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請負業者のリスクアセスメント
資料出所:The RoSPA Occupational Safety & Health Journal
October 2005
(仮訳:国際安全衛生センター)
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掲載を続けているリスクアセスメントシリーズの一部として、ピーターエリスが、発注者の現場で作業する請負業者の労働者に対するリスクアセスメントを行うための標準的手順を説明する。安全衛生に対するリスク対策を説明しながら、請負等労働者に対する主要なハザードに焦点を当てる。
最も広い意味では、 請負業者とは、ある企業の従業員ではないが、その企業のために働くものと定義される。請負業者と発注者(クライアント)の双方が安全衛生法の下で責務を有している。1974年労働安全衛生法(HSWA)は、合理的に実行可能な範囲において、事業主に対しその従業員の安全衛生を確保する責務を課している。発注者は、HSWAの第3条により、自社のために働く請負業者の安全衛生について責任がある。自営の請負業者は、同じく労働安全衛生法に基づき、自分及び自分以外の者(自分の従業員ではない)が安全衛生上のリスクに曝されない方法で、請け負った業務を行う責任がある。
1999年労働安全衛生マネジメント規則(MHSWR)は、HSWAで規定されている責務を補足している。とくに、第3条はすべての事業主が危険な作業についてリスクアセスメントを行うよう要求している。HSWAの下に作られた多くの他の規則でも、契約という形態に関係するものがあり、同じくリスクアセスメントを要求している。
ハザードの特定:親企業の計画の欠陥
親企業が、現場の請負業者の仕事について適正な計画を立てていない場合、疾病や死傷災害につながる可能性がある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- 親企業は、請負業者が行う作業について、具体的なリスクアセスメントを実施すること。
- 親企業は請負業者に必要な専門的技術能力を定めること。請負業者の行う作業を計画するとき、引き続き従事している作業者及びその代表に相談して参加してもらうことが、多くの場合役立つ。
- 親企業は、その際、請負業者と連絡を取り、現場における安全ルールを説明して、関係する安全衛生情報はすべて共有すること。
- 親企業は、契約前の段階で、質問をすること、または関連する資料を入手することにより、請負業者の能力を評価すること。
- 例えばガス装置などの請負業者は、CORGI(訳注1)のような、関係専門団体のメンバーであること。
- 親企業は請負業者または自営の請負業者に作業方法を書いた文書の提出を求めること。
- 請負業者は、その現場を誰が管理しているのか、誰が作業を調整しているのか、及びその作業から生じるおそれのあるリスクは何かを把握すること。
- 請負業者は、発注者の構内で何をしなければならないか、何をしてはならないかを承知していること。
- 請負業者は、監督者は誰になるのか、どのような責任があるのかを承知しておくこと。また現場の担当者の氏名を知っておくこと。
- すべての請負業者は現場の入退場時に記名すること。
- 請負業者の作業により新たな安全衛生上のハザードが発生しないよう、社員と請負業者が協力すること。
- 親企業は、請負業者に作業開始を許可する前に、再度、業務の内容をチェックすること。
ハザードの特定:火災
火災はどのような場所でも発生する可能性があり、死傷災害につながることがある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- すべての引火性の物質と資材は安全に保管すること。
- 火災のリスクを低減するため、廃棄物置き場は、毎日空にすること。
- 親企業はすべての建物内を「禁煙」と定め、請負業者がこれに従うよう指示すること。
- 作業人数に見合った出口を確保すること。その場合、すべての時間帯の請負業者の数も考慮すること。
- 出口は安全な場所に通じていること。
- すべての出口は、その経路に障害物がないこと。
- すべての避難口が利用可能であること。
- すべての自動閉鎖ドアが機能すること。
- ドアは進行する方向に開くこと。
- 床と階段はよくメンテナンスされた状態にあること。
- 火災報知システムが機能していること。
- 十分な消火器が備えられていること。
- 火災対応手順は職場全域ではっきりと表示されていること。
- すべての消火器は年1回検査を行い、関係する英国 / ヨーロッパ基準に合致したものであるのを確認すること。
ハザードの特定:作業用の機器・機械・工具
作業用の機器・機械・工具はすべて死傷災害につながるハザードを有している。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- 親企業は、請負業者に提供する作業用機器がすべて「1998年作業用機器供給・使用規則・改正版」(Provision and Use of Work Eipmnet Regulations , PUWER)に適合するようにすること。
- 親企業は、請負業者が行う作業に対して適正な作業用機器を提供すること。
- 親企業は請負業者が持ち込む作業用の機器・機械・工具が、関係する安全衛生法令及びガイダンスに適合するものであるよう、よく連絡を取り合うこと。
- 作業が安全に行えるよう、作業用機器は適切な制御装置を有していなければならない。例えば制御装置は明示されかつ適切な位置に置かれること。
- すべての作業用機器・機械・工具は定期的な試験、メンテナンス、及び交換がなされたものであること。
ハザードの特定:危険有害物質
化学物質やアスベストといった様々な危険有害物質は急性・慢性の健康障害、死傷災害の原因となる場合がある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
ハザードの特定:負傷又は健康障害
現場で作業を行っているときには、負傷又は健康障害になりかねない様々な出来事が起こる可能性がある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- 親企業は現場近くで働く請負業者のために救急施設を用意すること。
- 救急処置要員は、HSEが承認したトレーニングコースで発行された修了証明書を所有していなければならない。
