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従業員の職場復帰の手助け
「プラチナルール」を忘れない
Helping an employee return to work
Remember the 'Platinum Rule'

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年8月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 傷病休暇で長期間仕事から遠ざかっていた従業員の職場復帰には困難が伴うことがある。監督者としては従業員が移行しやすいよう手助けをすることができる。ボストンに本拠をおく www.webility.md のジェニファー・クリスチャン(Jennifer Christian)社長兼最高医療責任者(chief medical officer)は、傷病を負った従業員に接するときは「プラチナルール」に従うよう監督者にアドバイスしている。プラチナルールに従うとは、傷病を負った従業員に対し、その従業員がして欲しいように扱うことである。従業員を気づかうとともに、言葉より行動のほうが雄弁であることを忘れないようにする必要がある。
 クリスチャン社長らによると、休職が12週間以上にわたる従業員の場合、忙しい業務スケジュールに復帰できない確率は50%だという。監督者が傷病に対してどう対応するかは、長期間にわたって従業員に影響し、場合によっては、いつ職場復帰すべきか、あるいはそもそも職場復帰すべきかどうかの判断において決め手になることがある。換言すれば、監督者は休暇中および職場復帰時に従業員に対してできるだけ親身になって接する必要がある。
 医師が従業員の職場復帰が可能かどうかを判断するには、監督者から提供されるいくつかの重要な情報が必要である。具体的には次のようなことである。
  • 当該従業員の仕事の内容と労働条件。
  • 仕事の具体的な肉体的・精神的要件。
  • 監督者は、医師の課した制限の範囲内で当該従業員に経過的な職務を用意することに前向きかどうか。
  • 監督者は、医師の課した作業制限を当該従業員が確実に守れるようにするかどうか。
 監督者が提供する情報が多ければ多いほど、医師は患者を職場へ向けて送り出しやすくなる。
 従業員の職場復帰後は、いくつか踏むべき重要なステップがある。
  • 作業能力に関する医師の指示をよく確認する。監督者と従業員の双方が指示の意味をしっかり理解する。
  • 職場復帰に関して用意されている種々の選択肢を確認する。
  • 次のステップをきちんと従業員に理解させる。
 この時期、監督者は回復のための雰囲気作りに努める。監督者がプラチナルールを忘れなければ、従業員は活動的な業務に速やかに復帰するために、より前向きに会社の方針に従って仕事に取り組もうとするはずである。
 経過的な職務は、従業員の職場復帰を支援するために利用できる最も重要な管理手段である。医師の命令を守りつつ職場に戻ることを可能にするからである。最初は、従業員が対処できる最低限のところから始め、通常業務に戻れるまで、徐々に仕事を増やしていくようにする。
 クリスチャン社長によれば、従業員を職場に復帰させる際に監督者が犯しやすい過ちがいくつかあるという。具体的には、次のようなことを避ける必要がある。
  • 誰かほかの人間が面倒をみるはずと仮定すること。従業員のためにできることについては、書類の記入であれ、人事部との折衝であれ、保険にまつわる各種処理であれ、監督者が可能な限り速やかに対処する必要がある。肉体的負担になることを従業員に押し付けないようにする。
  • 皮肉、鈍感、または冷淡な態度で接すること。プラチナルールを忘れないようにする。
  • 100%回復する前に職務に戻すこと。従業員のより速やかな回復を可能にする経過的な職務は重要である。
  • 軽い仕事をいつまでも続けさせること。従業員の回復にあわせて仕事を増やすようにする。