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自営業者に「法的保護は不可欠」

資料出所:The Royal Society for The Prevention of Accidents(ROSPA)発行
「OS&H」|2002年7月号 p.11
(訳 国際安全衛生センター)



 労働組合会議(TUC)は、欧州委員会(EC)の自営業者の安全衛生に向けた自主的アプローチは不十分であると主張する。というのも、ECの欧州理事会勧告案(拘束力のない提案)は、加盟各国に対し、立法措置については最低4年間の猶予を与えつつ、自営業者に被用者向けの保護を拡大するよう要請するにとどまるものだからである。

 具体的には、欧州理事会勧告案は、加盟各国に対し、以下の対策を要請する。
  • 職場の危害、災害の防止に関する各国の政策に沿って、自営業者の安全衛生の確保の権利と義務を、俸給被用者と対等の資格で承認する。
  • この権利と義務の承認を国内法規のなかに統合する。とくに、労働安全衛生法規の適用範囲に自営業者を含める条項を作成するとともに(あるいは)、自営業者向けの特別対策を採択する。
  • どのような措置をとったかを、4年以内にECに報告する。ECは、立法措置が必要かどうかを検討する。
 自営業者は、欧州連合(EU)の安全衛生指令の大半で、適用除外と明記されており、EU加盟国の大多数は、現在、自営業者向けの安全衛生法規を有さない。
 イギリスでは、自営業者には、ほとんどの安全衛生法規が適用されているが、安全代表権を有さず、国の労災補償給付も請求できない。労働者の多くは、税金や雇用保護を逃れるため、事業者から、いわゆる「自営業化」を強いられており、また、安全の権利を与えられているにもかかわらず、事業者または本人が理解していないため、これを行使していない場合が多い。
 TUCのジョン・モンク書記長は、「これは、確かに前進への一歩であり、安全衛生は皆のためにあるという点を強く打ち出している。しかし、十分なものではない。イギリスや欧州のその他の国々では、あまりにも多くの人々が、安全衛生の適用除外となっているが、これは、法律によるのではなく、事業者が似非自営業者になるように強いているからである。また、真の自営業者は、まだ意見表明の場から外されており、補償給付制度にあずかれない。われわれは、欧州委員会から、単なる言葉ではなく、法的枠組みを必要としている」と語った。
 EC案の全文は、http://europa.eu.int/eur-lex/en/com/pdf/2002/com2002_0166en01.pdfで閲覧可。