して、多くの被害者が亡くなる前に被害者の弁護士と話をまとめるように、ケープ社に対して圧力をかけている。」と述べた。

ルーニィ氏はさらに、英国でもアスベスト被害者に対し、より公正な賠償金が支払われる必要性を表明し、「最近出されたフェアチャイルド判決(昨年11月に組合が控訴した)は、逆転させなければならない。その理由は、この判決は、あたかも小説オリエント急行殺人事件と同じように、みんなが実行したのだから誰にも責任がない、というのはおかしいからです。」と述べた。