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電気に関する俗説のウソ
Myths and Misconceptions About Electricity
Knowing the facts could save lives

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2003年5月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)


電気に関する俗説を盲信すると思わぬ大けがをすることがあるので、監督者は従業員に正しい知識の徹底に努める必要がある。よく耳にする俗説には次のようなものがある。

俗説:電気は最も抵抗の小さいところを流れる。
 電流は、抵抗の大小にかかわらず、あらゆる導電経路を通って電源に戻ろうとする。抵抗の大きい導電経路に流れる電流は少量であるが、少量でも感電死することがある。

俗説:電気はアースに流れようとする。
 実際はアースも電気回路の一つにすぎず、行き場のない電流がアースを利用して接地された電源に戻ろうとするだけである。

俗説:電気器具や電動工具を水の入ったたらいやシンクに落とすと、ショートしてブレーカーが落ちる。
 電気を通さないたらいやシンクは、アースにつながる回路の一部にはならない。この場合、落とした器具を取り出そうと水の中に手を入れてはいけない。水は器具から流れ出た電気の通り道になるからである。接地された物体に体の一部が触れている状態で水中に手を入れると大けがをすることがあり、場合によっては感電死する。

俗説:交流の極性をまちがえても危険ではない。
 米国電気規則(National Electrical Code : NEC)は、指定された極性のとおりに電動工具、差し込みプラグ、コンセントを接続することを義務付けている。多くの工具は、2つある導線の一方だけにスイッチが付いている。通常は、工具に電気を供給する側の生きた導線上にスイッチがある。極性が逆になるようにコンセントにプラグを差し込んだ状態で工具を水の中に落としたりすると、内部の配線すべてに電気が通ることになる。正しい極性で使用した場合と比べて、水中に沈んだ工具の通電部分の面積が増えるので、漏電によって流れる電流は増え、大けがをしたり感電死したりする危険もそれだけ高くなる。こうした感電の危険性を減らすには、工具とコンセントを正しい極性で使う必要がある。

俗説:電圧が高くなければ死ぬことはない。交流120ボルトは危険ではない。
 人を感電死させる張本人は"電流"である。電圧は、どれだけの電流が流れるかを左右する。人間は5ミリアンペアの電流を感じることができ、100ミリアンペアでは死ぬこともある。条件がそろうと、交流60ボルト程度の低い電圧でも感電死することがある。どんな電圧でも感電死する可能性があることに注意する必要がある。

俗説:二重に絶縁された電動工具は二重に安全である。
 二重に絶縁された電動工具でも水の中に落すと危険なことがある。メーカーの取扱説明書をよく読むことはもちろんだが、たとえ安全をうたった器具であっても、その安全性を過信しないことが大切である。
 それ自体ではけがにならないわずかな電気ショックでも、体が反射的に動いた結果、けがをすることがある。たとえば、電流が流れている電線に触れたことでバランスをくずし、はしごから落ちることもある。電気器具の部品はどれも気を付けて扱わないとけがの元だということを、従業員に理解してもらう必要がある。
 設計、レイアウト、設置、そして予防メンテナンスの計画をきちんと立てておくと、通電中の、つまり"生きている"電導体に触れるというようなリスクを最小にすることができる。こうした計画に加え、効果的な電気安全の方針、従業員教育、危険に対する意識向上プログラムを実施すれば、感電事故をさらに減らすことができる。なお、電気まわりの検査計画を立てて定期的に検査を実施することが望ましい。