- 救急処置要員が現場にいない状況において、事業主は、負傷者又は罹病者が医師又は看護師の手当を必要とする場合の責任を指名することができる。「指名された者」は非常の救急処置(emergency first aid)以外の救急処置を行ってはならず、それもその手順について具体的に訓練を受けていた場合に限る。「指名された者」は基本的な非常救急処置コースを修めておくべきである。
- 「指名された者」をもって正規の救急処置者の代替とすることはできない。不在等の期間をカバーするだけに限定される。
- 正規の救急ボックスに加え、特別なハザード(化学物質等)のために必要な付帯設備・機器を救急ボックスの中あるいは近くに用意しておくこと。但し救急処置者がその使用方法について具体的に訓練を受けている場合に限る。
- 補足的に備えておくものとして、被災者を運搬するための器具、毛布、前掛け、その他適当な保護具、はさみなどがある。それらが必要と考えられる場合は救急ボックスの近くに保管すること。
- どのような救急用器具を用意するのが適切かは、どのような緊急事態が起こりそうだと特定されているかによる。そのための器具が用意された場合は、正しい操作法を訓練することが不可欠である。
- すべての傷害は「新形式」事故記録簿に記録し、本部に保管すること。救急ボックスの近くに置いておくのも良い。「新形式」事故記録簿はHSE Booksから入手可能である : ISBN 0 7176 2603 2 。
- 負傷した場合、事故記録簿に記載することが1979年社会保障規則(請求及び支払い) の要件であることを従業員と請負業者に知らせておかなければならない。
- 職場における災害を報告し、 記録し、また災害調査を行うことに対しては具体的な法的要求事項がある。以下に概略を説明する。
- 責任者は、「1995年災害、疾病及び危険事象報告規則(Reporting of Injuries , Diseases and Dangerous Occurrences Regulations RIDDOR)」に基づき、業務上発生した特定の事故について報告することが要求されている。
- 一般的に、この規則は報告対象事故を安全衛生監督当局に報告することを要求している。RIDDORによる報告は、次のルートの中のどれかひとつを用いて行う。
* 電話:0845 300 9923
* インターネット:www.riddor.gov.uk/reportanincident.html
* Eメール:riddor@natbrit.com
* 様式:報告様式に記入して、ファックスで 0845 600 9924 に送るか、事故窓口センター Incident Contact Centre , Caerphilly Business Park , Caerphilly , CF83 3GG に送付する。この事故窓口センターは、事故の内容を適切な安全衛生監督当局に転送する。
- RIDDORは、報告対象事故が以下の状況で発生した場合、請負業者にも適用される:
* 請負業者が親企業のために働いている場合、事故を安全衛生監督当局に報告するのは親企業の責任である。
* 自営の請負業者が親企業の職場で働いている場合、事故を報告するのは親企業の責任である。
*自営の請負業者が自身の工場内で契約業務を行っている場合、自分が、或いは一般人が被災した事故を報告するのは自営業者の責任である。
事業主は、RIDDORとそのダンスを入手してその要求事項を完全に理解し、遵守することが推奨される。
ハザードの特定:情報及び教育訓練の不足
安全な作業システムに関する情報や教育訓練の不足は、健康障害、死傷災害につながる場合がある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- 親企業は作業用設備の安全な使用方法、職場のレイアウト及び現場のルールに関する総合的な情報と指示を、文書で請負業者に提供すること。
- 親企業は、適切な教育訓練を行うことにより、情報と指示に関する上記文書を補完すること。
- 教育訓練には、設備の安全な使用方法及び設備に起因するリスクを回避する方法が含まれること。
- 管理者には、自分の管理下にある請負業者を適切に監督できるように、同じ情報、指示を与え、又同じ教育訓練を行うこと。
- すべての新規請負業者に対して、作業用機器 / 機械を使用させる前に、又は職場 / 構内に入ることを許可する前に、新入者教育を行うこと。
- 新しい作業用機器 / 機械が導入されたとき、又は作業の手順が変わったときには、すべての請負業者に対し再教育を行うこと。
- メーカーの説明書と操作マニュアルは、請負業者を含めたすべての業者のための効果的な教育訓練プログラムの一部となるはずである。
- 親企業は、請負業者に情報と教育訓練を理解させること。請負業者が内容を理解したことを示す正式文書にサインさせるようにすると良い。
- 企業に直接雇用されている作業者及び現場で働く請負業者は、火災時の安全に関するすべての事項について具体的な情報、指示及び教育訓練を受けること。請負業者は、火災発生時にどのように警報を動作させるか、ドア閉鎖の重要性、集合場所、特定の火災に対してどのような消火器を使うかを知っておくこと。
ハザードの特定:チェック及び監督の欠陥
請負業者に対するチェック及び監督の欠陥は、怒らずに住んだはずの健康障害や死傷災害につながる可能性がある。
誰が危害を受けるか?
推奨される対策
- 親企業は、請負業者が現場で作業しているときにどの程度の接触 / チェックをする必要があるのかを判断すること。
- 親企業の監督は仕事が計画どおり進んでいるかをチェックし、不確実性のある状況の場合は請負業者を指導すること。
- 監督者は、請負業者が安全に、かつ合意したとおりに働いていることをチェックすること。
- 監督者は何か事故がなかったか、人員に変化がなかったか、また何か特別な手配が必要ないかをチェックすること。
- 請負業者の仕事の進捗と品質をチェックするときに監督を行うこと。
- 定期的に現場に行きその際、請負業者との安全衛生問題について話し合うこと。
- 若年の者は十分な経験と判断力がない場合があるので、通常に対する以上の監督が必要である。
これ以上の情報
- 法的文書は政府刊行物発行所(TSO)から入手することができる(tel : 0870 600 5522)。
- 公認実施基準(Approved Code of Practice , ACoPs)及び関係ガイダンスは、HSE Booksから入手することができる(tel : 01787 881165)。無料syっパン物を含むその他の情報は、HSEウェブサイトから入手可能である:www.hse.gov.uk
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