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公益事業労働者に影響のある労働時間規則
Hours-of-Service Rules Impact Utility Workers

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2003年7月号 p.2-3)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 連邦自動車運輸安全局(Federal Motor Carrier Safety Administration : FMCSA)の新しい規則が2003年1月4日に発効すると、トラック運送業界だけでなく、それ以外の業界のドライバーも影響を受けることになる。公益事業の分野では、新規則が公共サービスの労働者にも影響を与え、これが公共の安全に対する危険をもたらす可能性があると指摘されている。
 ワシントン市エジソン電気研究所のリック・テンプチン小売流通政策局長は、何よりも問題なのは、公共サービスの労働者が、新規則で許可されている14時間の当番時間が過ぎると、緊急呼出に対応できなくなることだという。旧規則の下では、労働者は昼食をとるために時間を空けたり、交替勤務や非番時間を分割することで、通常の交替勤務後でも呼び出しに応じることができた。しかし新規則の下では、時計の針は一刻も止まらないことになる。「たとえば朝7時に勤務に入り、通常の8時間の交替勤務をして家に帰ったときに呼び出しがかかったとします。この場合、午後9時を過ぎると、もう車両を運転することはできないのです。これでは、昼間勤務の乗務員が夜は緊急活動に従事できないのと同じです」
 ほとんどの公益事業では、夜間の乗務員は必要最低限しか確保されていない。時間外に緊急事態が発生すると、昼間の交替勤務労働者を呼び出して、不足する要員の埋め合わせをするのである。しかし新規則の下ではこのようなやりくりができなくなる可能性がある、とテンプチン局長は言う。
 「典型的な状況として、911のオペレーターが通信指令係に電話して『変圧器で火災が発生した。そちらの隊員が到着するのはいつになるか』と伝えた場合を考えてください。新しい規則の下では、[運輸省規定の]勤務時間に余裕のある隊員を見つけるのが困難になるので、到着までの時間が余計にかかるようになります」、とテンプチン局長。
 同局長によれば、その結果、「緊急呼出に対する応答は鈍くなり、機能不全状態は長引き、サービスの復旧にはより時間がかかることになる」という。
 テンプチン局長によると、公益サービス産業は、新規則を十分に守りつつ任務を遂行するにはどうすればよいか、まだはっきりと答えを見い出せないでいるという。これまでのところ対処方法として挙がっているのは、契約従業員を雇う、交替勤務労働者の数を増やす、ドライバーを雇う、又はこれら3つの手段をすべて組み合わせる、である。
 しかしこれらの手段のどれも「満足のいくものではない」、なぜならこの分野ではすでに労働力不足が問題になっているからだ、とテンプチン局長は言う。
 議員らは、TEA-21として知られる幹線道路再授権法案(The highway reauthorization bill)に、労働時間規則の適用対象から公益サービス労働者を除外する条文を盛り込もうとしている。しかしテンプチン局長によれば、議会でこの試みが成功したとしても、おそらく法律が成立する前に運輸省の規則は発効してしまうだろうという。