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薬物乱用の疑いを適切に文書化する Properly document drug abuse suspicion
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年6月号
p.2)
(仮訳 国際安全衛生センター)
動作が少し奇妙な労働者がいる。たとえば、よろめくような歩き方をしたり、話すときにろれつが回らなかったり、動作がぎこちなかったりする。実際には何が原因かわからないが、監督者としては飲酒か薬物の使用を疑う。となると、すぐにも当該人物に薬物・アルコールテストを受けさせなければ、と考えがちだが、ちょっと待ってほしい。薬物・アルコール教育訓練プログラムをオンラインで提供しているアトランタのDrug Free Business Solutions社のリチャード・J.サガル(Richard J. Sagall)医療ディレクターによれば、理由付き薬物テスト(for-cause drug test)を実施する前に、次のようないくつかの重要なステップを踏む必要があるという。
1. 当該労働者が病気でないことを確認する。コントロールができていない糖尿病、卒中、発作、あるいはインフルエンザが悪化した場合でも、それが奇妙なふるまいとなって現れることがある。
2. 薬物乱用が疑われるような行動、外見、または作業能率の問題を明確に特定する。観察したことを文書化し、従業員が薬物やアルコールの影響下にあることを疑わせる事実を正確に記載する。二次情報には頼らない。当該人物の行動がおかしいという同僚の話だけでは不十分である。監督者自身がそうした行動を実際に目にしている必要がある。
作成する文書は、事実に基づく具体的で客観的なものである必要がある。自分の意見は述べない。当該人物が文書を見る可能性があることに注意する。可能なら、ほかの監督者にも当該人物を観察してもらい、作成した文書に連署してもらう。
3. 観察事実を示して従業員と対面する。この段階では、薬物・アルコールテストを実施すべきかどうか躊躇する必要はない。挙動が異常であって、薬物の使用や飲酒が疑われると判断したら、テストを受けさせなければならない。
4. 可能な限り速やかにテストを受けさせる。時間が経てば経つほど、陽性となったはずの結果が陰性になってしまう可能性も高まる。
当該人物は、テストを実施する場所まで必ず監督者がクルマで連れて行く。決して一人でクルマを運転させない。尿の採取または呼気のアルコールテストが済むまで当該人物に付き添う。呼気のアルコールテストでアルコールが検出された場合は、当該人物の帰宅時にクルマを運転させないようにし、ほかの交通手段を使ってもらう。
理由付き薬物・アルコールテストの実施に関するプログラムを適切に作成しておくと、職場をより安全で生産的な場にすることができる。ただし良好な結果を得るためには、監督者が、プロセス自体はもちろん、観察結果を適切に文書化する方法、さらに当該企業の薬物・アルコールテストの実施方針をよく理解していなければならない。
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