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アスベストによる美容師の死
Hairdresser asbestos death

資料出所:The RoSPA Occupational Safety and Health Journal
2005年3月号 p.8
(仮訳 国際安全衛生センター)



 59歳の美容師、ジャネット・ワトスンは、旧式のヘアドライヤーから排出された粉じんを長年吸い続けたためにアスベストが引き起こす癌を発病。結婚式の前日に死亡した。婚約者のニール・ホールズワースによれば、彼女は10年近くのあいだ、フード型ヘアドライヤーの内張りから出るアスベストの粉じんに1日に12時間以上ばく露されていたという。
 彼女は、1960年、15歳のときから美容師見習いとして働きだした、と婚約者は語る。「その後の9年間は、職場に着くやいなやヘアドライヤーのスイッチを入れ、一日の仕事が終わるまでつけっぱなし、といった環境で働いていたそうです。
 それどころか、寒い日には、部屋を温めるためにドライヤーをフルスピードで稼動させていた、と言っていました」
 「ジャネットの話では、室内に粉じんが漂うのを目にすることも珍しくなかったそうです。職場には6台ほどのヘアドライヤーがあったということですからね。冬になるとドライヤーは、週に6日間、1日12時間以上もつけっぱなしだったそうです」
 ワトスン夫人は1969年に、その美容院をやめて独立。その後も何年かは、同様の旧式ヘアドライヤーを使用していたが、1960年から1969年までの9年のあいだ、絶えずアスベストにばく露されていたことが、彼女に死をもたらした主な原因と考えられている。
 ブラッドフォードで行われた検死では、彼女の肺から通常の値を上回るアスベスト繊維が発見され、死因が中皮腫であったことが判明。ワトスン夫人の死は、業務上の疾病として記録された。
 全国美容師協会(National Association of Hairdressers)によれば、現在のヘアドライヤーにアスベストは使われておらず、第二次世界大戦の末期以降、ヨーロッパ製のヘアドライヤーはアスベストを使用していないという。その時期以後のヘアドライヤーでアスベストが使われていたのは、極東から輸入されたものと思われるが、そのようなドライヤーの輸入も英国では1960年代に禁止されている。