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エイズと闘い続けた20年

米国では45万人が死亡、100万人あまりが感染

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2001年9月号 p.3)
(訳 国際安全衛生センター)


エイズはこれまで米国において甚大な被害を出してきた。1981年に最初の症例が確認されて以降、77万4,467人のエイズ感染者が報告され、約45万の米国人が亡くなった。

疾病対策予防センター(CDC)のジェフリー・P・コプラン所長(医学博士、公衆衛生学修士)は次のように語る。「エイズの悲惨な影響は今もなお続いています。すでに亡くなった人やHIVに感染した人のみならず、この疫病によって人生が永久に変えられてしまった多くの友人や家族をはじめ社会全体にも、多大な影響を与えています。」

現在、米国内のHIV感染者は50万人から60万人と推定され、さらに32万人がエイズを発症している。新たな感染は1980年代半ばに年間15万人を超えたのをピークに減少に転じ、1990年代初頭には年間4万人にまで低下したものと見られる。通算では100万人を優に超える米国人がこの疫病に感染した計算である。

「この20年目の節目にあたり、エイズで命を落とした人々の冥福を祈るために私たちにできる精一杯のことは、この病気の拡散を食い止めることです。」とカプラン所長は続けた。「亡くなった人々を思い起こすとき、私たちは国内、地域、個人のレベルでエイズを防止するという決意を新たにしなければなりません。これを怠れば、再びエイズが猛威を振るう危険が高まるでしょう。また、HIVやエイズとの闘いに生涯を捧げた大勢の人々に、国家として感謝の気持ちを表さなければなりません。性行為・薬物関連の感染の抑制、血液製剤の安全性の確保、母子感染の抑制、医療従事者の保護を目指して公的な保健衛生対策がこれまでに実施されてきました。これらの対策が功を奏し、多くの命が救われました。しかしさらにもっと多くの対策を実施することが可能ですし、またその必要があります。」

CDCは最近の報道発表において、米国内の年間HIV感染者数を5年以内に半減させることを目標とした新たなHIV予防戦略計画の概要を示した。この計画は、次の3本の柱から構成される。HIVに感染している事実を本人に認識させるための活動の強化、HIV感染者を対象とした新しい拡散予防プログラム並びに治療・ケアとの連携強化、感染リスクの高い人々を重点対象とした予防プログラムである。この計画はCDCが現在扱っているアプローチを拡大したものであり、HIV抗体反応が陽性でありながらその事実を知らずにいる30万人近い米国人と接触をとることによる予防強化、並びに80-90万人といわれる陽性者全員に対する予防・ケアサービスの普及を図っている。

CDCの新しいHIV予防戦略は、同センターがこれまで米国のエイズ対策において果たしてきた中心的な役割をさらに強化するものである。CDCのサーベイランス計画は、1981年に最初の症例が報告されて以来、この伝染病の推移を追跡してきた。