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OSHAをめぐる俗説にまどわされないために
Don't fall prey to common OSHA myths

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年3月号 p.2)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 OSHAは1971年から活動しているが、OSHAが基準で何を義務付けていて何を義務付けていないかについての誤解も、OSHAの活動期間と同じくらい長く存続している。ニューヨーク州バッファローにある安全衛生センター(Safety and Health Center)のレイ・ターピン常任理事によると、労働安全教育訓練に関する3つの俗説はいまだによく耳にするという。

俗説:OSHAが義務付けている教育訓練はいずれも認定されたものでなければならない。
事実:2つの主要なOSHA規則、すなわち29 CFR 1910と1926には、教育訓練に関する要件が192ある。しかし、このうち「認定された」教育訓練を義務付けているものは1つだけである。29 CFR 1926.1101(k)「アスベスト」の要件がそれで、ここではEPA認定の訓練が義務付けられている。これ以外に「認定」教育訓練を義務付けた要件は基準には存在しない。教育訓練に関する要件の実際の内容は、事業者は教育訓練が行われたことを確認しなければならない、というものである。

俗説:フォークリフト運転手は3年ごとに再訓練を受けなければならない。
事実:29 CFR 1910.178(l)に記載があるように、フォークリフトの運転手、すなわち産業用動力駆動運搬車の運転手の再訓練は、3年ごとに必ず行うものではなく、任意の時点で発生するかもしれない一定の条件をきっかけとして行うものである。その条件とは次のとおり。
  • 運転手が不安全な運転をしていると認められるとき。
  • 運転手が事故またはヒヤリハットに関わったとき。
  • 評価の結果、運転手が運搬車を安全に運転していないことが明らかになったとき。
  • 運転手に種別の異なる運搬車を運転させるとき。
  • 職場における諸条件の変化が運搬車の安全な運転に影響を及ぼす可能性があるとき。
  3年ごとの規定は、運転手の訓練と能力に対する評価に関係するものである。この評価は、雇用時およびそれ以降は3年ごとに事業者が実施していることを証明しなければならない。

俗説:労働者は「適任者(competent person)」として訓練することができる。
事実:この俗説が生き長らえているのは、「適任者」の訓練を売り物にしている安全衛生コンサルタントのせいである。
 29 CFR 1926の基準によれば、「適任者」は、存在し予測可能なハザードを認識する能力を有し、迅速な是正処置を講じる権限を持っていなければならない。「適任者」の選任は事業者が行うものであって、教育訓練組織が行うものではない。