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調査と結論は別
Separate investigations and outcomes
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年7月号
p.2)
(仮訳 国際安全衛生センター)
事件調査を上手に行えば、現場の安全性の向上に大いに役立つ。効果的な調査は、解決策をもたらし、相互理解を深め、システムの変更を可能にする。一方、筋違いの事件調査は非難と不信を生み、企業には責任と訴訟がふりかかる。
ニュージャージー州ウェストフィールドにあるTOPS in Emergency Response
Inc.のフィリップ・ソロモン副社長によると、事件調査を行う際の最も大きな間違いは、調査と是正措置の策定を一緒にしてしまうことだという。この2つは、別々に実施して文書にする必要がある。
なぜだろうか。調査は、事件の発生を受けて行われる事実解明の作業である。調査に含まれるのは、医療処置に関する情報、傷害報告、操業記録、保守報告、そして目撃者の証言である。一方、是正措置は、事件の原因として考えられるものを見極め、今後の事故の発生を防ぐための方策を練ることである。是正措置は「責任を問題にしますが、これは推測の領域での話になります」、とソロモン副社長はいう。
どう違うかを具体的に示すのが次の2つの例である。
例1。当該人物から5フィート離れたところにせん断されたボルトがあり、3フィート離れたところに保護帽があった。保護帽には損傷しているところが1箇所があった。
例2。せん断されたボルトが保護帽にぶつかったが、おそらくそれは機器の部品が適切に製造されていなかったためであろう。
最初の例1では、調査官が発見した状況を正確になぞり、事実だけを述べている。せん断されたボルトや保護帽がなぜその場所にあったかについて結論を下すことはしていない。次の例2では、事実から結論を引き出しているが、この結論は推測であり、推論である。「こうしたたぐいのことは、証人席や第三者による調査によって簡単にわかることです」、とソロモン副社長は指摘する。
さらに悪いのは、調査とボルトが壊れた原因についての推測とを一緒にしてしまうことによって、調査の際の「視野が狭くなる」可能性があることである。視野が狭くなった調査官は、疑問に対して考えうるいくつかの回答を安易に除外したり、見当はずれだったことがあとからわかるような推測をしたりしてしまう。
ソロモン副社長は言う。「事実だけをしっかりと見つめ、原因は考えないようにすれば、焦点の定まった公正な調査を行える可能性は高まります。まだ結論を求める段階ではないのです。調査の結論は、調査を完了することであり、是正措置を講じることではありません。自分またはほかのチームが、調査でわかった事実をあとから検討して、日常の継続的な改善プロセスの一環として是正措置を策定するのです」
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