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事業場の危険有害要因から足を保護する
(ヴィッキー・ガーソン)

資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」2001年3月号p.12-13
(訳 国際安全衛生センター)


労働者を適切に保護しようとするならば、多くの事業場環境で個人用保護具(personal protective equipment : PPE)が必要不可欠である。必ずしも受けるべき注意が払われていないPPEの一領域は適切な履物で、これらは特定の危険有害要因から労働者を守るものである。日常的に資材を扱う労働者、組み立てラインの工場労働者、大工、電気作業員などは足を保護する必要がある。

OSHA規則

「我々は全般に、労働者が負傷しないよう、頭部、目、足に対して個人用保護具を着用するよう求めています」と、OSHAの安全性基準プログラム理事会の広報担当者は述べている。

OSHAの一般産業基準29 CFR 1910.132Aは個人用保護具の必要性を述べているが、同132Dは事業者に事業場のハザード・アセスメントの規定を求めている。事業者は個人の保護のため、事業場のどのような仕事やどのような状況が意味をなすか調べなければならない。基準29 CFR 1910.136は特に足の保護を扱っており、労働者が足への傷害の可能性がある区域で作業するときには適当な靴を着用するよう求めている。

安全靴等の履物はすべて、米国規格協会(ANSI)の基準Z41-1991に準じていなければならない。OSHAは、事業場で着用する靴の設計および試験条件を決定するANSIと密接に連係している。履物は、衝撃および圧迫に耐性、中足保護、穴があかない、電気的危険、静電気散逸、および導電性の6つに分類される。

靴はどのように労働者を守るか

鋼または非金属のつま先カバーがついた履物を着用して、落下物または回転物による足指挫傷から労働者を保護する。例えば、倉庫で資材を扱う者は傷害を防止するためにこの種の履物を着用することが求められるであろう。

労働者が重いものを足の上に落とした時に負傷するのを防止するために、内側または外側にガードの着いた中足靴が設計されている。重い部品を製造している所では、事業者がこのような靴の着用を求めてはいるが、これらには難点がある。「不必要な足の保護を要求する事業者もいます」と、アイオワ州ダベンポートにある保険会社Trissel Graham & Toole, Inc.の安全専門家ダレン・スマイリーは言う。

「例えば、中足ガードは非常に硬いため、実際には傷害の起因物ともなります。仕事で頻繁にしゃがんだり、かがむ必要があるような場合、中足ガードによって足の上部が負傷することもあります。中足ガードはまた、乗り物のペダルにはさまれることもあるのです。中足ガードは、1日中立ち仕事をしているか、または作業現場を歩き回っている人に用いるのがベストです。」

穴があかない履物は建築現場に最も適しており、釘、ガラス、鋭利な金属が靴底を貫通するのを防ぐ。しかし、建築現場において、労働者が適切でない保護具を着用しているのをスマイリーはしばしば目にしている。靴底の土踏まずの部分とつま先が鋼でできているほとんどの靴は、これらの建築現場での傷害を防止することができる。

ANSIはまた、電気的危険有害要因を防止し、感電を低減するために、適当な履物を着用すべきであると指摘している。正しい履物は、乾燥状態で600ボルト以下の開放回路がある状況の労働者を保護することができる。一方、ANSIは可燃性または爆発性物質を扱う労働者は、静電気を減らす静電気散逸製の履物を着用すべきであるとの勧告も出している。

導電性の履物は「特定業務用靴」として推奨される。これらの靴は、静電気を最小限に抑え、揮発性化学物質または火薬などの爆発物が発火する可能性を低下させるために設計されている。

滑り止め靴

現在のところ、滑りにくい履物を特に対象とした連邦政府規則は存在しない。それでも、屋内の床には油や水がこぼれていることもあるため、災害が発生する。2000年11月に、米労働省の労働統計局は1998年の致命傷ではない負傷の労働災害発生件数を示す情報を発表した。統計によれば、民間産業におけるすべり・つまずきの件数は55,363件であった。

すべり・つまずき事故に対して屋内作業環境を考慮するのに加えて、法の執行官は事故を防止するため、常に滑り止め靴を着用すべきであるとスマイリーは指摘している。仕事上、雨、みぞれ、雪の中で素早く動き回る、または走ることもある者は、地表をしっかりとらえる靴を着用する必要がある。

誰が適切な履物の使用を強化するのか?

「ある事業者がハザード・アセスメントを行い、労働者を雇い入れたときに特定の履物を着用しなければならないと言ったとしても、多くの事業者は労働者が適当な履物を使用せずに仕事に従事するのを止めることはありません」と、ミズーリ州セントルイスにあるThe Earthgrains Companyの環境および安全担当責任者、スキップ・スチーブンソンは言う。「監督者は、すべての労働者に毎日靴底をチェックするために足を上げてみろとは言いません。」

スチーブンソンは、事業者が実施できる最も重要なステップは、適切な履物を選択するために正しいハザード・アセスメントを行うことであると指摘している。彼の意見では、あまりおこりそうにもない危険有害要因を解決するするために不必要なPPEを要求する事業場があまりに多すぎるのである。