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目に見えない気体と闘う
Fighting thin air

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2005年12月号 p.2)
(仮訳 国際安全衛生センター)


揮発性有機化合物は、室温で容易に気化する化学物質である。使用中にも気化は起こるし、それほど頻繁ではないが保管中に気化が起こることもある。いったん気化すれば、揮発性有機化合物を吸い込む事態も容易に起こりうる。さらに、一部の揮発性有機化合物の気体は可燃性が高く、激しく爆発することがある。揮発性有機化合物の液体は、皮膚から吸収される可能性もある。
  揮発性有機化合物をきちんと管理するための最初のステップは、職場にどのような揮発性有機化合物があるか確認し、それぞれの量を正確に計ることである。労働安全衛生庁(OSHA)によると、事業者は従業員一人一人について空気サンプリングを行う必要があるという。OSHAでは、調査は正確を期す必要があり、従業員のシフト時のばく露が反映されている必要がある、としている。
  労働者が規制で定められた許容暴露限界値(permissible exposure limit: PEL)を超えて化学物質にばく露する場合、OSHAは事業者に対し段階的な管理の実施、具体的には工学的管理、作業慣行、および個人用保護具の使用を義務付けている。
  工学的管理は、一般的には換気である。通常、揮発性有機化合物に関して最も大切なことは、気化した揮発性有機化合物を労働者に吸入させないことなので、適切な換気は重要である。国立労働安全衛生研究所(NIOSH)のインダストリアルハイジニスト、リンダ・M.エーベルス(Lynda M. Ewers)は、「[吸入は]おそらく最も管理が難しい、しかし最もありふれたばく露の形態」だという。同氏によれば、工学的管理はある区域の全体換気でもよいし、囲まれた特定の工程を対象に局所排気による換気を行ってもよいという。たとえばスプレー塗装作業では、塗料用フードが使われている。
  作業慣行、すなわち作業管理では、一般に労働者が化学物質にばく露する時間を制限することに重点が置かれる。ただしエーベルス氏によれば、このようなアプローチが適切かどうかは、管理する対象によるという。「問題の揮発性有機化合物に安全なレベルがあり、そのレベルが達成可能な場合には、この種のアプローチを使うことで労働者のばく露を安全なレベル以下に抑えることができるでしょう。問題の揮発性有機化合物にそもそも安全なレベルが存在しない場合には、作業管理のアプローチを使用してはいけません」
  ばく露を減らすのに工学的管理と作業管理では不十分な場合には、適切な個人用保護具を使用する。選択肢としては手袋、呼吸用保護具、または耐薬品性防護服があり、対象となる揮発性有機化合物によって適切なものを選ぶ。
  最後の手段として複数の管理を組み合わせれば「労働者の安全は確保できるだろう」、とOSHAの担当者はいう。またOSHAでは、可能な場合には危険性の少ない物質を代わりに使うことを事業者に勧めている。

「ばく露を減らすのに工学的管理と作業管理では不十分な場合には、適切な個人用保護具を使用する」