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職場の内外ですこやかな呼吸を

資料出所:National Safety Council発行
「Today's Supervisor」 2001年4月号p.4-7
(訳 国際安全衛生センター)

仕事中、ファックスや締切や日々の用事に追われているため、おそらく呼吸している空気のことなど頭をよぎることはないであろう。しかし、空気は念頭に置くべきものである。

米国環境保護庁(EPA)の1999年度大気の質に関する最新答申によれば、平均的アメリカ人は毎日3400ガロンの空気を呼吸しており、そのすべてが清浄というわけではない。米国では昨年、1億5000万トンを超える大気汚染物質が大気中に放出された。屋内、屋外を問わず、汚染大気への暴露は病気、呼吸器の問題、心臓や肺の疾病や、さらには若年死の原因ともなりかねない。

オフィスであろうが、工業的環境であろうが、大気の質に対する会社の姿勢は労働者や周囲の地域社会の健康に著しい影響をおよぼすことになる。幸い会社が大気浄化ガイドラインを順守しているかどうか確認する簡単な方法がある。まず職場の外から見てみよう。

大気汚染防止法

1970年に国会は、主要な汚染物質を防ぐために国民の健康に基づく大気の質の基準をEPAが制定することを求める、大気汚染防止法の基本条項を可決した。大気汚染防止法は1977年に改正され、1990年に再び改正され新たな実施戦略を詳述した。その結果、国民はより清浄な大気と健康を手にした。

「大気汚染防止法のおかげで、私たちは毎日6,000件の若年死、2,000件の慢性疾患、600件の入院、300,000件の軽度の疾患、75,000の労働損失日数を回避しています」と、EPAの報道担当者であるクリスティン・サンセヴェロ(Christine Sansevero)は語り、大気汚染防止法を順守するメリットが事業経費をはるかに上回っていることを強調している。

どの会社も自社の地域の大気汚染を減らすための行動をとることができるが、すべての業務が大気汚染防止法の具体的項目に関連づけられる必要はない。自動車、トラック、飛行機、列車、バスなど、移動性の汚染源に加え、大気汚染防止法は工場、発電所、精錬所などの大規模な固定汚染源や、ドライクリーニング業者、ガソリンスタンド、小さな印刷会社などの小規模汚染源も対象にしており、これらはすべてある程度汚染物質を放出しているのである。

「大気汚染防止法が規制する事業の種類に関しては、対象範囲が非常に広いのです」と、天然資源庁バーモント事務所(Vermont Agency of Natural Resources)大気汚染管理部長のディック・ヴァレンティネッティ(Dick Valentinetti)は言う
。「最後には本当に小さい事業にも到達します。」

ヴァレンティネッティの説明によれば、大気汚染防止法は連邦レベルでスタートし、規則が詳述される。次いで、これらの規則を施行し、追加的な大気浄化に関する法律を定めるのは個々の州の役割である。大気許可証を申請し、設備が排出基準に準じていることを確認するのは、事業規模に応じて監督者または会社経営者の責任である。

環境と経済は両立可能

固定汚染源の領域では、ニュージャージー州ニューアークを本拠地とするPSEG社 Powerが大気汚染防止法対応の成功例である。大量の排出物を発生させる多くの事業と同様、PSEG社 Powerの発電所は大気汚染防止法の基準に合わせるためには思い切った変革が必要であった。

「10〜15年前であれば、窒素酸化物排出量の約20%が私たちの責任でした。私たち自身の環境対応能力が向上しなければ、州が(大気汚染防止法に)適合する望みはありませんでした」と、PSEG社 Powerの対外業務責任者であるニール・ブラウンは言う。「90年代初頭を振り返って私たちの事業の排出量を初めて確認し、2000年までに自発的に80%削減を達成することにしたのです。」

顧客の料金に影響しないように総額10億ドルの投資で、PSEG社は排出管理策を追加導入し、天然ガスの使用を増やし、社用車の燃料排出を調節することにより、これだけの排出量削減を達成した。

大気汚染防止法への適合という課題に直面している他の大企業に対するブラウンのアドバイスは次のとおりである。意見の調整から始め、大勢を把握すること。「大気汚染防止法および全般的な環境の質の目標と、健全かつ強固な経済は両立します」と同氏は言う。「環境が汚染され、生活状況に影響を及ぼすようであれば、経済にも影響が及ぶのです。前に進む最良の方法は、政府と環境政策立案者と産業界が協力することです。」

(エリーン・フィグ)

この記事の出典[英語]は国際安全衛生センターの図書室でご覧いただけます。