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聴力損失とOSHA300記録:記録は必要か不要か?
Hearing Loss and the OSHA 300 Log
To Record or Not to Record?
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2003年12月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 2004年1月からOSHAの様式300に聴力損失を記録するための欄が新しく加わる。OSHAによると、同年同月以降、監督者は以下に該当する場合に職業性聴力損失を記録する必要があるという。

従業員に標準閾値の移動がみられる時。具体的には、従業員の年間聴力テスト(又は年間聴力図)において、いずれか一方の耳で2,000HZ(ヘルツ)、3,000HZ、または4,000HZにおける基本聴力図を越えた部分の移動平均が10dB(デシベル)以上になっている場合(基本聴力図は、騒音にさらされる従業員を対象に企業が最初に作成する聴力図)。
従業員の総合的な聴力損失レベルが、標準閾値移動が認められる側の耳において、聴力計の損失値ゼロ値から25dB以上(2,000HZ、3,000HZ、及び4,000HZの平均で)になっている(聴力計のゼロ値は、聴力図上の損失値"0")場合。

 OSHAでは、記録する必要があるのは同年度に上の2つの基準が満たされた場合だけである、として注意を促している。換言すれば、異なる年度の結果を組み合わせることはできないということである。しかし、上の基準を満たすかどうかの計算はいささかややこしい。次の図は、従業員の聴力図を渡された場合に実際にどうすればよいかを具体例を用いて説明したものである。
 この例では基準は満たされている。すなわち、標準閾値の移動がみられ、従業員の聴力損失レベルは25dBを超えている。標準閾値移動が認められても、総合的な聴力損失レベルが25dBを超えていない場合、またはその逆の場合(総合的な聴力損失レベルが25dBを越えていても、標準閾値移動が認められない場合)には、OSHA300記録に聴力損失を記録する必要はない。
 詳細については、www.osha.govで「recordkeeping(記録保持)」のところを参照のこと。

標準閾値移動
周波数(Hz) 基本聴力図 年間聴力図 変動
2,000   0 10 +10
3,000   5 20 +15
4,000 10 35 +25

 平均を求めるには、2,000HZ、3,000HZ、および4,000HZでの結果をすべて加えて3で割る。この例では、移動は16.7dBになる((10+15+25)/3)。これは10dBよりも多く、したがって標準閾値移動が認められることになる。

聴力閾値レベル
周波数(Hz) 年間聴力図
2,000   25
3,000  35
4,000 50

 平均を求めるには、2,000HZ、3,000HZ、および4,000HZでの結果をすべて加えて3で割る。この例では、答えは36.7dBになる((25+35+50)/3)。これは聴力計のゼロ値から25dBという値を超えている。