このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。

代替方法が検討されるロックアウト/タグアウト基準
Lockout/tagout standard addresses alternative methods

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2004年5月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 ロックアウト/タグアウトに関する20年来の基準がこの4月に初改訂され、初めて代替方法が検討されている。
 米国規格協会(American National Standard Institute: ANSI)Z244委員会のエド・グルンド(Ed Grund)委員長は、代替方法を取り上げた今回のZ244.1-2003「有害危険エネルギーの管理:ロックアウト/タグアウトと代替方法(Control of Hazardous Energy - Lockout/Tagout and Alternative Methods)」は、産業界には現実的な拠り所が必要であることを遅ればせながら認めたものだという。グルンド委員長はいう。「元の基準はかなり近視眼的なものです。対象になっているのもロックアウトだけです。これは完全主義的観点に立っているからで、完全な世界ではすばらしいものですが、現実の世界は白黒はっきりしないものだということを認めようとしません」
 グルンド委員長は、多くの状況下でロックアウト/タグアウトはまず実現不可能であるか、または、作業を遂行するのに何らかのエネルギーが必要であるために、部分的にしか実現できない、という。エネルギーをゼロにするという操作をそのつど実行することは不可能なので、産業界は長年にわたって代替方法を利用してきたが、その利用の方法はきわめてインフォーマルなもので一貫性に欠けていた、と同委員長は指摘する。ロックアウト/タグアウト基準は、今回の改訂によってようやく、必要とされる操作を安全に行うための指針を提供することになる。
 「産業界は現実の状況に対処するためにさまざまな方法を組み合わせてきました。そうした対応は、しばしばOSHA基準の文言とは矛盾するものでしたが、操業を続けるにはそうする必要があったのです。ですから、改訂基準はこんな具合になりました。『事業者と従業員の皆さん、これらの[代替]方法が必要な場合は、安全性の観点から合法化されているこんなやり方ができますよ』」。改訂基準には、リスクアセスメントの実施の必要性も盛り込まれた。グルンド委員長によると、リスクアセスメントのかなめになるのが階層化された管理で、この階層化された管理も改訂基準で取り入れられたものだという。
 グルンド委員長はいう。今回の基準のねらいは、「リスクアセスメントを行う場合も含めて、代替方法の利用にあたっては最良の結果が得られるような好ましい方法があるということを理解してもらうことにあります。もちろん個人用保護具と教育訓練がこれを下から支えます」
 ANSIに強制力はないので、改訂基準での代替方法の追加がOSHAのロックアウト/タグアウト基準に影響を与えるのかどうかは気になる点である。
 グルンド委員長は、今回の改訂基準によって、違反件数のもっとも多いOSHA基準トップ10に含まれるこの基準の施行のやり方をOSHAが変えることはないだろうという。その一方で、「事業者がロックアウト/タグアウトに関する召喚状に異議を唱えるケースはこれまでより増え、その際に今回の(Z244.1)文書を根拠として提示する可能性があります。事業者はこう言えるのです。『当社はもっと新しいエネルギー管理のアプローチを採用しています。法廷で決着をつけましょう』。これまでは、事業者は諦めるしかなく、抗弁の機会もほとんどありませんでした」
 改訂基準では、代替方法に加え、機械設備メーカーを対象とした設計要件についても初めて取り上げているほか、もとの基準では簡単に触れる程度だった問題についても詳説している。グルンド委員長はその具体例として、改訂基準に長大な付録が付いており、各種フォームや図、さまざまな業界で使われている代替方法が収録されている点を挙げている。
 Z244.1-2003「危険有害エネルギーの管理:ロックアウト/タグアウトと代替方法(Control of Hazardous Energy - Lockout/Tagout and Alternative Methods)」は、4月14日に公表された。詳細な情報は、最近NSCから事務局を引き継いだ米国安全技術者協会(ASSE: American Society of Safety Engineers、電話(847)699-2929)か、またはwww.asse.orgで入手できる。