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職場の暴力:徴候を見逃すな
Workplace Violence: Recognize the Signs
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2003年9月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 サンディエゴにある暴力防止インターナショナル(Violence Prevention International)のJames Madero(ジェームズ・マデロ)会長によれば、毎年職場では200万件の肉体的暴力行為が発生しており、600万人の労働者がおどしを、1,600万人がいやがらせを受けているという。
 「これが職場の暴力の大半を占めています。つまり労働者が職場で直面する可能性があるということです」、とマデロ会長は言う。
 では監督者はどうすれば職場を可能な限り安全で生産的なものにすることができるのだろうか。マデロ会長は、職場の暴力を防ぐための5つのヒントを示している。

1. 他人に対する思いやりを持つ。マデロ会長によれば、故意か無意識かはともかく、自分が言ったりしたりしたことのために、他人から非常にネガティブな反応が返ってくる場合があるという。このような状態は、結果として暴力に結び付くような状況を生み出したり、現状を悪化させたりする。

2. 一見些細と思われるような問題にも気を付ける。労働者が次のような行動を示すと、職場が殺伐としたものになりやすい。
激昂。
奇矯な行動。
暴力や争いごとに対する尋常でない関心。
武器について必要以上に話題にしたり、同僚に武器を見せたりする。
激しい調子で脅す。
他人を罵る。
復讐を口にしたり仕返しをしたりする。

3. おどしの重大さを見極める。マデロ会長はおどしを次の3種類に分けている。
直接のおどし。たとえば「殴り倒してやる!」など。マデロ会長は、こうした言動を軽く見てはいけないと警告する。このような言動はすぐに報告する必要がある。
条件付きのおどし。たとえば「もし自分が昇進できなかったら監督を殺してやる!」など。このような言動もただちに報告する必要がある。
間接的/あいまいなおどし。たとえば「会社はこれまで自分に何をしてきたか!きっと後悔するぞ!」など。一般にこのタイプのおどしに対しては、詳しく話を聞いておどしの程度と重大性を見極める必要がある。マデロ会長によると、このようなおどしをする労働者には、「どういうことですか?」と問いかけるとよいという。答えの内容によって、どう対処すればよいかも決まる。

4. 争いごとに巻き込まれたときは公平な立場を堅持する。争いごとを解決しようとする場合は、怒りに怒りで応えないようにする。「相手にあなたは間違っていると言ってはいけません。ただ話を聴くだけにします。勝ち負けを決めるのではなく、今の状態から安全に抜け出して、険悪な状況を静めることが大切です」、マデロ会長は言う。
 会長によれば、話すスピードを落として穏やかな声で語ると、相手を落ち着かせるのに効果があるという。また、指さしなどの身ぶりも禁物である。立っている場合は、相手との間に5〜6フィートの距離を保つようにする。

5. 暴力の問題に前向きに取り組む。マデロ会長は、職場の暴力を防止するプログラムがすでに組織にある場合には、次のことをするとよいという。
職場の暴力を防止するための研修を毎年実施する。
問題発生時の連絡先の電話番号を常に携行する。何を報告すべきか、誰に報告すべきかを知っておくことが大切であり、とりわけ緊急時にはこれが重要である。
 組織にプログラムが存在しない場合には、次のことを行う必要がある。
暴力防止を専門とするコンサルタント、組織、ホットラインなど、外部の協力先の存在について知っておく。
組織の人事およびセキュリティ関連の部署との間で職場の暴力防止へ向けて協力体制を築くことを提案する。
組織の経営トップに対し、職場での暴力を防止するプログラムの導入を勧める。