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見直される許容暴露限界(PEL)
PELs Get a Fresh Look

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2003年6月号 p.2-3)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 500種を超える作業場の化学物質の許容暴露限界(PEL:permissible exposure limits)は、30年以上にわたって未更新のままである。この間、該当する化学物質と人体への影響に関する知識は進歩をとげている。
 これらの暴露限界基準(PEL standard)は、米国産業衛生協会(AIHA:American Industrial Hygiene Association)が旗振り役を務めるある取り組みによって見直しが行われている。古い暴露基準の改訂を目的として2002年に設けられたワーキンググループは、現在勢いを得つつある。このワーキンググループは、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産業別労働組合会議)、UAW(United Auto Workers:全米自動車労組)、オーガニゼーション・リソーシズ・カウンセラーズ、ACC(American Chemistry Council:米国化学工業会)、全米製造者協会(National Association of Manufacturers)、米国商工会議所、米国鉄鋼協会(American Iron and Steel Institute)、および全米独立企業連盟(National Federation of Independent Business)の代表者から構成されている。
 ワーキンググループの取り組みは議会の関心を集めている。「チャールズ・ノーウッド下院議員(共和党、ジョージア州)が何らかの立法措置を講じようとしているということをワーキンググループが聞き付けてから、作業に対する熱意は一気に高まりました」。バージニア州フェアファックスにある米国産業衛生協会のゲイラ・マクラスキー会長は言う。「ワーキンググループはいわば舞台裏で静かに作業をしていたのですが、目的の実現に対する関心が突如湧いて、以来事態は急速に展開し始めたというわけです」
 最初に規則が定められてから未更新の化学物質は400種類を超えている。NSCのロン・ミラー労働安全衛生研修コンサルティング部長は言う。「化学物質のTLV(Threshold Limit Values)は明らかに大きく変わっています。1971年に最初の基準を公表した際、OSHAは米国産業衛生専門家会議(ACGIH:American Conference of Governmental Industrial Hygienists)が出した1969年の数値を使用しました。これが現在もそのまま残っているのです。つまり連邦法は、科学的にはより正確とされているものに追随しておらず、時代遅れのものになっているのです」
 376種の許容暴露限界を変更ないし採用しようとした1989年の試みは判事によって退けられ、1971年の基準は現在も残っている。マクラスキー会長は言う。「OSHAでも重大な危険や実現可能性の根拠を示す努力をほとんどしなかった点は認めるのではないでしょうか。それが1989年の試みが却下された理由だと思います」
 1月28日に開かれたワーキンググループの会合では、中小企業を代表する多くのメンバーから同種の懸念が表明され、種類を大幅に減らして---今後4年間で30種類の許容暴露限界---見直しを実現すべきだとする新しい提案が出された。ワーキンググループのメンバーの一人、AFL-CIOのペグ・セミナリオ労働安全衛生部長は、記者たちにこの提案の第一印象を語り、提案はルール作りをスピードアップするというワーキンググループの目標の「基本原則を満たさない」と述べた。米国商工会議所のランディ・ジョンソン労働政策担当副部長をはじめ、ほかのメンバーの中には、まず30種類以下の許容暴露限界をテストケースとして利用し、成り行きを見たいとする意見もある。ジョンソン副部長は、テストケースがうまくいけば新しい法案もおそらく通り、そうなれば労働安全衛生法にとらわれない新しいプロセスを作ることができると考えている。