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交通安全で仕事も安全
Safety on the road is safety on the job

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2005年12月号 p.3)
(仮訳 国際安全衛生センター)


こと安全運転に関するかぎり、責任の大半は従業員自身に帰する。ほとんどの状況下では、労働者がシートベルトを締めているかどうか、監督者には知る手だてがない。したがって、企業レベルで交通安全プログラムを持ち、労働者を雇用した時点から安全運転の大切さを教えることが重要である。
  企業レベルでの交通安全プログラムには、いくつか欠かせない要素がある。なかでも最も重要なのは、業務で車両を運転または乗車する際、必ずすべての労働者がシートベルトを着用するよう義務付けることである。
  NIOSHのハザード・レビューでは、シートベルト着用義務のことを、「事業者が実施、実現できる唯一の最も重要な安全運転方針」と表現している。このような言い方がなされる理由は、単純だが非常に強力である。たしかにシートベルトは命を救うのである。全米幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)の推計によると、2000年にはシートベルトの着用によって国内で11,889人が死亡を免れており、もし車の乗員がシートベルトを着用していたら、さらに9,238人の死亡を防ぐことができたはずだという。
  アーカンソー州フォートスミスで運送業を営むABF Freight Systems社では、シートベルト着用が義務付けられており、違反が見つかると厳しい懲戒処分が従業員に課される。同社のジム・マクファーリン(Jim McFarlin)安全保安部長はいう。「当社のマネージャーたちは“道路パトロール”なるものを定期的に行います。クルマであちこち回り、車両を運転している従業員を調べて、安全違反がないかどうかチェックするのです。もちろん、シートベルトをしているかどうかも調べます。シートベルトをしていない従業員が見つかると、マネージャーは路上観察報告を提出します。この報告は、問題の従業員の監督のところに回送されてきます。監督はこれを受けて、従業員と話し合いを持つ日を決めます」
  こうした厳しい懲戒方針に加え、シートベルト着用に対しては、あらゆる角度から強力に取り組んでいるとマクファーリン部長はいう。ABF社では、シートベルト着用の重要性に関する情報を頻繁に流しており、社内報でもシートベルト着用の推進に力を入れている。また安全ミーティングでも、安全運転に関係するさまざまな問題を取り上げている。
  シートベルトは交通安全を実現するための最も重要な手段であるが、ほかにも行うべきことはある。バージニア州ビエナの非営利団体「交通安全をめざす事業者ネットワーク(Network of Employers for Traffic Safety)」のキャシー・ラスビー=トレバー(Kathy Lusby-Treber)事務局長は次のようにいう。「社用車を運転する従業員がいるあらゆる企業は、その規模や業種がどうであれ、シートベルトに関する方針、アルコールと薬物に関する方針、そしてドライバーの注意散漫に関する方針を持つ必要があります」