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適切なマスクを選ぶ
Select the right respirator
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年12月号
p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)
汚染物質の気中濃度を安全な水準に引き下げるために種々の工学的な対策を利用することができない場合には、呼吸用保護具が必要である。技術的に実現不可能であるという理由で工学的な管理を利用できない場合もあるし、危険な作業が頻繁に行われるものではないために工学的な管理が現実的ではないこともある。一方、工学的な対策が行われている場合でも、呼吸用保護具は必要である。NSCでは、マスク選択のポイントを次のようにまとめている。
1 有害物質を特定し、ハザードの程度を評価する。ハザード評価の実施は、ハザードの程度を知るうえで役立つだけでなく、特定のハザードに対して保護効果の最も高いマスクを選択するのにも役立つ。呼吸用保護具を発注する前に、特定したばく露の種類について、会社の安全担当部署または産業衛生担当部署、さらにメーカーおよびディーラーとも相談する。
防護係数(protection factor)は、マスクの総合的な効果を表す尺度である。防護係数は各種の試験と専門家の判断に基づいて決められており、値の範囲は5〜10,000である。マスクの使用濃度上限(maximum
use concentration)は、保護対象の物質のTLV(Threshold Limit Value)に防護係数を掛けて求める。たとえば防護係数が10の酢酸用マスクは、TLVの10倍の濃度まで労働者を保護する。酢酸のTLVは10ppmなので、酢酸の気中濃度が100ppmまでは労働者が保護されることになる。
2 労働者が医学的にマスク着用に適した状態であることを確認する。労働者の心肺機能がマスク着用に適しているかどうかを確認するには、スパイロメトリーを含む定期健康診断を実施する必要がある。マスクのような装具は、労働者に肉体的負担を与える可能性があるからである。
3. マスクが適切にフィットすることを確認する。マスクを労働者にフィットさせるために、さまざまな種類およびサイズのマスクを試し、フィットチェックとフィットテストを行って、当該労働者にとって適切なマスクであることを確認することである。この作業には1〜2時間かかる場合もある。また、教育訓練も必要である。なぜ呼吸用保護具を着用するのか、呼吸用保護具はどんな働きをするのか、さらに一般的に、当該作業に向いた適切なマスクを労働者が着用する必要があるのはなぜか、ということを説明することが大切である。そして、こうしたプロセスのすべてに関係労働者全員を関与させることで、労働者側の遵守を促す。
マスクとして利用できるのは、NIOSHおよび鉱山安全衛生庁(the Mine Safety and Health Administration: MSHA)が承認したものだけである。NIOSHまたはMSHA承認のマスクには、TCという文字で始まる承認番号が付与されており、これが、記載された濃度範囲の空気汚染物質を対象として当該マスクがNIOSHおよびMSHAによってテストされ、認可されたものであることを示す。
NIOSHおよびMSHAによる承認は、当該装置の設計、仕上がり、および耐久性が最低基準を満たしていることを確実にするためのものである。マスクのテストは技術者らが行って、労働者の安全性、運動の自由度、面体およびヘッドピースの視界、フィット、快適性;フィルターおよびその他の部品の交換の容易性;粉じんに対する密封度;漏れのないこと;着用者の呼吸時における空気の流れに対する抵抗性;を調べている。
マスクを清潔に保って機能を維持する
マスクの面体としめひもは、定期的に清掃、検査する必要がある。1つのマスクを複数の労働者が使わなければならない場合には、OSHAの規則を遵守するために、各人の使用後に必ずマスクを消毒する必要がある。消毒および清掃のやり方については、マスクのメーカーに尋ねること。
また、マスクの検査を定期的に行って、損傷がないかどうか、ヘッドバンドや弁の密封部などの部品に不良がないかどうか調べる必要がある。 |
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