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OSHAが調査にやって来るとき
特定事業場を対象とした監督は予告なしで総合的

When OSHA comes calling
Site-specific targeting inspections are unaccounced and comprehensive

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年1月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 監督者ができれば受け取りたくないもの、それは「貴事業場におけるLWDII率の高さを憂慮」と書かれたOSHAの書状であろう。
 LWDIIとはLost Workdays Injury and Illnessの略で、OSHA200および300の職場記録の年次データから算出する。事業場のLWDIIが一定の値を超えると、OSHAの特定事業場監督(SST:Site-specific targeting inspections)プログラムの対象となる。
 特定事業場監督の対象になるということは、正面玄関に大きな目印が付けられるようなものである。OSHAではさる6月、2004年度には約3,200の「危険度の高い」事業場が特定事業場監督の対象になるとの見通しを示していた。これらの事業場の大半は製造業に属している。
 さまざまな事業場を対象として行われる特定事業場監督だが、共通点が2つある。それは予告がないということ、総合的だということである。OSHA法規施行プログラム局(Directorate of Enforcement Programs)のリチャード・E.フェアファックス局長によると、プログラムに従って事業場に立ち入るOSHA監督官は徹底的な調査を行うという。
 「監督官は基本的には、工程の始めから終わりまですべてを調査します。従業員にも話しかけます。実際の仕事のようすも見ます。傷病の発生が記録された区域では、いっそう注意を払います。そして安全衛生上の危険を文書化します」、とフェアファックス局長。
 1990年から1994年まで労働安全衛生再調査委員会(OSHRC:Occupational Safety and Health Review Commission)の委員長を務めたエドウィン・G.フォークJr.は、特定事業場監督の対象になった場合、企業はすみやかに行動を起こす必要があるという。委員会でのフォークの役割は、OSHAから是正勧告を受けた事業者の不服申し立てについて裁決を下すことであった。
 フォークによれば、事業者はまず第一に、OSHAのリストに載ったら監督の対象になりうるということを理解する必要があるという。
 「依頼人の事業者に対しては、リストから外れるようにするには会社としていくつかのことをする必要がある、とアドバイスしています。リストに載った企業は、問題を抱えているのはどこか、なぜ自社の数字がこれほどまでに高いのかを、よく考えてみる必要があります」、とフォーク。
 記録保持の面では、事業者が十分注意して傷病データの計算を正確に行う必要があるという。
 「言うまでもありませんが、計算を正確に行わないと、報告の内容が過剰になったり過少になったりします。かつて過剰報告をしていた例をみたことがありますが、この企業の数字は実際より高いものになっていました」、とフォーク。
 特定事業場監督は、危険度の最も高い職場の安全を維持するための必要手段である、とフォークはいう。ただし、改善へ向けて取り組みつつも、従事している産業の性質上、どうしても毎年リストに載ってしまう事業者もあり、こうした事業者についてはOSHAはその努力をもっと認めてやってもよいのではないか、と指摘する。
 フォークは言う。「一般に、リストにはいつも同じ顔ぶれが並んでいます。どんなに努力しようと、そもそも危険が多いために記録の対象となる傷害が多数起きてしまう産業の事業場が、監督の対象になるのです。したがって、そうした事業場に繰り返し出向いて監督を行えば、その一方で、監督対象にならない事業場も多数存在することになります」


注)OSHAの2003年特定事業場監督(Site-Specific Targeting 2003 (SST-03))についてはこちら