このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

窮地に陥ったとき 
閉塞空間で起きた緊急事態で地域の救急サービスに頼るには
In a tight spot Relying on your local rescue service in a confined space emergency

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年7月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 閉塞空間で発生した災害では、負傷が死亡に至らないようにするチャンスは限られている。数秒でガスや水に呑み込まれてしまう可能性があるし、空気中の酸素欠乏や毒物によって、労働者は数分で動けなくなる可能性がある。
 それゆえ、救急チームの現場到着まで場合によっては5分から10分かかることを知っておくことは大切である。閉塞空間にはさまざまな危険がつきまとうので、現場に到着後も救急チームは自分たちの身の安全を確保する方法を検討しなければならず、実際の救援活動が開始されるまでには、さらに時間がかかることがある。閉塞空間での死亡者の3分の2近くが救急隊員なのである。
 緊急時の対応計画の中で911に電話することを補助的手段としている場合には、救急チームがほかの通報に対処していて、すぐには出動要請に応じられない場合があることを認識しておく必要がある。実際にこのようなケースに該当すると、救援活動の開始はさらに遅れることになる。ピッツバーグ市緊急医療サービス部のロバート・ファロウ(Robert Farrow)部長は、指揮下の2つの救急チームがいずれも出動していた場合、チームが署に戻って別の現場に行き、救援の準備を整えるには15〜40分かかる可能性があるという。

協力体制を築く

 デカルブにあるノーザン・イリノイ大学のデニス・チェザロッティ(Dennis Cesarotti)準教授によれば、救急チームが適切に任務を遂行できるためには作業場に閉塞空間が存在することを知っている必要があり、企業の側では救急チームに連絡して実際に現場を見に来てもらう必要があるという。「迅速に対応してもらうためには何が必要か、作業場に変更を加える必要があるかどうか、救急チームのために係留ポイントを用意する必要があるかどうかを尋ねるのです。そして救急チームと一緒に実地確認を行って、緊急時の対応計画が実際に機能するかどうか確認します。そうしないと、救援のための計画が遺体の回収計画になりかねません」
 閉塞空間での救援活動の訓練を受けたミシガン州グランドラピッズ消防署のデービット・ヴァン・ホルスタイン(David Van Holstyn)消防士は、地域の救急サービスと関係を築いておけば、救急チームが思いがけない出来事に対処するための計画を立てられるという。「企業の事業や現場には特殊な事情がある場合があります。たとえば特別な化学物質を使っていたり、閉塞空間が通常とは異なる構造だったりすることがあります。消防署はこうした点について知っておく必要があります。そうすれば、救援活動の計画を立てることができます」
 ファロウ部長によると、企業はそれぞれの事情に応じて社内の救急チームを訓練したり、民間の請負業者を雇ったりすることを検討するとよいという。
 「救急サービスは、閉塞空間への出入りや、閉塞空間に入る人すべての安全性に責任を持つことはできません。そうするだけの人員も資材もないのです。もちろん、緊急事態に対処する必要がある場合に備えて態勢は整えています。しかしそれ以上のことをするには、それだけの資材が必要です」、とファロウ部長。
 ただし、閉塞空間に労働者が入るときは、企業の側から救急サービスにそのことを知らせてほしい、とファロウ部長は言う。「企業に対しては、閉塞空間への立ち入りに対応する救急チームが社内にある場合でも、何時から何時まで閉塞空間への立ち入りを行うということを緊急対策センターに通知してほしいとお願いしています」